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送り火
著者 重松清 (著)
家族の幸せを思うとき、自分自身は勘定に入れない。「あの頃の父親って、ウチのお父さんだけじゃなくて、みんなそうだったんじゃないの?」女手ひとつで娘を育てあげ、いまはさびれた...
送り火
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送り火 (文春文庫)
商品説明
家族の幸せを思うとき、自分自身は勘定に入れない。「あの頃の父親って、ウチのお父さんだけじゃなくて、みんなそうだったんじゃないの?」女手ひとつで娘を育てあげ、いまはさびれた団地で独居する母が娘にそう呟く(表題作)。パンクロック評論で注目された青年の四半世紀後を描く「シド・ヴィシャスから遠く離れて」。大切なひとを思い、日々を懸命に生きる人びとのありふれた風景。とある私鉄沿線を舞台に「親子」「夫婦」のせつない日常を描いて胸に沁みる9つの短篇。
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紙の本
生きる事死ぬ事、そして命。
2007/09/25 11:27
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
命の物語である。
9つの短編は、富士見線という架空の路線で繋がってはいるが、
それ以外には全くつながりは無く、別の話しになっている。
でもそれがまた、すごくうまいのだ。
読んでいて、至極細いけれどもしっかりとした繋がりを感じられる。
それはなんだろう、安心感というのとも違う。
例えて言えば、DNAの螺旋の繋がりのようなものだろうか。
目には見えないし、感じる事もそうそうない。でもある時突然に、
しっかりと命を繋いでいる事を意識させられるような、そんな感触。
読み口は氏の傑作「流星ワゴン」に近い。
でも流星ワゴンでは「ワインレッドのオデッセイ」を登場させる事で、
ちょっとだけSFの香りが漂っていたのに対し、
本作では短編にして一つ一つの物語を研ぎ澄まし、
「命」という重たいテーマに正面からぶつかって、見事に表現している。
9つの物語はそれぞれに読み味が違うのだが、
どの作品もあまりに濃く、深い。
思わず「ぐううう・・・」と声が出てしまう物語ばかりである。
人間生きていれば、必ず出会う命の終焉。誰もが思い悩む生きる意味、
命の重さって何なのか。100の命があれば100の生き方があり、
100の命の重さと感じ方と、大切さがある。
それを、9つの角度から感じさせてくれる珠玉の作品たち。
ぜひにと、オススメしたい一冊です。
紙の本
現代の家族と、少しのホラー要素
2018/07/14 20:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、重松清の本に結構はまっている。するすると読みやすいし、現代の家族を描いていて、色々と考えさせられる。
この作品は、今まで読んだのと少し毛色が変わっていて、ちょっとホラーな?要素もあり、「世にも不思議な物語」的な色があるような作品も中にはある。
それにしても、夫婦の間で、少し隙間風が吹いていたり、家に帰りたくない男とか、夫と一緒の墓に入りたくない妻とか……まあ、どこの夫婦もそんなもんなんだろうなあと思うと、少しは慰められる。