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21件
あれよ星屑
著者 著者:山田 参助
敗戦から1年あまり。ぼろぼろに焼け落ちた東京で、酒浸りの暮らしをしていた川島徳太郎は、かつて死線を共にした戦友・黒田門松に再会し……。その非凡なる画力に、同業者からも熱烈な賛辞を受ける、異色の漫画家・山田参助が挑む初の長編作。
闇市、パンパンガール、戦災孤児、進駐軍用慰安施設など、戦後日本のアンダーワールドの日常を、匂い立つような筆致で生々しく猥雑に描き出す、敗戦焼け跡グラフティ、開幕。
あれよ星屑 7巻
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2018/02/17 13:57
昭和は遠くなりにけり
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:turkey_lie - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どものころからマンガを読むと、ショックを受けることが多々ありました。
永井豪のデビルマンから始まり、森脇真末味のBLUE MOON、近年は豊田徹也のアンダーカレントでしょうか。
この本は、誰かが書いたネットの批評を読み、3巻まで刊行された時期に読み始めました。
商業作品であるのに、世情を吐露したかのような作風に、胸を締め付けられ、子どもの時のあの感覚を取り戻しました。
生きることを大切にする者、持て余してしまう者、それぞれの終わりを目にし、呆然としてしまう。
たかが絵なのに、創作した物語なのに、事実・現実以上に取り込まれてしまいます。
この先、この本(電子書籍ですが)を、何百回も読み返すと思います。
死ぬ瞬間に思い馳せる作品になるかも知れません。
この本そして作者との出会いに感謝します。
2024/03/30 14:48
是非読んでください。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shandy - この投稿者のレビュー一覧を見る
胸が痛くなって、悲しくて、一気には読めませんでした。でも、この作品は、大勢の方々に読んでもらいたいです。
あれよ星屑 7 (BEAM COMIX)
2022/11/05 15:50
済んだことをなかったことにしない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
川島がこんな最期を迎えるとは…。何とも言えない読後感が残る。
「済んだことをなかったことにはできんのです」との川島の言葉。
作者の意図はともかく戦争や軍隊の罪深さを感じ、新しい反戦漫画として読める気がした。
よくある戦争映画では、戦場は勇敢な男たちが戦う場として大まかに描かれる。だが実際にはそんなシンプルな場ではなかったはずだ。
そこにいたのは時代は違えど、今のわれわれと変わらない普通の人間たち。
人を殺すため狂気に満ちた組織に染められた男たちは、いまの一般のサラリーマン同様、上に媚びへつらう人もいれば組織に染まり切れない人、正義感の強い人もいればずるい人、利己的な人もいただろう。
賢い人、そうでもない人、乱暴な人、気弱な人、本当に様々な人がいたに違いない。
最初読み始めた時には、間違えて購入してしまったと思うほど、男女の絡みなどエロ描写に戸惑ったが、それも含めて、きれいごとでは語れない時代をしっかり描いた作品なのだと思う。
被害も加害も入り混じった戦争の現実。戦後の日本。
戦時中の人は自分たちとは違う遠い歴史上の人のように考えてしまっていたが、そんなわけはない。そんな当たり前のことを考えさせてくれる最終巻だった。