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投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
後漢光武帝の物語。
ついに地盤となる地を得て、徐々に周辺勢力を吸収し、敵対勢力を排除して、後漢の建国に至る様子を描く。
宮城谷作品にしては、珍しく終盤まで描写に活力が続いていて、きれいに終わることができている。読後感もいい。
宮城谷昌光氏による後漢の光武帝・劉秀の最も平凡に見えて、最も非凡な展開統一の物語です!いよいよ最終巻です!
2020/08/17 10:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中国古代の偉人を描くことでは第一人者としての地位を確立されている宮城谷昌光氏の傑作です。中公文庫からは上中下3巻シリーズで刊行されている最終巻にあたります。同シリーズは、高祖劉邦が漢王朝を開いてより約200年、王莽の簒奪より一度は途絶えた漢王朝でしたが、劉邦の子孫である光武帝劉秀と英俊豪傑らにより後漢王朝は再建されます。劉秀の青年時代から王朝再建までを描いた大作で、シリーズ最終巻は、幾多の困難な戦いにおいても、劉秀の周りには磁力に引き寄せられるように名将が集まり、天下統一を助けていく様子が生き生きと描かれます。臣下への思いやりを忘れず、民に寄り添った名君・光武帝の、最も平凡に見えて、最も非凡な天下統一の物語が語られます。
後漢の世祖、劉秀の史伝の下巻
2016/06/01 15:58
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投稿者:しゅん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国古代の後漢王朝を始めた劉秀を主人公とした歴史小説。
下巻は。河北の平定から天子の位につき、天下を平定するまでを記す。
小説というより歴史書(後漢書)を、現代語訳で読んでいるような気がした。
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光武帝・劉秀のお話。
あまり知らない年代ながら、新聞連載中に読んでおもしろかったので文庫になってから購入。
予想通りおもしろかったので一気に3巻読めた。
最後の方は駆け足で終わってしまった感があって、もう1冊分くらいあっても良かったかなーと思う。
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10年~50年頃の後漢時代の中国。三国志の約200年前。劉邦の子孫で劉秀という人物が、後漢王朝の光武帝となるまでを描いた作品。劉氏一族の一人とは言っても田舎出身の田畑を耕していた平凡な男であったが、叔父や親戚やまたその周りの人達から人格や秘められた偉才をかわれ、その期待を裏切らずに王朝を築いていく。仁徳、威徳は人を集め助けていくものなのだと納得させられる。従僕の伋が思い出を語る部分は涙必至。
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易に、亢龍悔いあり、とある。富貴は無限ではない。度をこした奢りは、人々の目ざわりであり耳ざわりとなり、謗られることになる。
常識とは、大いなる虚である。虚を衝けば活路が開ける。
疾風にして勁草を知る
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謙虚で人に優しい青年が、様々なことを人や天地から学びながら成長し、人望を集めて出世していく物語。宮城谷さんの作品はだいたいそんな流れ。どの人物もだいたいそんな感じだけれども、それが好きでたまらない。どんな人物と出会わせてくれるのか?というのが楽しみで、つい読んでしまう。この作品の劉秀もとても魅力的な人物。農作業に造詣が深く土と共にあるような素朴な性質なのに、戦場ではとても強い。人に好かれ、人が集まり、危機に陥りつつも人徳によって助けられて、押し上げられて将軍になり王になり、光武帝になる。いいなあこういう人。こういう英雄になりたい。そういう夢の物語が見られるから、好き。
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ちょっと地味な感のある後漢の創始者劉秀=光武帝の話。人望もあり、自らの将才も中々、学識もある優等生タイプなので、破天荒な劉邦とかに比べると物語的な魅力はないかもしれない。あと、劉邦における項羽とか、曹操における劉備・孔明みたいな強烈なライバルもいないのもあれかも。
まぁ、漢楚の戦いや三国志みたいな劇的な話ではないけど、城も兵もない状態からじわじわと勢力を広げて河北平定に至るところは読み応えある。
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悩める青年として描かれた上巻、有徳の名将へと覚醒する中巻、そして本巻では、苦難に遭いながらも、中華で至高の人物へと登りつめるまでの劉秀の姿が描かれる。
また、呉漢を初めとした劉秀のもとへ集まった人物のエピソードも、サイドストーリーのように描いているのが興味深かった。
「策戦に凝りすぎると、敵が無能で無抵抗であるかのように錯覚するようになる。いわば、敵の反撃にたいして用心をおこたるようになる。」『河北平定』より。
「人の成否は、徳の薄厚に在り、富や勢力の大小にはかかわりがありません」『新勢力』より。
「人は、外にある宝に目をむけやすい。が、内にある宝は気づきにくい。」『新勢力』より。
「人の巨きさと深みは、紆余曲折を経て成るのである。たやすい成功には、早い失敗がある、と思うべきである。」『草の勁さ』より。
「生きる者がみるこの世界の風景と、生かされた者がみるこの世の風景は、似ているが、まったくちがう。あえていえば、前者が虚で、後者が実である。」『草の勁さ』より。
「━━疾風にして勁草を知る。」『草の勁さ』より。
「小さなことでも見落としはないかと目配りと気配りをおろそかにしないことは、大胆なことをおこなったり人を威圧することより、失敗がすくない。それは歴史が誨えている。」『大躍進』より。
「政府という組織は複雑でも、おこなわれる政治はわかりやすいものでなければならない。」『王者への道』より。
「だが負けが込んだ人は、常軌を逸し、冷静さを失う。」『光武帝』より。
「人は足るを知らざることに苦しむ。すでに隴を平らげて、復た蜀を望む。」『光武帝』より。
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後半は戦争の記録みたいな感じ。
「疾風にして勁草を知る」…作者は劉秀のこの言葉一つで、小説を書いたのではないか。
苦難を乗り越えてほんとうの成功があるのだろうし、ぱっと出で成功した者が見ている景色は幻想に過ぎない。
現代の成功者たちにも当てはまる。
宮城谷氏の小説を読むと、
何かを成したいと思う者は、歴史を学ばなければならない、というメッセージが込められている気がする。
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後漢といえば、末期。そこからの三國志という流れを楽しむことしかしていなかったけれど、本作に著される後漢の成立も、とても面白かった!
解説の方も話されているように、頭から終わりまでのまとまりが非常に良い。どの作品もそうだけれど、本作は特に一個人としての皇帝という所が良かったのかもしれない。
中間、いつもの宮城谷先生の時系列や話の流れを突然切って解説を入れてくるものがあり、少し読みづらく、冗長に感じたけれど、きっとこの時代の話を知っていけば、とても面白いと感じるようになるのだろうなぁ。
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後漢の光武帝、謙虚で思いやりとまごころのある皇帝の物語
あまりの立派な生き方に本当に感動しました
こんなに徳のある皇帝がいたのですね
「善は、積み重ねてはじめて善になる。」
「強くないこと、豊かでないことを、耐えるのではなく、その弱点こそ長所であると考え、それをもって強いもの、豊かなものをしのぐという発想である。」
「呉漢」を読んでから、呉漢が尊敬して仕えた光武帝に興味を持って読んだので、物語の後半で呉漢と出会い、感動
光武帝と呉漢から、謙虚に、思いやりをもって生きることの大切さを学びました。
「歴史は、いまを生きる者にとって、鏡戒(あきらかないさめ)となりうる。」という宮城谷さんの言葉は本当に響きます。
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光武帝を主人公に据えた小説としては塚本靑史の『光武帝』を以前に読んだ。彼方はより大胆に想像の翼を広げて歴史に浪漫を見出す。一方で本作は光武帝の人格にフィーチャーし、その描写に重きを置いている。
一般に馴染みの無い常用漢字表外の漢字や故事・成語をふんだんに織り交ぜた描写とその丁寧な解説には舌を巻いた。読むだけで教養が身に付く。漢字検定の一級・準一級に挑戦される向きには打って付けの教材にもなり得る。
宮城谷昌光の作品を読むのは本作が初めてだが、是非他の作品も読んでみたい。
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残念ながら史実の著述に追われた下巻になってしまった。隗囂も公孫述もちょい役。馬援は出ていたっけ?
「仕官するなら執金吾、妻を娶らば陰麗華」の陰麗華も陰が薄くなってしまった。二人メインでフィーチャーさせてもひとつの作品になると思うのだが。
上巻の素晴らしさのおかげで下巻を星3つにしたが、単独だけなら2つで十分。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。