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13件
ブラッドハーレーの馬車
著者 沙村広明 (著)
かつてこれほど残酷な、少女の運命があったたろうか―。
資産家・ブラッドハレー家の養女になることが、孤児院の少女たちの憧れだった。
ブラッドハーレー聖公女歌劇団で華々しく活躍する…
そんな期待に胸を膨らませた少女たちがたどり着いた先は、暗い暗い塀の中。恐ろしく壮絶な悪夢が始まる―。
ブラッドハーレーの馬車
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ブラッドハーレーの馬車 (f×COMICS)
2008/02/15 09:28
願わくば祈りを
19人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.14計画。パスカの羊。過酷な潮流に巻き込まれた少女たち。
罪の物語。無垢に対する残酷の話。
歌劇団を擁する、格式ある公爵ブラッドハーレー家の養女へ。
華やかな舞台への進出に孤児たちの喜びはどれほど大きかっただろう。
人生が転換する時。無残なる別舞台の幕が開かれる。
少女たちの夢。美しい未来が拡がっていると信じて止まなかったこと。
夢が叶った瞬間。希望は無残に踏み躙られる。
肉体的、精神的に極限の蹂躙。穢れ汚されてしまうこと。
物語の力。画力に定評ある作者は、作中でこころを切り取りそれを写した。
夢と誇りについても。現実の残酷を以って対比とし震えるものを作品として。
一片の絵には物語があるように、憂いが細部にすらも掛かる。
コマのひとつひとつ。第六話の最終ページが胸に焼き付いて離れない。
燃えつきる灯火としての少女のことば。夢から諦観へと変わった瞳に見えるものは…。
かなしい、どころではない。
そのものは、見るものから言葉を奪わせる。
言葉というものは感情にいつも追い付かない。
夢が潰えて、汚される。
攻撃性の捌け口。祭りの贄、儀式存在に供されること。
過酷な現実を前にして、少女たちのこころは消え入りそうなままに…。
システムに投げ込まれた人々たちの悲劇。
システムのなかで人は人であることを止めている。
四肢が冷たいままに、はらはらと内が撹乱される。
人として生きる誇りを強く思う。
祈りに似た気持ちを少女に思いもする。
願わくば祈りを。
夢みた少女のこころのために。
ブラッドハーレーの馬車 (f×COMICS)
2015/08/21 20:30
孤児院の少女達の話
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
巻頭にカラーページが付いてます。本編はストーリーよりも、体が痛めつけられる残忍なシーンの方が目立つ漫画でした。
ブラッドハーレーの馬車 (f×COMICS)
2016/05/18 23:11
好き嫌いは分かれるけど
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽえよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと読んでみたくて、ついに購入しました。
沙村先生の本を読むのは初めてでしたが、この一冊だけでこの方の趣味がきっちり補完されてますね笑
最後まで救いのない話なのに、それぞれの話のラストが清々しく描かれていて絶望感というか切なさを感じます。
思わず目をつむってしまいたくなるくらい生々しく過酷な話ではありますが、近代ヨーロッパみたいな雰囲気が好きな方は気にいるかもしれません。実際こういうことがありました!と言われても信じちゃいそうですし…