途中から大きく方向転換して予想外の犯人に行き着く構成に感服でした。
2020/03/24 10:18
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中から大きく方向転換して予想外の犯人に行き着く構成に感服でした。加えて、殺伐とした犯罪ものに、関西(大阪)文化圏=ブン(文田)巡査部長と東京文化圏=萩原警部補の文化的対立を絡めることで、味わい深い作品に仕上がっている。身元不明の焼死体を追跡して、 中盤で海難偽装事件と判明した時点で、行方不明の3人の仲間割れと犯人・動機の概要が見えたと思ったのに、何とそこから事件は大きく方向転換。全く予想外の真犯人に辿り着くのだから驚き。ただ、事件の殆どを一人で解明してしまう萩原警部補の動きが余り描かれたないのがちょっと隠し玉的で不満。主役と思われた「ブンと総長」が萩原警部補の引き立て役的存在だったのも意外でした。なお、子犬がじゃれ合うような雰囲気の関西(大阪)対東京の文化対決は、頭脳明晰で行動力もある萩原警部補が、怠惰で愚鈍なブン(文田)巡査部長を圧倒してましたね。これ少々格差付け過ぎの感じがありますね。5点でも良い面白さでした。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪府警、ブンと総長シリーズ、はじめ読みました。
同じ大阪府警の黒マメコンビと似たような感じですね。
テンポが良いので読みやすいです。
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大阪府警搜査一課の「ブンと總長」シリーズ第一彈。
黒川博行の警察小説には他に「黒マメコンビ」シリーズがあるが、いづれも面白い。
この作品では、海運業の利權が問題となつてゐる。
新しく船を造るためには、古い船を廢船しなければならない。
廢船にした船の積み込みトン數に應じて、新しい船を建造することができるのださうな。
したがつて、もう使へないような古い船でも、いはば造船權としての價値があることになる。
こんなこと、この本を讀んで初めて知つた。
ただオモロイだけの小説ではない。
2004年5月21日讀了
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2007/6/15読了。文と総長シリーズ。大阪弁のアップテンポな会話は呼んでいても吹き出す面白さ。海運業界の裏事情も新鮮で楽しめました。
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ブンと総長シリーズ。&東京から来たエリート警部補。海運業界の利権を事件に絡め、展開が二転、三転していくのに加え、黒川作品ならではの軽妙なテンポの会話が合わさり、面白くて一気に読めた。黒川作品初期の最高傑作と呼ばれるのにも頷ける。
ただ、、、最終的にエリート警部補が事件を持っていくのがどうしても気に食わず、☆減点。
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黒川博行さんの警察小説シリーズ。
深夜の高速道路で車が爆発炎上。乗っていた2人の被害者は黒こげ。被害者の身元を捜査していくうちに、海運業界の内側が見えてくる…。予想外の展開で、ミステリーとしても面白かったけれど、なんと言っても面白いのが、捜査一課の刑事たちの人間模様。
大阪府警捜査一課深町班。総長こと総田部長(53)とブンこと文田(29)のコンビと、警視庁から出向中のキャリア組のメガネをかけた優男・萩原(23)がメインキャラ。主人公は、ノンキャリア組で、独身で、ウダツの上がらない文田(ブンさん)。彼が、キザで東京弁のヒヨッコ(でも、位は上)の荻原に、いちいち突っかかりながらも、事件を解決していく。
ブンさんの子供っぽいヒガミ根性が可愛い(笑)。
黒川博行さんの小説は、たまたま手に取った黒マメシリーズが面白かったんですが、黒マメシリーズは3冊しか書かれていないとがっかりしていたのだけれど、今作のように大阪府警捜査一課の、別のチームの視点で書かれた小説が、まだ何冊もあるらしい。軽快な大阪弁での刑事たちの人物描写が楽しいので、飽きるまで読んでみるつもり。ブンさんも他の小説にも登場しているらしいので、まずは、そのあたりから〜。
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大阪府警捜査一課深町班の総田と文田の"ブンと総長"シリーズ第1弾。
東京出身のキャリアで新米警部補・萩原とどっぷり大阪人の先輩巡査部長・文田がそれぞれの文化の違いをやりあいながら捜査を進めていく。
また、総田の娘・伶子をめぐる二人のやりとりも楽しい。
総田と文田のコンビに見習いの荻原が扱う事件が交通死亡事故から数億円が絡む偽装海難事故に事件が大きくなっていき面白かった。
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車が爆発炎上し二人の焼死体が発見されます。身元が割れないまま第二の爆発事件が…。
意外なところから事件が発展するところや、ロジカルに犯人を追い詰めていくところが秀逸です。非常に計算されたミステリーだと思いました。
また、関西のベテラン刑事と関東のキャリア刑事のソリの合わない掛け合いが面白かったです。
ラストはハッピーエンドでしたが、何か唐突な感じがしたので、出来れば「関連エピソード」を追加して盛り上げて欲しかったです。
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高速道路で爆発した車。乗っていた男女の身元を調べる大阪府警の深町班・文田と総田。盗まれていた車から身元を追う刑事たち。名前を変えながら移動していた被害者の男。男の身元判明から浮かび上がった第二昭栄丸の海難事故。死んだ6人の乗組員。船主の正木に話を聞きにいくが。殺害された正木。船にかけられた保険金と営業権。
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東京のガチガチの警察小説を読んでいると、黒川氏の警察小説は別物です。関西弁でぽんぽんとやり取りされるリズムとスピード感に乗せられぐんぐんと運ばれます。海運業界という全く知らない業界での社会派と言ってもいいほどの話でしたが、とても分かりやすく勉強にもなりました。今回は初版の版元の違いだそうで同じ大阪府警でも黒マメコンビではなく違う班のブンと総長が活躍します。東京と大阪、キャリアとノンキャリアなども絡めて人間関係の話も綺麗にまとまっていると感じました。ラストの情景もなかなかで読後感も悪くなかったです。
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頁を繰る手が停まらなくなった。大阪を主な舞台とした事件モノである。
物語は主にブンこと文田刑事の視点で綴られる…「飯を食い損なった…」とブツブツ言う場面も多いのだが、地道に捜査活動に勤しむブン…得られた情報を整理して繋げようとし、対外的な押し出しも好い50代のベテラン刑事の総長…研修中のキャリアとして、特段に何かに励むという程のことが求められるのでもないらしい中、独自の推理で大胆に事件の謎を追う萩原…事件現場や関係者が動き回っている大阪を踏み越えて、近県や四国方面にまで捜査の手は拡がる…不思議な事件の裏に、複雑な不正が在って、犯罪の連鎖を起こしてしまっていたのだった…
ブンと萩原とのやり取りに関しては、東西の人の気質の違いや、文化のぶつかり合いというようなモノを取り込もうという意図で綴られたというようなことだが、私はそういうようにも思わなかった。これは出身や学歴や職務上の経験が様々な捜査員達が集まって活動しているという「群像ドラマ」として、何やら何時もつまらないことで言い争いをしている者達が見受けられ、居合わせる年長者が少しばかり呆れているという、多少笑える場合も在る場面として出て来るに過ぎないと思っていた。
この作者に独特な感も在る、作中人物達の軽妙なやり取りに乗って事態が疾走するというスタイル…1980年代後半、作者の「初期作品」ということだが、その頃からそういうスタイルだ…例えば、電車の駅のホームで煙草を蒸かすというような、イマドキは禁止になっている仕草の描写に“時代”は感じるのだが、相当な年月を経ても古臭くない…
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被害者が特定できない連続爆破殺人事件。
被害者が不明の中操作していくと意外なつながりがあった。
二転三転展開していくストーリーは面白い。
意外な人物が真相に迫っていく。
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推理小説は、その時代にあるものでしか推理出来ないものだということを、改めて思い至った。なので、今最高傑作と言われている推理ものも、時代の利器を使う以上、廃る時が来るのだろうと思った。だからこそ、その時代の最先端を推理小説で味わうというのも、乙な楽しみ方だと思う。