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姉の結婚
著者 西炯子
「娚の一生」で大人気を博した西炯子が、またまた恋愛漫画の新境地を開く会心作を打ち出す。もう恋愛だの結婚だのは煩わしいと思っている独身女性ヨリ(39歳)の前に、突如として幼なじみと名乗る怪しいイケメンが現れる。新手の詐欺かと思いきや、本当に少年の頃からヨリを慕っていた精神科医・真木。しかし彼は妻帯者だった……。避けよう避けようとするヨリを追い詰める真木。さらに真木の妻はヨリにそっくりの容貌だった。同居する妹の心配をよそに事態はだんだん泥沼に。この恋愛(?)の行く末はどこに落ち着くのか?
姉の結婚 8
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2016/11/10 12:13
姉の結婚
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
不倫がどうとかっていう問題を置いといて、フィクションとして非常に面白いと思います。マキ先生が法外に強引なのは、中学時代に本当に欲しいものが手に入らなかった渇望感と現在の奥様に対する欲求不満があるのでしょう。でも、よい子は絶対にマネしてはいけません。犯罪です。
なにより絵が美しいです。マキ先生の容姿もそうですが、花を持ってヨリさんを訪ねるところ、ヨリさんが安易になびかない姿も、とても絵になっています。まるで明治大正時代の文豪の小説のように思いました。
2020/07/19 18:20
距離が縮まる,葛藤も強まる第3巻
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かっぱ - この投稿者のレビュー一覧を見る
真木とヨリの距離が縮まる第3巻.一方で「不倫なぞしてる場合じゃない」との葛藤も強まっていく.恋うる人との距離が縮まるほど苦しくなる,という普通の恋愛とは逆の反比例が生じるのが読んでいて胸が痛むところ.
作品全体を通して私が最も好きな一連の台詞がpiece.16(第3巻4話目)の,ヨリの自己評価の低さを真木が指摘する説法タイム.「(今まで男性に大事にされなかったから)私はその程度の女なのよ」というヨリに「それは男たちの君に対する評価ではない 君が自己評価の低さゆえにそういう不当な扱いを許し続けていたということ」と返す真木.この一言,10~20年前の自分に聞かせてやりたい.
真木はヨリと会話をしたがる,女性は話を聞いてもらうのが歓びだから,斯様な愛され方をして惚れずにいるのは難しかろうというのは読んでいて共感するところ.男前の定義に「会話を求める」を加えた著者を称賛する.
いよいよヒリヒリの第4巻に向けた踏切台のような第3巻です.
2020/07/19 12:04
コテコテの設定を超えた魅力
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かっぱ - この投稿者のレビュー一覧を見る
星5つつけるのはとても悔しい.設定はコテコテだし好まない箇所も多々ある.しかし,続きが気になり買い続けて1週間,読了後も毎日飽かず読み返しているのもまた事実である.なお,この星の数は作品全体の評価で,巻ごとの評価は個々につける予定.
この作品の魅力とはつまるところ真木という人物の魅力なのだと思う.
主人公・ヨリの前に突然現れて熱烈に愛を告白し追い回す真木誠(まき・まこと).
相当に強引だが横暴ではなく,ヨリへの労りが随所に感じられる.
逢引しても「今日は(肉体関係は持たず)話したい」と度々口にする.
妻帯者であることは早い段階で自ら申告し,妻よりヨリを愛しているが「妻と別れて君と結婚する」などできない約束はしない.その意味で,その名に「まこと」の字が2つあるように誠実な男である.
自分をいじめた相手への恨みをひきずらない.自分にとって迷惑な人物に対しても「敬意を払う」「信用している」と伝えるため相手も毒気を抜かれてしまう.
私の感じる真木の魅力は枚挙に暇がないが,これらがなければこの作品は
「40間近のいけてない女が突然超ハイスペックイケメン※に熱烈に愛される」
という女の願望を煮凝りにしただけの作品でしかなかったろう.
エキセントリックなれど紳士的で誠実な,総合的に「男前」の真木だからこそ彼らの恋路を応援する気持ちになれるのではないか.
※真木はモデルと見まごう高身長の美青年,T大博士課程卒の精神科医で大学医学部の講師でもあり著作多数のベストセラー作家でもある.その目立つ風貌と著作者としての実績から,地元の文化人として街を歩けば名が囁かれるほどの知名度がある.
描きながらストーリーを紡ぐタイプの作家なのか,全8巻の中には伏線の回収に無理を感じる場面も多々あり星0.5くらいは引きたい気持ちがある.それでも,コテコテの設定を超えた魅力を真木から感じられるため,買って損はなかったと感じている.
私が丁度今月で40歳になった「いけてない女」(既婚ではあるが)のためシンパシーを感じまくっている可能性もあるので,属性の異なる方は話半分に聞いていただいた方が良いかもしれぬ.そこはお断りしておきたい.
性描写も中々激しいので青少年には薦めません.
'70~'80年代生まれ世代,またアラフォーの女性にお薦め.あと,男性に読んで「紳士的とは何か」を考えてもらえたら嬉しい.