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演劇にかける
2018/05/09 11:42
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女たちの青春が微笑ましかったです。舞台の上で成長していく姿と、それぞれの旅立ちには胸を打たれました。
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
演劇に燃えるお話。
受験生でもあるけど、みんながんばるね。
青春だなー。
悔いを残さず満喫してくださいな。
私はあまりなにかにうちこんだ記憶がない…。
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高校演劇経験者しか本質は理解できないかも・・・
2016/02/27 08:11
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯の堺雅人の推薦文につられたわけではない・・・と思うが、中・高と演劇部であった私には素通りできない物語である。 高校最後の年に全国大会を狙う演劇部の少女たち、と聞かされたら手が出ますがな!
ただ、私は平田オリザの演劇にはあまり影響は受けていないので・・・(<静かな演劇>ブームはあたしたちよりも上の世代の方々だったし)、そこはどうなのかな、という危惧はあり。
舞台は北関東のある県。 公立高校に通う演劇部の少女たちが、三年生が引退して次は自分たちが三年生になるんだな、というところから話が始まる。 語り手の<私>は部長になり、演出もすることになる。 部長として、というよりも演出家として演劇と関わった一年間の物語。 だから「若き演出家の心得」的な内容でもある(むしろ平田オリザの演劇論を小説にしました、的な)。
そんなわけで、著者に対して私がいい印象を持っていないせいもあるのでしょうが、ちょっとした一文にカチンと来たりして。 それは<私>がまだ高校三年の女の子だから気づいてなくても仕方ないことだと思えばいいのか、それとも著者が結構いいお年の男性だと知っているからそう思ってしまうのか、ちょっと判断がつかなかった。 たとえば、部員の一人が母子家庭で、彼女の母親のつくったサンドイッチを分けてもらった<私>が、
たかがサンドイッチでも、作る人が違うとこんなにもおいしい。 でも、こんなに料理の上手いお母さんが、どうして一人なんだろうって、ちょっと思う。
と地の文に書かれてあると・・・いらっとします。 いいじゃん、別に!
いらっとする点は他にも何箇所かありましたが、まぁ本筋とはちょっとずれたところなので。
でも、大学演劇サークルの女王と呼ばれていた人が新任教師として入ってきたり、地域のライバル校からエース級の女優が転校してきたりと、「そんな運のいいことが次々起こるなんてずるいぞ!」ともっと地方にいた私はそこでもいらっとします。 でもいらっとしながらも、あの頃のことを記憶から掘り起こされてうっすら涙・・・。
演劇部経験に近いものを持っていない人には伝わるのかな、この感じ。
ちなみに高校演劇の地区大会・県大会・ブロック大会は秋。 全国大会は翌年の夏。
だからブロック大会を突破して全国大会進出を決めても、三年生は出場できない。 同じキャストで再演できないから演劇部は配役から演出まですべて練り直さねばならない(場合によってはブロック大会のときよりレベルが下がることがままある)。 それでほんとに全国大会ってことでいいのか、とかなり前から問題になっているのだけれど、この悪しき慣習は変わっていないようだ・・・。
私たちは地区大会を突破したことがほとんどない高校だった。 県大会に出られる枠は2つ、そのうちの1つは私立の常連校で毎年決まっていた。 残りの一枠を、他の学校で争う形になっていて、だから私たちは<地区大会突破!>がとにかく目標だった。
そして幸運にも、二年生のとき県大会に出られた。
でもなにしろ経験不足だったから、自滅した。
予選通過したときのうれしさと、県大会で勝てなかった悔しさは、今も私の中にしっかり残っていることが、これを読んで確認できました。
そして、文化部だからって運動部以上にハードなこともあると世に知らしめたいですね。
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幕が降りる
2016/01/16 22:02
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方の高校の演劇部を舞台にした青春小説。誉田哲也氏の武士道シリーズを文化部バージョンにしたといったところだが、誉田氏の面白さを再認識するにとどまった。高校演劇と一口に言っても、時代によって様々な形があり、平田氏の芝居を押し付けられているだけの感覚しか残らなかった。演技者にとっての一番の恍惚は、すべての芝居が終わり、幕が降りてくる、その瞬間であり、それこそがドラマなのだ。
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うわ。予想外だった。
文章がうまいというか……なんだろう、普段、戯曲を書いている筈なのに、小説ならではの面白さがある(というと上から目線なのかな)。文章の力を感じた。
しかし、個人的にはさおりの触れた演劇のリアルさを見たかった。さおりの感じたことだけに終始している(とわたしは感じた)ので、ファンタジーというか、ソフトフォーカスのかかったフィクションの感がある。
嫌いな存在を具体的に書いてしまうとか、もう少し、エゴというか主張があっても良いのかなぁ……と。好みの問題なんだろうけどね。
また小説を書くなら、読みたいなと思いました。次は大人のあざとさを期待!
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過剰な描写や余分な溜めを潔く切り捨てて、まっすぐな清々しさで青春を描き出す。
まさに、竹割り青春小説!
ひっさしぶりに真っ当な高校生活を読んだ気がします。
平田オリザだからこそ描けた高校演劇というちょっとニッチな世界。
これはもう舞台化してもらうしかないでしょう!
動くユッコやわび助を見てみたい!
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以前、恩田陸さんが書いた「猫と針」という戯曲を読んだ時、「ああこれは小説を書く人の戯曲だ」と思ったことがある。
この「幕が上がる」は戯曲を書く人の小説だ、と思った。ト書きのような、ナレーションのような小説。
あるいは、「いつも詳細に日記をつけている女子高生」の日記、もしくは、小説仕立てになっている稽古場日誌。
これから演劇を始めようという人にはとても参考になる、具体例で書かれた演劇入門書、という感じでもある。
高校時代の、「何者でもない自分」「何者にもなれない自分」に苛立っていた気持ちを鮮明に思い出した。基準や軸がまだできてないので、いろんなことをどう判断したらいいのかわからないでいるのだ。
それが少しずつ明確になっていく過程がきっちりと描かれている。
舞台袖で、出番を待つ俳優の横顔を、そんなふうに見ている人もいるのだということを再発見できた。
演劇にのめりこんでいくあの熱狂的な感覚が、とても生々しく伝わってきて、そうだ、私もがんばろうと思った。
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私は高校演劇というものを全然知らなかったのですが、なんとなくこんな世界なのかなぁと思うことができました。青春時代に打ち込めることがあるっていいなぁと思わせながら、それだけでは終わらない小説でした。
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劇団「青年団」主宰の平田オリザさんの処女小説。
演劇部の高校生の青春モノ。
最上級生となった主人公は部長に。
そして、学生時代、舞台経験豊富な美人教師が新任でやってきて、
さらには、前年の大会で印象に残っていた他校の生徒が転入してきて…
元々居た部員たちの成長もあり、これまでよりもはるかに良い成績を
狙えるのではと自信をつけていく。
また、主人公は俳優としてではなく、演出家としての才能を開花させていく。
王道パターンなのかな!?と思ったらちょっと違った。
山あり谷ありではなくて、山あり山ありって感じか。
それほど大きな問題もなく着実に成長していく。
先生との対立、転入生とオリジナル部員との不和、部員の怪我・退部など
予想してたトラブルが全然なかった。
おかげでラストのクライマックスでの盛り上がりに欠けたかも。
でも、全体を通すととても面白かった。
演出家としての視点も珍しかったし、「高校演劇」と「一般演劇」が
違うものなんだと知ることもできたしね。
その辺はさすが劇団の主宰者だなーと。
作家さんが書く演劇モノとはまた違った楽しみを味わうことができますよ。
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この本、実は図書館ではヤングアダルトといって、
中高生向きのところに分類されていました。青春小説ということですし、それでいいと思うのですが珍しく私、この本は途中で諦めてしまいました。
文章が下手なのではありません。丁寧に選んだ言葉を書いてあるしお話も面白い。でもどうして私が投げちゃったか。
答えは、私が大人だからです。
著者の平田オリザさん。
劇作家でいらっしゃるので、
逆に登場人物がリアルに若いのです。
言葉の感じだけじゃなくて、
作品の、行間にある空気が若い。
虚構を本当に見せることに長けていらっしゃるので、小説家の方が面白いけど大人をターゲットにお書きになった小説と違って、この本は今現在部活に頑張ってるという現役の高校生の方などが読まれたらきっともっと入り込めることでしょう。
学生時代はずっと演劇部とどこかを兼部して、大会も目指していたので懐かしい気持ちにさせられました。もう、あの頃とは違うんだな、とアルバムを見たような。
文章がベタベタしていないので、読んでいてスッキリします。
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高校演劇部の話。いろんなものごとが、ぐんぐん動いていくようだった。これが"動"だとしたら、前の日に読んだ『よるの美容院』は"静"というかんじ。読んでいて、高校や大学で演劇をしていた友だちを思い浮かべたりもしたが、自分の高校時代の部活(ドクターストップでやめることになった水泳部と、そのあと入った美術部)を思い出したりもした。
演劇部にも地区大会や県大会があって、そこで芝居が講評されたりする。「高校生らしい」とか「らしくない」とか言う、その審査員のセンセイ方の話を聞きながら、部長で、作・演出のさおりが、他校の作品やテーマと自分のを引き比べていろいろと考えるところがおもしろかった。
▼私たちは、どうにかやっている。
私たちは、どうにか高校生を楽しんでいる。
いろいろな芝居を観て、少しだけ分かってきたことがある。私はどうも、等身大のふりをして高校生の問題をわざと深刻に描くような芝居が嫌いなみたいだ。じゃあ、私はどんな芝居が好きなんだろう。いまやっている芝居は、私の好きな芝居だろうか。(p.238)
高校生のときは自分がよく分からない。高校生をすぎたからといって、「ハイ、これが私」と分かるわけでもない。自分は何を書けばいいのだろうと、さおりは吉岡先生や滝田先生に教えられた小説を読んでみたりもする。どの作品も北関東の地方都市の高校生のことがうまく書かれていて、「これは私たちだ」と思った。でも、あまりにうまく書けていて、こんなのを自分が芝居にしても変だろうとさおりは思う。
▼…だって私たちは、実際には、私たち自身のことを、こんなによく分かっていない。分かっていないからとても困る。こうやって小説とかにしてもらえば、あぁ、たしかに私たちってそうだなって思うけど、でも、やっぱり自分のことはよく分からない。…
…たいていの上手くできている小説は(あと映画とかも)、だから大人になってから、あと東京とかに出て行ってから高校時代をふり返るような体裁でリアリティを保っている。そして私たちも、大人になったら、こんな風に自分のことが分かって、少しは楽になるのかなと思わせてくれる。(p.136)
自分はどんな作品を書いたらいいのかと吉岡先生に聞きに行って、「あなたたちの悩みや苦しみをことさら書かなくても、きっとそれは、どこかににじみ出てくるってこと。私が書いて欲しいのも、そういうもの。いまの高校生はこんなことで悩んでますとか、私に聞かされても困るからね」(p.139)と言われる。
いままでの大人には「君たちの等身大の悩みや苦しみや喜びを書け」と言われた。「そんなものは、私に聞かされても困る」と言う教師に、初めて会った。さおりはそう聞いて、半信半疑ながら、この人を信じてみようと思う。
▼私たちは、『銀河鉄道の夜』に、私たちの「高校生らしさ」を入れたつもりだ。いじめも進学もクラブ活動も、私たちにとって、たしかに大事な問題だけど、十七歳の私には、もっと大事なことが何かある。それがなんなのか、よく分からないけど、その分からなさを、芝居にしてみた。答えはない。答えがないとダメなのか。(p.241)
ぐんぐん読んでしまったあとに、もう一度てっぺんから二周読み。10代の終わりと20代前半の若い人と会ってしゃべった後だったこともあって、よけいに入りこんだかんじで読んだ。
小説というかたちで、高校生の悩みや苦しみや喜びのようなものを読んでいると、自分はもうそういう頃はすっかり過ぎたけれど、でも高校生の頃の気持ちとそう変わらないものを感じることもあるなーと思ったりした。
そして、芝居を観たくなった。
(11/23了、11/24二読)
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高校のとき演劇部だったので懐かしかった。
前半は懐かしく、また今まで触れた物語に似たような部分もあってか既視感に襲われながら、後半は宮沢賢治や谷川俊太郎の世界に触れながら世界が色鮮やかに、少しだけ新しくなってゆくような気持ちで読んだ。
この小説を戯曲化する高校生なんかが出て来たりするのだろうか。
そうなったらおもしろいかもしれないし、とってもつまらないかもしれない。
何故ならこの物語の中で主人公たちが「銀河鉄道の夜」を再構築していったように、「幕が上がる」を再構築していかなければならないからだ。
入れ子構造のように、宮沢賢治はこう書いてるけどどう?から、宮沢賢治について幕が上がるではこう書いてるけどどう?になってゆく。
つまり、主人公たちのまっすぐな実感が客観的になってゆく。
その客観を超えて再び作者が、いわば「幕が上がった後の世界」を主観的に捉えることが出来たら、きっととてもおもしろいように思う。
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高校演劇に関わったことのある(元)女の子なら みんなどこか共感もてるんじゃないでしょうか?
自分は懐かしさでいっぱいになりました(*≧∀≦*)
いや~もう いろいろ思い出しちゃって 気分はすっかりあの頃に戻ったカンジです。
自分の高校は 自分の代には1度も地区予選を突破したことがないんですけど
ちょっと前には何度も全道に行った学校で いわるゆ力のある顧問の先生もいたんですよね~
もっともっと先生に 全道に行きたいです!!って食い下がれば可能性があったのかな~とか
今更ながらちょっと後悔(~_~;)
そういえば、この作品の主人公ちゃん達
本気でブロック大会を目指して活動してた割には 先生のいうような苦労があんまり書かれてなかったかな?
演劇部は 本気になればなるほどもめますからね・・・(苦笑)
個人的には すぐにでも映画になってもいい感じだと思います~
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よかった。書店で見つけて買ってみたものだが。
平田オリザさん初の小説だそうで。
演劇青春小説だ。
最近芝居を見始めた私にはとても新鮮で興味深かった。
まず「高校演劇」という世界を初めて知った。
高校演劇界のシステム、学校ごとの伝統などとても興味深い。
「劇部(ゲキブ)」っていうのか。
TVのバラエティ番組で取り上げられた吹奏楽やマーチングバンドの世界と重なる。
慌ただしい高校生活の中で四六時中芝居のことを考える毎日。
特に作・演のさおりは次回上演作の演出を考え続ける。
それは吹奏楽部の部長さんやマーチングバンドのドラムメジャーが演奏やマーチングについて考え続けるのと一緒なんだろうな。
さおりたちは「銀河鉄道の夜」をやるのだが、私も地元の小劇団の「銀河鉄道の夜」を観たばかりなのでちょっと興奮した。
「銀河鉄道の夜」って謎が多くて、切なくて、大人ものめり込んでしまう作品だけど、これを読んで、やっぱり「銀河鉄道の夜」はいいなあってあらためて思った。また読みたくなった。
さおりたちは吉岡先生に出会って、また中西さんに出会って刺激を受けて成長する。吉岡先生も中西さんもさおりたちから刺激を受けて成長する。
吉岡先生ののちの行動は身勝手以外の何者でもないけど、それはさおりたちに触発されてのもの。
女子高生たちの日常もみずみずしく描かれていて読んでて爽やか。
平田オリザさんはワークショップなんかで高校生たちに触れることが多いのかな。
折しも「演劇1 演劇2」が公開中。観たいなあ。
さおりは劇団作るのかな。
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弱小の高校演劇部が県大会を目指す青春物語。
この種の物語は、ドジっ子だけれど猪突猛進型の部長が居て、仲間の半数以上が離反して、奇跡的に復帰して大団円みたいなパターンがあるけれど、この小説は大会に向けて結構一本道。
本屋大賞ノミネート必至か?と思って読み始めたけれど、かなりライトな感じで主人公達と同年代の高校生向けかな?と重いながら読み進んだらさにあらず。
書き換えた台詞が舞台上で表現されるに及んでそのシナリオの言わんとしたことが主人公に判った瞬間、この小説の言わんとしたことが読者に伝わって涙腺崩壊。
ラスト2行のあまりに見事なことよ。
開幕1分前、演出が手を挙げると、舞台上の役者の一人が手を挙げ、続いて役者全員の手が挙がるところがとても好き。