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360件
美味しんぼ
東西新聞文化部に配属された新入社員・栗田ゆう子は、希望あふれる出社初日から、憧れの新聞社にも山岡士郎のような無神経でぐうたらな先輩が居ることに驚かされる。だが文化部全員が受けた味覚テストに合格し、大原社主・肝入りの企画「究極のメニュー」の担当者に選ばれたのは、ゆう子と山岡の2人であった…。
美味しんぼ 111
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美味しんぼ 102 (ビッグコミックス)
2009/04/20 13:54
20年の力
11人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
海原雄山と山岡士郎という親子が主人公のこの美味しんぼだが、両者はとくに息子の山岡の誤解やらで反目し合っていた。それが、100巻ぶり20年をかけて和解した。和解と聞いた時、安直な強引な展開を心配したが、それこそ誤解であった。言葉少なに自然としたものだった。それが美食倶楽部で行われたことは感慨深い。本当にいいドラマを見たなという感じだった。
わたしは最近ではレッドクリフやらも書評を通して感想を述べたが、映画もよく見る。しかし、映画というのは基本的に底の浅い運命にあると感じるに至っている。何時間でも語れるが、一言でいえば「所詮2時間」ということだ。100巻20年の最終回の思い入れノ前には塵も同然。「相棒」の映画がなぜ面白いのかといえば、テレビで5年以上もやっているから登場人物の背景の説明が要らず、まるまるストーリーに使えるからだ。その意味で、2人の和解というのは見た方がいいと思う。
この美味しんぼの功績というのは非常に大きい。およそ食に関することにあっては、学術本の比ではない。著者の鋭い食品業界批判が何度となくしかも正当に主張されたこともその一つであろう。いきなりだが、何の批判をすることがいちばん難しく尊いことというべきだろうか。憲法上では政治に対する批判こそが最大の価値を有する。しかし、資本主義的民主主義の下では、最も批判が容易なのが「政治」であろう。逆に一番批判が難しいのは、巨大企業である。この本質を見落とすと世の中の事象はすべて濁って見ていることになる。
インチキ「ニュース23」などというのはジャーナリズム宣言などといって、筑紫を先頭に政治の悪口ばかり言って大はしゃぎして喜んでいたが、巨大企業の悪口は言えない。なぜなら、車の悪口を言えば車会社が、食品会社ならロッテやらハウスやらが協賛を降り、番組はつぶれる。
著者はかつて言っていた「101巻が批判の限界なのです。」と。現実にはもっとひどいのだろう。そして著者は食品業界から大変な圧力を受けていた。現に広告を降りられ、有名どころではマイクロソフトが協賛を降りた。にもかかわらず、雑誌スピリッツは美味シンボを続けた。これは勇気のいることだし、隠れたジャーナリズム宣言といってよい。何度も言うが、ニュース23やらテレビとくにTBSや朝日新聞の「ジャーナリズム」など適当でいい加減、ダブルスタンダードありありのインチキなのである。政治の批判など誰でも出来る。
一巻から読み始めた人は、おそらく60巻以上はあまりに質が落ちて読んでない人も多いだろう。私もそれが原因で読んでない巻もある。明らかに初期の珠玉の話に比較すると質の低下は著しい。だから嫌いだった。しかし、著者もそのことは認めているという話を最近聞いた。そして著者は著者なりに苦しんでいたようだ。それを聞いてからはそれも込みで読むことにした。そうすると、60巻以降はストーリーよりもむしろ真の意味で「教養本」に近づいたとみて間違いない。話がないぶん、知識が非常に含まれている。この現象は70巻以降の「こち亀」に顕著に見られる漫画の末期症状である。が、こち亀の知識はフィギュアなどが中心でクソ虫の役にも立たないが、美味シンボの知識は陶芸から茶道、郷土文化にまでおよび天と地の差がある。
美味しんぼは完全に最終回というわけではないが、若かった主人公たちに子供が生まれ、いま和解がなった。時は流れたわけだが、いまのマンガに20年引っ張れる力があるだろうか。非常に心もとない。
美味しんぼ 101 (ビッグコミックス)
2008/06/13 22:26
山岡さんが3人の子どもの父親になっていた
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「美味しんぼ」との出合いは耳鼻科の待合室でした。子どもの通院のたびに熱中して読みました。しかし、買ってまで読みたいとは思いませんでした。そして十数年たった今、「食の安全」が載っているマンガ本があるから読んでみたら、と薦められたのが「美味しんぼ101巻」でした。
第1話 親の味・この心
驚きです。山岡さんが3人の子どもの父親になっていました。
第2話
食の安全1 「食品の裏側」の作者、安部司さんが登場します。(「食品の裏側」購読しました)
食の安全2 たくさんの添加物の絵が描かれています。視覚の力はすごいです。
食の安全3 日本人の心を壊す「幕の内弁当」
食の安全4 「変わる家族 変わる食卓」の作者、岩村暢子さんが登場
食の安全5 「オーガニック電話帳」の作者、山口タカさんが登場。鹿児島出水市で作っている浅草海苔の取材
食の安全6 香川県高松市「サワラ資源回復計画」 小豆島の醤油作り
食の安全7 千葉県成田市の野菜の自分で種を採ることを広める活動を取材 青森県上北郡東北町の有機野菜の栽培
食の安全8 静岡県藤枝市の無農薬無化学肥料栽培の煎茶・紅茶作り 富士山麓の養豚場
食の安全9 長野県佐久市の有機農業
絵が細やかに描かれていて作者の熱意が感じられました。情報は与えられるものではなく、自分から発信するものだといいます。書評を書くことで微力ながら発信できたらと思います。
是非、興味のある方に読んでいただきたいと思います。
美味しんぼ 95 (ビッグコミックス)
2006/06/24 22:07
焼酎も日本酒です
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:南亭骨怠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
思えば,「美味しんぼ」に出会ったのは中学1年生のとき。あれから四半世紀。いつの間にか山岡士郎と同じような年齢になり,そして山岡・栗田と同じ頃に子供が生まれた。今では,家族そろって山岡家の年齢を追い越している。
95巻は,3分の2が『焼酎革命』
いくつかの蔵元が紹介されている。その若き蔵主たちの焼酎にかける思いは,とても気分が良い。晴れた朝の爽やかさ。「焼酎も日本酒です」西酒造の34歳の若き社長のセリフだ。焼酎が日本酒の領域に加わってくることで,日本の食文化は広がりを増す。焼酎が洗練されていく・・・楽しみが一つ増えた。
初期の美味しんぼに,「日本にはスピリッツがない」と嘆く者に沖縄の古酒を薦める話があった。あれから20年,日本の焼酎は世界に誇れるスピリッツになったのだ。
95巻に出てきた焼酎をいくつか飲んでみよう。
どうやら焼酎は生魚にはあわないらしい。その分,肉料理には絶妙なようだ。生魚には日本酒,肉料理には焼酎・・・これからの定番になりそうだ。
この巻には,「美味しんぼ」の長い物語の変換点となる部分がある。山岡がついに後任者を指名した。山岡・栗田が究極のメニューから引退する。
もうすぐ100巻。究極のメニューをまとめ,海原雄山と和解する? さて,どうなるか。ここまできたら,最後まで買い続けよう。

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