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帝国の追放者たち
著者 ウィリアム・アトキンズ , 山田文
不幸のいちばんの原因は、ここではないどこかへ行きたいという望みだろうか?
【本書の内容】
フランスのアナキスト、ルイーズ・ミシェル。ズールー人の王、ディヌズールー・カ・チェツワヨ。ウクライナの革命家、レフ・シュテルンベルク――
より大きな自由とホームの理念のために、目の前の自由とホームを犠牲にした者たちの生涯を辿る旅に出た著者。
南太平洋のニューカレドニア、南大西洋のセントヘレナ、シベリアの極東海岸沖のサハリン――
かつて「帝国」の流刑地だった島々を旅するなかで見えてきた、いまなお残る傷跡と亀裂。
「自由を求めて鼓動する心臓には、ごくわずかな権利しかないようですので、わたしの取り分を要求します。」――ミシェル
「わたしのただひとつの罪はチェツワヨの息子であることです。何もしていないのに、悪意によって殺されようとしています。」――ディヌズールー
「もっといい時代がくるよ、モイセイ。ぼくらの星はまだ地平線の上の空高くにある。」――シュテルンベルク
人生がふたつに引き裂かれたとき、自分を保つのはときにむずかしい。
故郷(ホーム)を追われる経験は、当人にとって何を意味したのか。故郷(ホーム)を追われた者を受け入れる経験は、その土地に根づく人びとに何をもたらしたのか。
弱い立場にある者が望まぬ移動と隔離を強いられる現代に放たれた、過去と現在をつなぐ傑作紀行文学(トラべローグ)!
【本文より】
本書は流刑者のことを考える一冊として企画されたが、それと同じくらい帝国についての本にもなった。両者はつねに分かちがたく結びついているからだ。それゆえ本書はまた、帝国の双子の犠牲者のあいだにかたちづくられた
連帯についての一冊でもある。“流刑者”と“先住民”、すなわち追放された市民と植民地化された被支配者のあいだの連帯である。
帝国の追放者たち
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帝国の追放者たち 三つの流刑地をゆく
2024/06/03 10:23
故郷をうしなうということは「永遠のホームレス」状態
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀に帝国(フランス・イギリス・ロシア)によって離島へ流刑に処された3人の物語、フランスによってニューカレドニアへ送られたパリ・コミューンの闘志、ルイーズ・ミシェル、イギリスによってセントヘレナ(そう、あのナポレオンが流刑された)へ送られたずールー人の王、ディヌズールー・カ・チェツワヨ、ロシアによってサハリンへ送られたウクライナの人民主義者、レフ・シェテルンベルク。施政者は自らにとって不都合な者を厄介者として島流しにする、死刑にしたほうが世話がないのではとも思うが、彼らは死刑にするには影響力を持っていた人なので静かにお引き取り願おうということなのだろう。追放者のひとり、ルイーズは「だったら全世界が自分の生まれ故郷であるように生きる」と考える、でもそれは著者の言うとおり「永遠のホームレス」状態なのだ