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オワスレモノ
著者 加門七海 (著)
人身事故のため、停車中の通勤電車内。男は網棚付近に漂う黒い靄(もや)のようなものを目撃する。他の誰も気づかないが、禍々(まがまが)しい気配を放つ何か……。やがてそれが男に...
オワスレモノ
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オワスレモノ 傑作ホラー小説 (光文社文庫)
商品説明
人身事故のため、停車中の通勤電車内。男は網棚付近に漂う黒い靄(もや)のようなものを目撃する。他の誰も気づかないが、禍々(まがまが)しい気配を放つ何か……。やがてそれが男に向けて迫ってきたとき、彼を襲った身の毛もよだつ出来事とは?(表題作)実話怪談の名手でもある著者が描く、日常の隙間(すきま)から立ち現れる怪異の数々! 全8編を収録。
著者紹介
加門七海 (著)
- 略歴
- 東京都生まれ。多摩美術大学大学院卒。美術館の学芸員を経て、「人丸調伏令」で作家デビュー。他の著書に「猫怪々」「鍛える聖地」など。
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尖りまくっている人物たち
2019/03/13 10:37
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく練られた重層的な世界と構造、それぞれの特長を的確に捉え、短編には適度な謎の断片と余韻が残る。
「怖い」かどうか、だけの表層だけで読まれているとしたら実に不幸なことである。
本書の人物はどれも若く血気さかんである。いつもカリカリしていて世の中に腹を立てている。
都市生活のストレスと微妙なすれ違いやすき間が生む「居場所のなさ」「生きづらさ」と真正面から向き合っている。
人工的に構築された街も怪異や死と無縁ではない。
入院した病棟の院内感染、風に舞った洗濯物を追って、疾走する車が事故を起こし、あっけなく人は死んでしまう。
それらは偶然の事故・自殺として簡単に片づけられ、誰からも顧みられる事はない。
だが亡くなった当人にも人生があり、望む望まぬとに限らず死に至った理由がある。
残された人にそれを知る術はない。
ともすれば、遺体はただの障害物に過ぎず早く片づけなければならない、ゴミと同然の存在にされてしまう。
痕跡も尊厳も忘れ去られた人々の無念はいつか「オワスレモノ」として結実し、我々に報復を始める・・・。