ブラッドハーレーの馬車 みんなのレビュー
- 沙村広明 (著)
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2008/02/15 09:28
願わくば祈りを
18人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.14計画。パスカの羊。過酷な潮流に巻き込まれた少女たち。
罪の物語。無垢に対する残酷の話。
歌劇団を擁する、格式ある公爵ブラッドハーレー家の養女へ。
華やかな舞台への進出に孤児たちの喜びはどれほど大きかっただろう。
人生が転換する時。無残なる別舞台の幕が開かれる。
少女たちの夢。美しい未来が拡がっていると信じて止まなかったこと。
夢が叶った瞬間。希望は無残に踏み躙られる。
肉体的、精神的に極限の蹂躙。穢れ汚されてしまうこと。
物語の力。画力に定評ある作者は、作中でこころを切り取りそれを写した。
夢と誇りについても。現実の残酷を以って対比とし震えるものを作品として。
一片の絵には物語があるように、憂いが細部にすらも掛かる。
コマのひとつひとつ。第六話の最終ページが胸に焼き付いて離れない。
燃えつきる灯火としての少女のことば。夢から諦観へと変わった瞳に見えるものは…。
かなしい、どころではない。
そのものは、見るものから言葉を奪わせる。
言葉というものは感情にいつも追い付かない。
夢が潰えて、汚される。
攻撃性の捌け口。祭りの贄、儀式存在に供されること。
過酷な現実を前にして、少女たちのこころは消え入りそうなままに…。
システムに投げ込まれた人々たちの悲劇。
システムのなかで人は人であることを止めている。
四肢が冷たいままに、はらはらと内が撹乱される。
人として生きる誇りを強く思う。
祈りに似た気持ちを少女に思いもする。
願わくば祈りを。
夢みた少女のこころのために。
2015/08/21 20:30
孤児院の少女達の話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
巻頭にカラーページが付いてます。本編はストーリーよりも、体が痛めつけられる残忍なシーンの方が目立つ漫画でした。
2016/05/18 23:11
好き嫌いは分かれるけど
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽえよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと読んでみたくて、ついに購入しました。
沙村先生の本を読むのは初めてでしたが、この一冊だけでこの方の趣味がきっちり補完されてますね笑
最後まで救いのない話なのに、それぞれの話のラストが清々しく描かれていて絶望感というか切なさを感じます。
思わず目をつむってしまいたくなるくらい生々しく過酷な話ではありますが、近代ヨーロッパみたいな雰囲気が好きな方は気にいるかもしれません。実際こういうことがありました!と言われても信じちゃいそうですし…
2024/02/04 07:24
舞台となるのはヨーロッパのどこかの国。 どこかの国の、架空の法律・システム。 だからこれは、御伽話のようなものだ。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サディズムとマゾヒズムは一つのものの両面であり、両者は混淆し、交代可能だとよく言われる。
この物語はサディステックな視点からの残酷劇で、精緻な絵柄で丁寧に描かれているものの、辻褄やリアリズムといったことは、おそらく作者の眼中にない。
もちろんカラクリとしてもっと精巧な物語の枠組みを作ることもできたのだろうし、それがなされた場合、この残酷劇はより一層の輝きを示したことと思われる。
本書は成人向け書籍ではない。
故に、エロティックな見せ方は排除される。
そのことが、むしろサディズムの純粋性をあらわしてくる。
作者にとって、一般的なポルノよりも、この薄暗い想像力が、何よりもそそるのではないか?
この劇は、倫理的な意味で舞台にも実写映画にもなし難いだろう。
最大限の人材を取り揃えたアニメ版なども夢想してしまうが、こういったことは、共同の夢とはなりにくい。
社会秩序に対し、作者の意図はどうあれ、攻撃的なのである。
この歪な夢は魅力的です。
この作品が作者の妄想を直接に表すものではなく、倒錯が物語の強度を支えることは稀である。
欲望というものは全体を見えなくする、一つの集中である。
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