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総会屋錦城
著者 城山三郎
直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見...
総会屋錦城
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総会屋錦城 改版 (新潮文庫)
商品説明
直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみを描いた「事故専務」をはじめ、資本主義社会のからくり、陰謀などを、入念な考証に基づき、迫力あるスピード感と構成力で描く本格的な社会小説7編を収める。
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紙の本
経済小説という新たなジャンルを切り開いた一冊。
2009/05/09 17:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済小説という新たなジャンルを切り開いた一冊。
本書は、7編の短編小説で構成されています。
どれも、終戦後高度経済成長期の時代背景とした経済小説です。
どの小説もテーマや業種などは異なるのですが、すべてに共通しているのは、主人公たちに「自分の仕事と人生と国家」の相関関係が濃厚に存在しているということ。
単なる仕事、たんなるサラリーマンではなく、自分の人生の一部として仕事をどうとらえているのかが描かれているのです。
テクニック論ではなく、自分はどうあるべきなのか、という問いが常に存在しているのです。
昭和20年代、この時代経済の中心であった40代以降の世代は、何らかの形で戦争を経験しています。もちろん著者もその一人です。
戦争という、限界状況の中生き抜いた姿勢が、その後の仕事感にも表れているのでしょう。
今、読んでみるとかえって新鮮な感じがします。
また、文体やストーリー展開などはテンポがよいため、新しいイメージすら感じてしまいました。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
紙の本
初期の城山三郎作品として重要な短編集
2020/01/09 16:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第40回直木賞受賞作。(1958年)
今回この本を手にするまで、情けないことに城山三郎氏が直木賞を受賞した『総会屋錦城』はもっと長い小説だとばかり思いこんでいて、実際は文庫本にして60ページにもならない短編だったことに少し驚きました。
直木賞の選考委員による選評を読むと、おおむね評価はよく、受賞は妥当なところだと感じました。中でも村上元三委員の「日本の小説の中に政治と経済を扱った作品がほとんど無いのを残念に思って」いたから「これからは従来の作家に書けなかった経済の面を」期待するといった選評を読むと、これ以降の城山氏の執筆活動はそれによく応えたといえる。
何しろ城山氏は経済小説の先駆者としてこの作品以降も高度経済成長期のサラリーマンの読書意欲高める経済小説を多数ものにしたことは、城山氏の人生を振り返ればわかることだ。
中でもこの作品集は直木賞受賞作だけでなく、デビュー作ともいえる昭和32年(1957年)の「文學界」新人賞を受賞した『輸出』や交通事故を起こした時に被害者の見舞いに重役の肩書で出向く男の悲哀を描いた『事故専務』や無謀な飛行計画を行う男たちの姿を描いた『プロペラ機・着陸待て』など7篇の短編は、まさにこれから羽ばたかんとする城山氏の熱を感じる作品群といっていい。
そして、城山氏の読み物としての面白さを読み取った当時の編集者の慧眼にも感心する。
もし、城山氏に純文学の作家としての資質を求めていれば、その後の見事な長編小説群は誕生しなかったのではないだろうか。
紙の本
経済小説の金字塔
2015/12/17 01:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞を獲った表題作は、株主総会を操る総会屋にスポットを当てた秀作。闇の人物といっていい金城の暗躍の物語だが、この作品を機に、各企業が株主総会を主に6月の同じ日に集中して総会屋の排除に乗り出すなどの対抗策を講じ始めたわけで、意義のある作品である。ほかには、重役の身代わりで専務になりすまし弔問に出向く「事故専務」に、サラリーマンのペーソスが漂っていていい。
紙の本
城山さんの出世作
2017/05/23 12:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶーふ - この投稿者のレビュー一覧を見る
総会屋錦城で直木賞を取られたのが城山さんです。このほかいくつかの短編小説から構成されてます。戦後の日本を知ることもできる1冊です。