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44件
エマ
著者 著者:森 薫
貴族ウィリアム・ジョーンズはかつての家庭教師、ケリー・ストウナーを久方ぶりに訪ねた。そこで眼鏡をかけた聡明なメイド、エマと出会い、徐々にふたりは惹かれ合う……ヴィクトリア朝の英国ロンドンを舞台に、伝統と革新のブリティッシュロマンスが始まる!
エマ 10巻
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エマ 8 (Beam comix)
2007/03/25 22:02
萌えではないメイド
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジェニファー - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつのまにやら、メイド=萌え〜という図式ができあがり、表紙がメイドだというだけで、このマンガも敬遠されかねない雰囲気があるが、実際この中身は「萌え」などという軽々しいものではなくて、かなり正統派のラブロマンス。
とある未亡人のもとでメイドとして働くエマと、爵位は持たないがジェントリ(上流階級)の御曹司として将来を期待されるウィリアム・ジョーンズの、禁断の恋模様である。
「身分」というものの差が、現代からは想像もつかないような障害だった時代に、この二人がどんな道を選ぶのか、本編連載中はかなりハラハラしながら見守っていた。
ヴィクトリア朝イギリスをかなり忠実に描きつつ、二人の行く末にもある意味現実的な着地をさせて、本編は終了しているのだが、今回の八巻は、主人公のエマとウィリアムが登場しない番外編的な作品を集めた一冊になっている。
本編が七巻というと長編のようにも感じられるが、非常に話のテンポが早く、エピソードの一つ一つをうまい具合に省いたり、読者に想像させたりすることで話を運んできたので、番外編がその穴を埋める役割を果たしてくれていて、ファンとしては非常に美味しい。
エマの恩人である未亡人ケリー・ストウナーの若き日々や、ウィリアム・ジョーンズとの恋に破れ、傷心のエレノア・キャンベルのその後など、見所がてんこ盛りである。
このマンガのおかげで、ヴィクトリア朝イギリスにはまってしまった私は、作者あとがきの「マナーハウス」というDVDにもかなり興味をひかれた。なんでも、現代にヴィクトリア朝の生活をすべて再現してみるというドキュメンタリーらしい。もし私が参加するなら、ぜひともお嬢様付きのメイドがいいなあ。エレノアのメイドみたいな。
エマ 7 (Beam comix)
2006/08/16 13:24
「エマ」完結
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:胡柚子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィクトリア朝イギリスが舞台の、メイドと貴族の恋物語。アニメにもなった人気作品です。
前巻で、エマが謎の男にさらわれ、まさに危機一髪の事態。これからますます波乱万丈の展開に……と思ったら、なんと本書が完結編。他の巻よりやや厚めなのは救いですが、もっとながく続いてほしかった!その意味では、実は★四つにしたい気分です。
それでも★五つにしたのは、作品全体を通して、すばらしいと思ったから。映画のような美しい絵と、オーソドックスだけれど、ぐいぐいひきこまれるストーリー展開。そしてなにより、心に響くセリフの多さに惹かれました。他のコミック作品に比べ、セリフ自体はたいへん少ないと思いますが、だからこそよけいにセリフの重みを感じます。
これから連載される番外編はもちろん、作者の他の作品も楽しみにしています。
エマ 4 (Beam comix)
2004/06/04 21:45
再会
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:渦巻 - この投稿者のレビュー一覧を見る
王道ラブロマンスもついに4巻である。
前主人ケリーの他界後、行き先を告げずロンドンを発ったエマ。
階級の差を皮肉り、非の打ち所の無いジェントリを演じ続けるウィリアムは、反対にエマへの思いは募らせるばかり。だが、彼はある一つの決断を下してしまう。
エマは、新しい主人について二度と土を踏むことの無いと思っていたロンドンへ戻ってくる。
そして二人の切れかけた運命の糸を紡ぎよりあわせるのは、謎の貴婦人ミセス・トロロープ…。
森薫の絵が好きだ。
少しセピアの紗のかかったような、木の手触りのする絵が好きだ。
まさに家庭内手工業のような、「工場」ではなく、「工房」で作られたような世界。
肉感のある人物、細やかに描かれた背景と調度品。
ぐんぐん絵が巧くなっているのがわかる漫画家だと思う。
私はどんどん好きになっていく。
正統派のはがゆい恋愛物語だと思うが、恥ずかしがらず読める。
それはコマの切れ味の良さと、少女漫画等で多用されるリリカルな独白が無いからではないだろうか。
登場人物の無言の表情、ちょっとした仕草に、言葉にあえてしない感情が滲み出る。
その象徴の一ついえるのが、第29話の扉を背にした抱擁だと思う。
ゆっくりした馬車のペースで見守っていたい二人、漫画です。

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