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11件
ハケンアニメ!
監督が消えた!?
伝説の天才アニメ監督・王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。ハケンをとるのは、はたしてどっち? そこに絡むのはネットで話題のアニメーター・並澤和奈、聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平……。ふたつの番組を巡り、誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び新たな事件を起こす! 熱血お仕事小説。
ハケンアニメ!
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ハケンアニメ!
2018/11/12 00:39
アニメ化希望。ちくしょう、はまっちまった。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
辻村深月さんを読むのは三作目である。
いずれも直木賞受賞後の作品だが、見事に雰囲気が違う。
多作な方なので、いろいろなところに目がくるくると
動いているのかもしれない。もう少し初期の作品を読まないと、
辻村さんらしさを掴めないのかもと思った。
それはさておいて。この作品にははまった。
いつも行き帰りの電車と昼休みが読書タイムなのだが、
帰宅後の時間や、出社直後の朝礼前の時間まで
つぎ込んでしまった。続きが気になってしょうがなかったのである。
少しもったいをつけた展開か、アニメというオタク的世界か、
ちょっともてないけれど実は素敵な人だったりという夢見がちトラップか。
罠はたくさん張りめぐらされていて、いちいち引っかかった気がして
しょうがない。
手法はラノベに近いものを感じる。
本人は自覚していないくせに、息をのむほどの美人やモテ男が
登場するのは辻村作品の特徴の一つだと思う。
そんなスーパーレディが、自分でも気がつかないまま神がかり的な
仕事をしてしまうなどどいう、都合のよさ全開の展開は、
やっぱりラノベ的世界観だよなあと思ってしまう。
まんまとしてやられているけれど。
新作アニメを送り出す監督・プロデューサー・原画担当など、
制作側の視点で主人公をリレーしながら連作短編を紡いでいる。
格好いい決めセリフや創作の心意気などは、自らの小説を
書く視点が存分に入っているのだろう。
アニメは見た人のもの。
小説だって、読んだ人が心のなかで世界を作り上げるのは同じことだ。
表現方法が違うだけで。
そんな共感点がいっぱいの一冊だった。
もちろん子どもの頃に見たアニメが忘れられないというのもあるけどね。
大人も楽しめるアニメ作品というのは現実に存在していて、
それを垣間見せてもらった。
ちくしょう、作中作のアニメ、二本ともがっつり見たいぞ。
2018/08/05 09:00
一気に読めます
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きた - この投稿者のレビュー一覧を見る
アニメ制作にかかわるクリエイターたちの物語。ありそうでなかったアニメの現場のお仕事ものです。面白いので一気に読めます。
2018/02/12 10:02
面白い!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ハケンアニメ!』は辻村深月の初のお仕事小説とのことですが、面白い!タイトルの「ハケン」の意味するところが何なのかしばらく分かりませんでしたが(笑)
とにかくアニメ制作現場に関わる人たちの胃がキリキリ痛むような苦労の末に生み出されるこだわりのアニメ作品にたいする愛がたっぷりと感じられる小説です。
伝説の天才アニメ監督・王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品で、わがまま監督の願いを聞き入れて、脚本家を3人も降板させた末に監督自身が脚本を手掛けると言い出し、その挙句に連絡もなしにいきなり監督がバックレるという何ともいの痛い状況からストーリは始まりす。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされ、ハケン(覇権)をとるのは、はたしてどっち?そして、両作品に関わる「神原画」ともてはやされるアニメーター並澤和奈と聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平とのちぐはぐなやり取り。
章ごとに主人公が交替する連作になってます。どれも面白いですが、特にアニメーター並澤和奈が自分の殻に閉じこもった純オタクから聖地巡礼の仕事で「リア充」の宗森周平と関わっていく中で徐々に視野を広げて認識を改めていく成長過程と、人から初めて「かわいい」と言われたことでオタク女子のねじれた劣等感が氷解するシーンがすごくいいなと思いました。
過酷な現場で薄給。アニメーターが食っていけないのは有名です。だからこそ、好きじゃなきゃやってられない、良くも悪くも「愛」のある人たちしかいない業界なんだろうなと思います。