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11件
王ドロボウJING新装版
著者 熊倉裕一(著)
世界中から、とあるお宝を目指して全ドロボウが押し寄せる「ドロボウの都」、いまその街に王ドロボウが現れる!果たしてそのお宝の正体は?>北の港に出没する幽霊船に隠された、お宝度10000%の秘密とは…>全てが秒刻みで管理されている「時間都市」に潜入した王ドロボウ。その前に町の支配者マスター・ギアと九尾の狐シェリーの最凶コンビが立ちふさがる!
王ドロボウJING新装版(7)
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2025/01/11 11:40
衝撃を受けた第一話
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
掲載誌は当時の『コミックボンボン』
少年誌を読む年齢からは少し離れていたけれども、偶然目にした「ゆーれい船」の見開きページに目を奪われてしまった。興奮のあまりその号を何度も見返して、その日のうちに掲載号と既刊を調べてバックナンバーを取り寄せたのは記憶に新しい。
定番の少年誌風でもありなから時にアメコミ風で、鳥山明のようでもあり松下進のようでもあり、数コマで完結するコマ割りとテンポの良さは藤子・F・不二雄のようでもある。そのどれとも異なる個性的な絵柄なのに、見開きから大ゴマまで丁寧に描き尽くされているのに読みにくさや詰め込み感を感じさせない。繊細かつ緻密に描いて緩急動静を同居させるのかと驚きの連続だった。
次から次に先読みを裏切る展開、コマのすみに描かれた何気ない意匠や気の利いた字面。少なくとも巨大生物の死骸らしき骨があったとして“calcium 100%”なんて描き込む漫画家に出会ったのは初めてだった。
印刷に乗るかギリギリの危うさがたまらないトーンのあしらい方と筆運びも魅力のひとつだと思う。(実際に旧版の単行本では印刷がカスレてしまっていた、また単行本化に当たってコマごと加筆・修正された箇所も複数確認できる)
その上で、ダブルマーメイドたるシードルの透明感や金貨の光沢を白黒のマンガでここまで感じさせてくれたのは未だに本作以外にない。肉筆でこれだから正直呆れてしまった部分もある。
初期の連載だけあって、ジンもキールも外見こそ少年誌風だけれど、ここから後版にかけて画風が変化していった、ように思っていた。ところが、諸々の出版物を見るに、後版ほど本来の熊倉タッチで、ここではあえて少年誌風の絵作りをしていたという、実は真逆だった点が非常に興味深い。
本巻では「初期設定集」も収録されている。残念ながらコピーではあるがゆーれい船の原形スケッチ、虜囚のシードルはなんと下半身の鱗まで緻密に描かれている。作者の手と思われるが「これやめ 天井からつるす」とぞんざいに書かれていて、細部まで描いてから軽々とボツにするのか…と恐れ入った。
非合法のカジノ船を取り仕切るグラッパの意匠は不気味極まりない、これもモンテカルロをアナグラムで変えただけではない。南欧で、聖者を貶めたばかりに醜い豚の化け物に変化させられてしまった故事があり、祭りで供される豚の面はグラッパの通り毒々しい独特なニヤケ面をしているのだ。愛嬌のあるキャラクターとグロテスク寸前の怪物を共存させつつ、絵面も名付けでそのバックグラウンドまで含めてしまう絶妙さは凄まじい。
『ドロボウの都』は外観こそブリューゲルのバベルの塔を想起させるのだけれど、熊倉作品と言えばシュールレアリスムの大家であるレメディオス・バロやデ・キリコの作をパロディとしてふんだんに取り入れている(もちろんそれだけではなくとりあげようにもキリがない)。表層だけでなく、作品や作家が持つ背景までもが創作の骨子となっているように見えるからたまらない。ネット検索で諸作に簡単に触れられるようになっているので、ご興味があれば是非ご覧頂きたいものである。
唯一の不幸は、本作の登場が時勢よりも早すぎた、世間の理解が得られなかったくらいか。それでも読者へ与えた影響は計り知れず、現役の作家も多くが本作の影響を述べている通り。一時期は絶版寸前だったのだけれどこうしてまた読めるのは眼福そのもの。
2017/08/05 19:05
こんな日が来るとは
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:87# - この投稿者のレビュー一覧を見る
小中学生の頃リアルタイムに読んでいました。人生イチ好きな漫画です。後期になるほど絵柄も内容も大人びてきますが、独特なファンタジー世界がとても素敵な作品です。台詞回しのセンスも素晴らしい。
王ドロボウJING 1 新装版 (ZKC DX)
2002/02/16 21:05
伝説の王ドロボウ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真泰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
輝くものは星さえも、森羅万象たちまち盗む伝説の「王ドロボウ」。その一族の末裔のジンと、相棒の鳥のキールが、お宝を求めて街から街へ渡り歩く冒険物語。
初めて読んだ時、鳥肌が立つほどに興奮しました。ジンたちが狙うお宝がまた面白く、金貨や宝石といった普通のものではなく、「ダブルマーメイド」、「時計じかけのブドウ」などといった、いったいどんな物? とわくわくさせてくれるものばかり。登場人物たちも生き生きとしていて本当に面白く楽しい作品です。