電子書籍
不思議な少年
著者 山下和美(著)
あらゆる時代とあらゆる場所を「彼」は訪れる。――終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。19世紀末のロンドンを懸命に生きる身寄りのない少女。生きる目的を知らぬまま戦国乱世を駆け抜けた1人の青年。それはいつの時代も変わらない人間らしい生き方。そこに1人の少年がいた。永遠の生を持って「人間」を見つめる不思議な少年が。『天才柳沢教授の生活』の山下和美が人間の光と闇をきらびやかに描く新シリーズ、堂々のスタート!
不思議な少年(1)
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2008/02/28 12:33
金髪碧眼の火の鳥
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AQUIZ - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャラクタは当然のことながら、個々のエピソードも直接的な関連は無いのに、この短編群からは手塚治虫の「火の鳥」の血脈を感じます。
「不思議〜」は、世界の傍観者である謎の少年が、様々な土地・時代に現れて人々の人生を眺めます。友人のように話しかけたり、超常的な力をもって対象となった人物に影響を与えることもありますが、スタンスは傍観者に過ぎません。
少年は、人々の一点に興味を持っていることが多く、単純に善悪を見極めて罰するということはしませんし、絶対的な力で彼らの選択肢を絞ったりもしません。
金髪碧眼の、美しい白人少年の姿で現れ、時によっては不審がられたり、異様な状況下にありながら受け入れられたりもします。
古代、現代、未来を垣根無く認識し、見渡せる傍観者は、人々にとって神でしかないはずですが、この神は救いをもたらすものではありません。
手を差し伸べない傍観者であるからこそ、どこにでも存在できるのかも知れません。
少年は、人々の崇拝物にこそなってはいませんが、あの火の鳥のように人々を眺め続けていくのでしょう。
2004/12/19 20:08
2004年の漫画作品最大の収穫の1つ。壮大なテーマを繊細に描く
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:関 智子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま、ここに繰り広げられている平凡な日常が、人類の歴史の中に存在する多くのできごとの集積によって実現している「必然」だという事実を実験的な表現で描いた第1話、南極で遭難した2人の男の少年だった時からの因縁と愛憎を描いた第3話、中世から続く貴族エッシャー家の創建時と没落時に生きた2人の女性を通じて歴史の無常、人の強さを浮き彫りにする第3話−−。いずれも壮大なテーマを短編で展開してみせた作品だが、密度の濃い、構成のしっかりした話に仕上がっている。
特に第1話の実験的表現・テーマは圧巻で、手塚の「火の鳥」をも彷彿とさせる。時空を超えて存在する「不思議な少年」という設定を最大に活かした話。テーマは壮大だが決して看板倒れにならず細部の演出も絶妙。2話の橋のむこうのあこがれの女性の存在、エッシャーー家の最後の女当主につきまとう元おぼっちゃまなどの細かい設定も話に奥行きを与えている。
丁寧な筆致は、描かれた出来事を1つ1つ繊細にタピストリーの中に織り揚げた手仕事を思わせる。
2004年は「PLUTO」「日露戦争物語」など、大きなテーマを扱った作品に収穫が多かった。この話もまちがいなく2004年の最大の収穫の1つ。
電子書籍不思議な少年(1)
2021/04/30 14:41
風琴のような
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:デ*ナダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
山下和美さん、10年ぶりくらいに読みました。
柳沢教授以来ですね。
一話完結オムニバス形式で、作者の夢、疑問、悲しみ、様々な想いが伝わってきます。
微かな風にも歌い出す風琴のような感性の人と想像します。
電子書籍不思議な少年(9)
2019/06/04 20:14
「ONKO TEXAS」
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「ONKO TEXAS」、日本には見えない地平線まで続く道路が良いなー。
不思議な少年の方では「トム・ベイツ」が良かった。
不幸な境遇から考古学の世界で名をはせるようになって、あのラストか~。
でも本人はすごく納得していったんだからよかったんだろうな。
電子書籍不思議な少年(8)
2019/06/03 20:19
聖フランツ
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
正しいものが報われるとは限らないのがこの世。
淫売であっても自分に正直なリーザのような人に品行方正なフランツが惹かれるのもわかるし。
集団ヒステリーのような状態はまさに「ランド」と同じ。
でもこれはラストが良かった。
「マリー・ロンドン」はマリーのダンスシーンがかっこよかった。
電子書籍不思議な少年(7)
2019/06/01 14:21
最高でした
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「不思議な少年の中」で一番良かったかなー。
会社員・Iは物語の悪役目線なのが面白かったです。
本当は怖いグリム童話ですね。そして明かされるオチw
「ジェシィ・アダムス」も良かったなー。
母親は娘に夫を取られたと思うんだよね・・・
メイドたちは巻き添えで気の毒。
これの後に「会社員・I]で白雪姫の鏡のメタファーでハッとさせられる。
電子書籍不思議な少年(6)
2019/05/27 23:11
どれも
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「NX-52136号」も「良ちゃん」も「ムメキクと周平」も好きだな。
「THE MAN」も悪くはないんだけどね。
「ムメキクと周平」は明治の終わりから大正時代をこの短いページに上手くまとめてるなぁと思う。
電子書籍不思議な少年(4)
2019/05/26 14:13
どれも
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「由利香」「水晶玉の猿」「ベラとカリバリ」、どれも良かった。
「由利香」の無表情で心を持たないような殺人鬼がこんな平凡な少女時代を送りたかったと思っていたのだとしたらちょっと泣ける。
電子書籍不思議な少年(3)
2019/05/26 00:05
どれも
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「末次家の三人」「リチャード・ウィルソン卿とグラハム・ベッカー」「二人のレディ・エッシャー」、どれもいい話でした。
いや「リチャード・ウィルソン卿」はいい話ではないか・・・
でもものすごいドキドキさせてくれる話だった。
電子書籍不思議な少年(7)
2017/10/28 01:27
なかなかの読み応え。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
星新一テイストの宇宙物もあれば、恩田陸のようなミステリもあり、
そのあとでの「会社員I」。
これが一か所のみでありながら、風刺のきいたスパイス。
ローマ数字ではなくアルファベットの「I」として読むと、気づくはず。
牧歌的なドイツ語圏の話が2話続いた後のリリィの話、
痛さが最初は際立つのですが、なんとも純粋な後味を残します。
山り様々な時代・ロケーションのほうが映える設定なので、
この巻の読みごたえは大満足です。
電子書籍不思議な少年(4)
2017/10/21 10:33
不思議な少年(4)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1巻からペースダウンしていないどころかスケールの大小かかわらず面白いし、読みごたえがあります。
4巻で言えば冒頭と巻末では全く規模は真逆なのに面白味がありました。
実在の人物などをかするのがうまいですが、前後編の話は「ロマ」がモデルと思われます。
2015/04/04 18:07
人間は
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T.s - この投稿者のレビュー一覧を見る
人って。不思議。どうしてだろう?
不思議な少年ゆえに見える人の醜さ、そして愛しさ。
2009/09/26 20:58
時と場所を超えて、不思議な少年が出会う色んな人生のドラマに、深々とした物思いへと誘われるシリーズです。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天使のようでもあり悪魔かとも思えるひとりの不思議な少年が、時と場所を超えて現れ、欲望や執着心、自尊心、愛と憎悪、生と死にまつわることなど、我々“人間”という存在の本質的な事柄について問いかけてゆく連作短篇集。心の奥底にしんと触れるものがある、非常に味わい深いシリーズですね。二、三日前にふと出会って、たちまち既刊の7冊を一気読み。最新刊の本書も、読みごたえがありました。
中世ヨーロッパの魔女狩りを題材に、人間の醜さ、弱さ、そして気高さを綴った「聖フランツ 1」~「聖フランツ 4」。往年のミュージカル女優の歌と踊り、その魅力の忘られぬ輝きを描いた「マリー・ロンドン」。以上二篇が収められています。
これまでのシリーズ作品で最も長い分量となる、二百頁近い紙数を費やした前者、「聖フランツ」の物語。途中まではもたもたしている感があって、正直、あまり面白くなかったのですが、冒頭へと繋がっていく決死の行動から話が大きく動く後半、「聖フランツ 4」の章からがよかったですね。かなり性急な持って行き方で、それまでの話の流れからするとぎくしゃくした印象も受けましたけれど、音楽で言えば“コーダ”にあたるラスト数頁、とりわけラスト・シーンのインパクトがなかなか凄いんだな。泣き笑いしたくなっちゃうような、複雑な気分に駆られたこのラストは忘れ難いです。
この「聖フランツ」に比べれば、分量という点では遥かに少ない後者「マリー・ロンドン」ですが、これ、ええ話やあ。マリー・ロンドンのイメージが、不思議な少年が話の前面に出てくる前半と後半とでがらりと変わります。いや、マリー・ロンドンだけじゃないな。ある人物のイメージも、話の前・後半で大きく変わるんです。すれ違っているようで、実は深いところでふたりの心は繋がっていたんだなあと。目頭が熱くなりましたねぇ。人と人の出会いを描いて、小粒だけどキラリと光る作品。
2002/07/17 23:16
鮮やかに
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な時代を自由に行き来し人間の本質を探ろうとする不思議な少年のお話、第2巻。圧巻だったのは、死刑を穏やかに迎えようとするキューピー顔のソクラテスと少年との対話。「知らないことを知っている」ソクラテスは、大弁論家でさえも窮地へと容易く追い込んでしまう深い探究心で、永遠の命を囁く少年の誘いを鮮やかに断ってしまう。読んでいてこれほど胸踊り気持ち爽やかになる物語は久々だった(悲しいお話なのに後味スッキリ…というのも不思議)。1巻を読んでいてちょっと少年は邪魔だなぁと感じてしまったのだが、この巻では必要な存在になっていた。
電子書籍不思議な少年(5)
2019/05/26 17:08
死とは
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
「夫・恭平、妻・瑠璃子」
本来なら死んでいるはずの二人。
少年の力で60年生きて人並みの幸せを味わった。
二人一緒に苦しまずに死ねるのなら本望なのでは。