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大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう
著者 山本巧次
江戸の両国橋近くに住むおゆうは、老舗の薬種問屋から殺された息子の汚名をそそいでほしいと依頼を受け、同心の伝三郎とともに調査に乗り出す……が彼女の正体はアラサー元OL・関口優佳。家の扉をくぐって江戸と現代で二重生活を送っていたのだ――。優佳は現代科学を駆使し謎を解いていくが、いかにして江戸の人間に真実を伝えるのか……。ふたつの時代を行き来しながら事件の真相に迫る!
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 殺しの証拠は未来から
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大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 1
2015/12/10 11:02
江戸の犯罪捜査に現代科学をうまく融合
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MIF - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーマニアのOL優佳が祖母から受け継いだ家には200年前の江戸の街につながっているという秘密があった。
現代(優佳)と江戸(おゆう)との二重生活をしているうちに八丁堀・南町奉行所の廻り方同心鵜飼伝三郎としりあい、捜査解決に協力したことがあって、そのつてで薬問屋の藤屋から殺された放蕩息子の件で調査を依頼される。
血液のついた手ぬぐいや指紋を現代に持ち帰り、同級生で解析マニアの宇田川に解析させ江戸にフィードバックするという、ヘタするとデウス・エクス・マキナ的なチートツールに成り下がる証拠の数々を証拠として使わず(江戸時代の人々には証拠としてつかえないので)に、捜査過程での選択肢を絞るショートカットであったり、自白させるための道具にしたりしてなんとか解決に結びつけるためのアイデアを楽しもう。
読んでいて気になった点が2つ。
1つはおゆうの台詞からは現代語やカタカナ・外来語がほぼ完璧に排除されていること。
読み終えた記憶のなかでは1カ所だけ興奮したおゆうが「アリバイ」と言いかけていただけだったが、二重生活を続ける中、気を抜いた日常会話で現代語やカタカナ語が出てこないことは不可能に思えるので、もうすこしこの辺を盛り込んでうっかりぽろっと出た現代語・カタカナ語を慌てて言い繕うような場面があっても良かったのではないかな。
もう1つは日本酒のあつかい。
江戸時代の日本酒は濃厚甘口の原酒を水で薄めて販売していたので、優佳がデパ地下で購入するような現代の淡麗辛口日本酒は江戸庶民には酒として認識されないのではなかろうか。まぁこれは作品が破綻するレベルじゃないのでどうでもいいんだけど。
最後に伝三郎の秘密が明らかになったことと、宇田川から投げかけられた疑惑と含みを持たせたまま終わったけれど、これはこのミステリーがすごい大賞であえて落選させてシリーズモノの隠し球とした編集部が続編計画からだと受け取ってよろしいですかね。
2024/12/06 09:45
楽しいエンタメ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BHUTAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
同心伝三郎の秘密は明らかになるのか?
宇田川は気づいているけど、おゆうはまだ。
未来に伝三郎を連れていったらどう思うのかな?
今回はプロジェクションマッピング使ったりして、大胆だなあ。
でも、本物の幽霊もシュッ元するとは、江戸の闇の深さだなぁ。
エンタメ本として、軽くて読みやすいので大好き。
大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 1
2024/01/28 23:13
時空を超えた驚愕の視点からの複層的超ド級サスペンス。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時空を超えた驚愕の視点からの複層的超ド級サスペンス。事件自体もどんどん深みを増す一級サスペンス。しかし、本題は、「時空を超えた」サスペンスの方。現代科学をもってするなら事件の解決は素人でも出来る。しかし、現代科学を知らない江戸人にそれをどうやって知らせていくかである。一粒で二度、いや三度美味しい絶品。更に、江戸時代の同心も主役“おゆう”を信頼しつつも余りに謎めいた存在に疑惑の目を向けてるのだからその行方も含めて興味は尽きることが無い。そして、最後に明かされる更なる衝撃的事実に驚愕。