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42件
坂道のアポロン
著者 小玉 ユキ
1966年初夏、横須賀(よこすか)から地方の高校へ転入した薫(かおる)。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め…!?●収録作品/坂道のアポロン(1)/種男
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坂道のアポロン 9
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2015/08/31 23:49
懐かしい
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papakuro - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台設定が1960年代,おじさんには懐かしい。
高度成長で日本が一番エネルギーにあふれていた頃ですね。
アメリカへの強いあこがれがあり,ジャズにはまった人たちも多かったころです。
音楽を聴くのにも,今のようにスイッチ入れれば永遠に垂れ流しではなく,レコードの埃をぬぐい,ターンテーブルに載せ,、そっと針を下ろして,20分たったらレコードを裏返して,と手間をかけなければならなかった分,音楽へのありがたみが強かった思います。
さて,若者たちのセッションはこれからうまくまとまっていくのでしょうか。
ところで,敬虔なクリスチャンの不良なんて,長崎ならではですね。
坂道のアポロン 6 (flowersフラワーコミックスα)
2010/06/11 15:55
ますますいい味出しているなあ。1960年代の日本を舞台にした恋と友情の青春グラフィティな漫画。大好きです、このシリーズ。
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1960年代の日本を舞台にした青春グラフィティ。このシリーズ、とにかく泣かせてくれます。登場人物たちの友情、恋、夢、情熱、失意、葛藤する姿が、どうしようもなく、こちらの心を揺さぶってきます。その泣かせる筆致の、いや、上手いこと、上手いこと。私は1960年代に生まれた人間で、この本の舞台になっている辺りのことはうろ覚えなのですが、それでも、とてもなつかしい気持ちになります。
この第6巻では、冒頭に描かれた桂木淳一のエピソードがまずよかった。ていうか、ここでこのエピソードを持ってくるっていうのが上手い! 私の中の淳一のイメージ・好感度が、このエピソードを読むことでぐんとアップしました。そのことが、ここから先の話の展開の伏線となるっていうのかな、いい感じで繋がっていくんですね。うん、話の持って行き方が上手いなあって思います。
「SCENE 27」の扉絵で律子が持っているレコードが、そのジャケットカバーのイラストから、Bill Evans Trio の『Waltz for Debby』だろうと特定できるところ。あるいは、本巻の終盤、駅でのシーンが、ビリー・ワイルダー監督の映画『昼下りの情事』の名シーンを連想させるところ。何やらとてもなつかしい気がするこうした隠し味が、話の端々に隠されているんですね。知っていなくたって構わないけど、知っているとさらに味わいが増すみたいな。料理で言えば、スパイスのような隠し味。さりげないけど、上手いよなあ、いいなあって思うのです。
巻末に、「夜警」という掌編を収録。ファンタジックで、ちょっとだけホラーなゴースト・ストーリー。『坂道のアポロン 5』所収の「天井娘」、『羽衣ミシン』所収の「番外編 かえりみち」など、こうした粋でファンタジックなショート・ストーリーを書かせると、小玉ユキさん、ほんと上手いなって感じますね。ここでの「夜警」も、ブラッドベリの『火星年代記』収録の短篇のテイストっすね。好きです。
坂道のアポロン 5 (flowersフラワーコミックスα)
2010/01/19 12:11
薫と千太郎、ふたりの友情に、胸が熱くなる。なんて気持ちのいい青春漫画なんだろう。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1960年代後半の地方の高校(九州は福岡県内の高校をイメージして、私は読んでいます)を舞台に、転校してきた西見 薫と川渕千太郎の友情と恋を描いてゆく青春漫画。その当時のなつかしい空気が立ち上ってくる絵柄の中に、男ふたりの同級生の友情が生き生きと、それはもう切なくなるほどに生き生きと描き出されていて、胸がぎゅっと締め付けられます。
本巻では、仲たがいしていたふたりの気持ちが歩み寄り、今まで以上に信頼関係が強固なものとなるシーンがよかったなあ。そこから、薫と千太郎ふたりのジャム・セッションへとなだれ込む場面は圧巻、怒涛の名シーン。激しく心が揺さぶられました。
作家の長嶋 有による、本の帯の文章も上手いですね。<どこまでも王道の少女漫画でありながら、二人の友情はすぐれて少年漫画的、稀有な両立がここにはある。>というもの。この漫画の魅力の核を衝いて、言い得て妙というしかないっす。
巻末の掌篇「天井娘(てんじょうむすめ)」、これがまた心あたたまる一品で、よかったー。チャーハン食べてるとき、実に幸せそうな表情を登場人物のひとりが見せるひとコマがあって、それがとってもいいんですよね。同じ著者の“チャーハン出てくるシーン”では、「川面のファミリア」(『光の海』所収)、あれもハートウォーミングで素敵な作品だったな。
著者の漫画をとりあえず何かひとつ、読んでみっかなとゆう方には、『羽衣(はごろも)ミシン』をおすすめします。鶴の恩返しならぬ白鳥の恩返しを描いて、胸熱くなる恋の物語に織り上げています。こちらも、ぜひ!