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きれいなシワの作り方~淑女の思春期病
著者 村田沙耶香
思春期なんてとっくに卒業……と思いきや!? 追いかけてくる自意識の罠。
あぁ、こんな大人になるはずだったのだろうか? そんな悶々とした気持ちの吐露に共感必至。自分だけじゃなかったという安心感、ななめ過ぎる視点に大笑い、でも減り続ける友だちを思う気持ちにほろりとしたりと、七色の感動が込められた珠玉のエッセイ集。
気になるテーマは、・初めての結婚願望 ・大人のパンチラ考 ・おひとりさまの年末年始 ・謙遜をサボる女 ・大人の恥ずかしいゴミ ・紫外線と女の本気 ・ちゃんとおばさんする ・鞄がもげる夏 ・「着ない服」愛好会 ・おろおろインターネット 他。
読んだら誰かに話したくなる!
きれいなシワの作り方~淑女の思春期病
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きれいなシワの作り方 淑女の思春期病
2017/05/30 21:16
シングル三十代。おばあちゃんになっても魅力的でいたいお年ごろ。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
どーもー、ミッチュ・マングローブです。
今日紹介するのはこの本、きれいなシワの作り方ですよ。
ほらほら奥さま、シワなんか気にならないなんて、ホントー?
でも、きれいなシワならいいでしょみたいな、
ゆる本なのよ、これ。
三十代、お一人さまの視点がテーマなの。
書いている人が、あなたほら、「コンビニ人間」の
村田沙耶香さんなのよ。
えっ、あの人は変人すぎて受けつけないですって?
大丈夫、この本はエッセーだから。
えっ、エッセーも苦手ですって? もーうー、わがままー
あれくらい強烈な本を書く人だから、エッセーも面白いわよ。
うじうじ脳内でこねくり回しているのだけど、それが痛かわいくってね。
人を楽しませたいと思っている作家さんだから、
ほとんど漫談みたいな仕上がりでさ。
それがどう間違ったらコンビニ人間が出てくるのか分からないけれど。
それもこれも、ぜーんぶひっくるめて気に入ったわ。
サブタイトルが淑女の思春期病。いいセンスね。
そう、三十代も五十代も、八十代になったって素敵でいたいという
女ゴコロがあふれていて、よくぞ書いてくれたわと拍手喝采ね。
よく出てくるテーマが、結婚願望、きれいな年の取りかた
(目標は老人ホームのアイドル)、素敵なお一人さまライフ。
もちろんお洋服や化粧品ネタもいっぱいよ。
良くも悪くも、この人、自意識過剰なのよねー。もうズブズブ。
そんなアタシ的三十代、誰も気にしちゃいないと考えてしまい、
さらに自意識の海へと沈んでいく無限ループにはまっていてさ。
ねえねえ、スキンケア、やっぱり高いのに替えたりした?
これって、女の潜在意識が働いているみたいなの。
村田さんの場合はこんなふうね。
乳液や化粧水、むかしつき合っていた彼氏に買ってあげるよと
言われて、必死にかわしてなし崩しでごまかしたんだって。
たぶん彼が想像している額とひとケタ違っていて、
絶対秘密みたいなの。
友だちもその値段だけは秘密らしいから、これって
共通認識なのかなー。例えば、三万円のアイクリームの
小さなチューブとかは理解してもらえないだろうなんて
書いちゃっててさ、
か、書いちゃっててさ(ダメじゃん、ばらしちゃ)。
コンビニ人間のヒット前に連載が終わっているのも
ポイント高いわよ。自然に馬鹿話が書けていて楽しめるの。
あれだけヒットしたら、ただでさえ自意識過剰なのだから、
しばらくはこういうネタ本をのびやかに書くのは難しいかもね。
そういう面でもいい味を出しているお薦めのエッセーなのよ。
an an で二年間連載されていたんですって。
シャレオツ系だからあまり読まないのだけれど、こんな大胆な
連載を入れるなんて、なかなかやるわね。
三十代のあるある話、しっかり戴きましたー
2017/09/03 05:14
謎の肯定感と元気が得られる?!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
30代になって、体の変化に気付き、戸惑うところは思春期のそれに似ている。だから「淑女の思春期病」。最初は「アラサーあるある」みたいな比較的同世代の女性に共感を得やすいと思われるテーマが中心だったのですが、だんだん作者本人の特殊性を掘り下げ、それをどこかユーモラスに苦笑いしながら描写する感じの日記みたいになっていきます。「大人」になり切れない自分、達観した「大人」になりたい自分、自分の好きなことをして年齢を重ねたいと思う自分、だけど「年齢にあったいいもの」という謎の価値観に惑わされてしまう自分などなど、本人のモヤモヤ・ふらふらした考えや思いなどが日常的なエピソードの中で描かれています。計算されているのかどうかは不明ですが、それらが凄く共感はできなくても、滑稽で「なぜ?」と疑問に思いながらも笑ってしまうのです。
「悩んでいてもいいんだ」、「ふらふらしててもいいんだ」という謎の肯定感と元気が得られるかもしれない本(笑)。