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紙の本
吉田松陰についてもっとたくさん知りたい
2005/04/30 11:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末には何人もの偉人が登場し、後に様々なメディアで取り上げられている。最も有名なところでは、やはり坂本龍馬や西郷隆盛であり、それに勝海舟なども加わるのだろうか。この『風雲児たち』も、そのタイトルが表すように、幕末に現われた偉人たちの姿、行動を追っていくのがテーマであり、20数年続いてきたのは、その幕末に至り偉人たちが現われてくる背景をていねいに追っていったからなのだ、ということは今更言うまでもないだろう。
それでも、この『幕末編』になってから、どしどしと偉人たちが現われるようになって、「そうだね、いよいよ幕末だね。本編だね」と思うのも当然なのだが、今までのところで多く語られているのが、吉田松陰である。
幕末について少し学習すればこの名前にぶつからないわけはないし、彼の作った松下村塾からは幕末、明治に活躍した人々が多数輩出されるのだから、彼もまた偉人にはちがいないだろう。だが、吉田松陰その人のことについて、どれだけ語られているのだろうか。
試みにbk1の検索機能を使って吉田松陰を登場人物とする小説を探してみると、あまり多くない。もちろん専門書や教養書などを検索すれば多く見つかるのだが、そんな本はよほど興味を持つ人しか読まないだろうから、ごく一般的に目に触れる本といえばやはり小説などだろうとは思う。しかし、そこでは吉田松陰はあまり語られていない。
私自身は、NHK大河ドラマ『花神』やその原作の一つであった司馬遼太郎の『世に棲む日々』で彼のことを知ったものだったし、そこで見た博識で頭脳明晰でストイックな人物像がイメージになってしまっているのだけれども、この『風雲児たち』に登場する吉田松陰は、さらにストイックであり、自ら言うような「狂人」の域にまで達しそうな純粋さを抱えた若者として描かれている。この第6巻では、吉田松陰が黒船に便乗してアメリカへ行こうとするくだりが描かれているが、これがまた圧巻だ。こういう人がいたから、さらに続く人が現われ、それが大きな波になって幕末に活躍する一団となっていくのだろうということが、さらにイメージされるのだ。あまり多く語られることのない吉田松陰だから、この調子で丁寧に描かれていって欲しい。
もっとも、ここで描かれているキャラクターの姿は、どこか腑抜けている貧乏侍にしか見えない。そのギャップがまた、吉田松陰の「狂人」たる部分を強調しているようにも見えるのだけれども。それに、これは既に有名な話ではあるけれども、かつてみなもと太郎が描いた新撰組の沖田総司とキャラクターがだぶっている。その問題は、いつかたを付けてくれるのだろう。