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電子書籍
去年の冬、きみと別れ
著者 中村文則 (著)
愛を貫くには、こうするしかなかったのか?ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進める...
去年の冬、きみと別れ
去年の冬、きみと別れ
商品説明
愛を貫くには、こうするしかなかったのか?
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか? それは本当に殺人だったのか? 何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが――。
著者紹介
中村文則 (著)
- 略歴
- 1977年愛知県生まれ。福島大学卒。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。05年「土の中の子供」で芥川賞、10年「掏摸」で大江健三郎賞を受賞。
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紙の本
文体、トリックともに優
2013/10/27 12:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅうのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
純文学で名をあげた作者のミステリー小説
その密度の濃さは多少薄れてはいるものの、文章のなかにある薄暗さ、暗鬱さはそのまま
単純に推理小説としても仕掛けが上質です
もちろんトリックはここに書けませんが、おそらく読後に、冒頭を再読せずにはいられないでしょう
紙の本
『僕』は『きみ』と別れどうなったのか。そして『僕』とは誰なのか。
2016/12/09 15:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mino - この投稿者のレビュー一覧を見る
「去年の冬、きみと別れ、僕は…」
読み終えて明らかになる真実。
『僕』は『きみ』と別れどうなったのか
そして『僕』とは誰なのか。
憂鬱で狂気に満ちた、中村さんらしい作品でした。おもしろかった。
実写化したらどんな作品になるだろう、さぞや憂鬱で陰気な映画になるだろうな…なんて考えていたら(褒めてます)終盤に物語の仕掛けを理解して驚かされました。
これは小説として存在していることに意味がある作品でした。映画化は難しいだろうな。
あらすじについて多くを語ることはできませんが、物語はある死刑囚と、ある記者の面会の場面から始まります。記者は死刑囚と事件について本を作成するため、取材の過程で加害者の姉に接触します。
人を駄目にすることで自らも駄目にしようとする彼女は、やがて記者を驚くべき真実へと導いて行きます…。
ヘビーな内容ではありますが、基本的に登場人物の独白で展開していくため読みやすいと思います。とてもよくできた作品です。ご堪能下さい。
紙の本
驚愕と戦慄に満ちた作品。
2015/09/15 15:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖い「仕掛け」が施されている。女二人を殺した死刑囚に、ライターが話を聞いて…という話かと思いきや、後半にどんでん返しがある。その内容についてはふれないが、驚きのどんでん返しだ。しかしそれはミステリのように語られるのではなく、あくまで人間の内省という形で行われる。ライターの体験によって徐々に迫るところと、編集者の用意した「資料」と。その「資料」には彼の独白も含む。複雑すぎて、ぱっとはわからないような構造だけれど、それだけにわかった時は背筋がぞっとするようなインパクトがある。狂気がじわじわと浸食してくるような、それでいて純粋な愛情や憎しみ、悲しみといった人間の剥き出しの感情が迫ってくるような作品。
タイトルも、うまい。読み進めるうちにわかるが、この作品のベクトルがどこに向いているか、それをはっきり表しつつ、強烈な印象を与える題名だと思う。
一般的な犯罪小説ともミステリともちがう。そもそも眼目は殺人ではないのだと思う。殺人に至るプロセス、精神状況、狂気に染まった人々に意識は向けられている。そうしてライターは彼らのことを書こうとする、でも書ききれない。なぜなら彼は普通の精神の持ち主だから。
極めて印象的で、興味深い作品だった。
紙の本
中村氏にしては…
2016/01/10 01:37
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
猟奇殺人事件の被告に面会したライターが、次第に事件の異様さにのめりこんでいく。といって、ミステリの枠にはめてよいものか。だとするとー異常性格者の描写が、もう一つ、しっくりこない。被告の姉を始め、登場人物のキャラクターが薄いからか。もう少しじっくり書き込むべきではなかったかと残念な気持ち。芥川賞を獲った「土の中の子供」や「掏摸」に比べると、劣る気がしてならない。