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17件
赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD
著者 山本おさむ(著)
表現の自由を侵す権力と闘う映画人たち
第二次大戦後。ソ連とアメリカ、二大大国の冷戦が始まった。
ソ連の力に強い脅威を感じた米国右派の政治家は世論の
喚起を狙って、共産党員および共産党シンパと見られる人々を
厳しく排除した。この赤狩りの陣頭指揮を取るFBI長官・エドガー・フーヴァーは、
当時の娯楽の王であった映画界にいるアカを葬り去ることを
宣言した。非米活動委員会(HUAC)による聴聞会が始まる。
ハリウッドの映画人たちはこの権力の弾圧といかに闘うのか!?
赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD 10


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赤狩り 1 THE RED RAT IN HOLLYWOOD (ビッグコミックス)
2018/01/24 03:56
ハリウッドの赤狩り、その人間模様や映画作品も解説する意欲作
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦後のハリウッドの赤狩りを描く。
赤狩りは冷戦下アメリカで始まった。第二次大戦では、ナチスドイツに対抗してアメリカとソ連は手を組んだはずだった。しかし、戦争終結後この2大超大国が覇権を争う冷戦期になると2つの大国では思想統制が強まった。アメリカではこうした中、共産主義の排除を目的に赤狩りが始まる。ハリウッドは大衆の耳目を集めるためスケープゴート的に標的にされた。
第1巻目は、その始まりの背景、「アカ」と呼ばれたハリウッドテンの法廷闘争の始まりを主軸に、盗聴など卑劣な方法で情報を収集するFBIなどの動き、ハリウッドテンを代表する脚本家ドルトン・トランボが書いた映画「ローマの休日」などに焦点が当たる。トランボは、赤狩りで映画界から排除され、『ローマの休日』を友人の名前で書く。ローマの休日がトランボ脚本であったことは、トランボの死後に発覚する。これらの経緯は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」と題して2015年映画化されている。本書では主演の」オードリー・ヘップバーン、ワイラー監督にもスポットライトをあて、「ローマの休日」を重層的に描いているところも読みどころだ。縦軸は赤狩り、横軸は「ローマの休日」「エデンの東」「猿の惑星」の映画作品という構成で話が進んでいくことがイントロからわかる。
「赤狩り」時代に迫るとともに、その人間模様や映画作品も解説する意欲作。
今なぜ、ハリウッドの赤狩りをテーマにしたのか?
私は、やはり作者の問題意識は、赤狩りと同じ状況がアメリカや今の日本に忍び寄っているという認識があったからではないかと推測する。アメリカ国家による盗聴システムがスノーデンによって暴かれた。日本では共謀罪が成立した。北朝鮮の脅威をあおる権力者におもねるマスメディアなどなど。「市民の自由、表現の自由が奪われてはならない」そんなメッセージが聞こえてくる。
赤狩り 1 THE RED RAT IN HOLLYWOOD (ビッグコミックス)
2018/03/13 08:11
リアルで内容が充実している。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3dayuh - この投稿者のレビュー一覧を見る
非米活動委員会の目的は、国益を守ることであった筈であるが、当時のソ連に対抗しようとして、思想・表現の自由を弾圧したので、国益がそのまま国民の利益であるとはいえないことが分かる。
FBIも、スパイ活動、盗聴器設置、脅し等によって、ハリウッドを画一化された映画作りに追い込んでいくので、結局、アメリカをソ連等と同様の国家に堕落せしめてしまった。
オードリー・ヘップバーンが、後年、ユニセフ親善大使になったのは、ナチスによる虐殺を目の当たりにしたり、栄養失調を経験したことから想像できる。
戦時中の日本もそうだったが、資本主義、社会主義、あるいは封建主義等を問わず、一部の人たちの利益を追求しようとすると、全体主義に陥る危険があるが、教条主義では創造力を発揮できない。
本作品は、一部、目が小さすぎたりして顔が少し怖い(劇画にも限界を感じる)が、リアルで内容が充実している。
赤狩り 7 THE RED RAT IN HOLLYWOOD (ビッグコミックス)
2023/05/25 16:49
毎号毎号
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎号毎号、スリリングな展開ばかりで、
良い映画を見ている気分になれます。
今号でも、スパルタクスという有名な映画がつくられていく過程にひきこまれました。
お子さんの、おとうさんを信じての成長にも拍手をおくりたいです。

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