神様のメモ帳8
年末年始、四代目を悩ませていたのは頻発する雀荘荒らしだった。なぜか麻雀打ちとして駆り出された僕は、雀荘で奇妙な男と出逢う。雛村玄一郎―― なんと四代目の父親! 緊迫する...
神様のメモ帳8
商品説明
年末年始、四代目を悩ませていたのは頻発する雀荘荒らしだった。なぜか麻雀打ちとして駆り出された僕は、雀荘で奇妙な男と出逢う。雛村玄一郎―― なんと四代目の父親! 緊迫する親子勝負の裏で、雀荘荒らしをはじめ、無関係に見えたいくつもの事件が結びついていき、やがてよみがえるのは一年前のあの悪夢。 「あの事件をもう一度、完膚無きまでに終わらせるんだ」。 アリスが、テツ先輩と四代目が、そして彩夏までもが、赤い悪夢の残り滓に突き動かされて走り出す──。加速するニートティーン・ストーリー、第8弾!
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
傷跡が疼き出す季節
2012/01/24 12:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
お~、なんかアニメとリンクしてる!と思ったら、後書きを読めばそれもそのはず。第二章はそもそも、アニメ第一話の原案として書かれたものだったらしい。通りでラブホから窓を割って下着女子高生が落っこって来たりするわけだ。
そんなわけで、分量的には短編2本と中編1本というところなのだが、表層で起きる出来事はそれぞれ違うのだが、柱となるものは共通する連作集となっている。
第一章は、三代目!襲来。雛村壮一郎の父、雛村玄一郎と母、理佳子が登場する。平坂組からの依頼で雀荘でイカサマをやる雀熊を見つけるために借り出された藤島鳴海は、容疑者たちを見つける過程で、雛村一家の相続騒動に首を突っ込むことになる。
第二章は、たまには高校へ。篠崎彩夏に引きずられていった学校で、鳴海は生徒会長・剣崎佳也子と監査委員長・鮎川千夏の相談を受ける。それは同級生の誰かが、援助交際をきっかけとした強姦未遂事件に巻き込まれているという。その解決を任されるのだが…。
そして最終章。第一章、第二章で描かれた事件の背景にあった、一年前の事件の残照を追い払うための苦難の道。再び街にエンジェルフィックスが出回っているのだ。その製造元を突き詰めるため、各事件の加害者たちを問い詰めていくうちにつぶやかれる言葉、シュシュリ。
鳴海は彩夏を巻き込まないために、四代目と義兄弟の杯を返し、四代目と敵対することを選ぶ。その結果としてニートたちがたどり着く場所とは?
煮えきらず、どうすれば良いかを分かっていても、誰かに背中を押されなければ決断できないと言う鳴海の性格は一年前と何も変わっていない。しかし、その間に関わってきた事件、そして人たちのおかげで、彼が見知らぬ誰かからすらも頼られる存在となっていることは確かだ。そして頼られれば、それを断る決断すら出来ず、結局、自分を、周囲を傷つけながら出なければ、それを収束することもできない。
それは、駄目なことなんだろうか?いや、そんなことはないと思う。自分には被害が出ないよう、見てみぬ振りをして無関心を決め込むよりは、ずっと勇気のある選択だ。そしてそれを知るからこそ、ニートたちは彼に最後の選択を託すのだと思う。