安定した舞台設定の運用
2015/08/16 21:31
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏のスクープ・シリーズ、第3弾である。あまり、間隔が空き過ぎるので前作を忘れてしまいそうである。多忙な今野なので我慢するしかない。今回も登場人物は以前の2作とほぼ同様である。テレビ局TBNの夜のニュースショーのスタッフたちである。男性メインキャスター鳥飼、女性キャスター香川、担当デスク鳩村、そして主人公のニュースショー付の記者、布施である。
加えて、警視庁捜査一課未解決事件担当の黒田である。今回は若手の井口も登場している。今回は黒田が未解決事件を追っていたが、昨夜起きた殺人事件との関わりを特有の勘で何かあると感じたところから始まる。
捜査を専門とする刑事の勘なので、読者としてはそれを軸にされては困るとは言えない。
実は昨夜発生した殺人事件で、主人公の布施が現場の近くで偶然呑んでおり、他局が来る前に携帯電話で動画を撮影し、局に送ったという。これも偶然近くで飲んでいたというのが、ストーリーの中でも皆が疑問に思うところであった。読者も含めてだ。
誰に聞かれても布施の返事は同じである。偶然そこにいたという答えである。皆、煙に巻かれてしまう。今回の布施の行動も今までの2回と同じである。しかし、夕方行われる番組の編集会議への出席率は高い。
ここで取り上げられる事件材料が暗いものばかりなのは、警察が絡んでいるからなのか。今回も薬物とヤクザである。いつもこれでは飽きられてしまうであろう。せっかくワイドショーを正面舞台にしているのだから、もう少し社会ネタを加えてはどうか。そこへの注目を分散するためか、黒田の後輩を登場させたりしているが、ストーリーの本質からは外れてしまう。それも材料の一つとしては面白いかもしれないが、今後の展開しだいであろう。
毎回毎回変化があるのも良いが、シリーズ化していくためには今回のように今までに作り上げた設定を運用していく回があっても良い。とはいえ、3回でシリーズ化したとはいえまい。樋口警部シリーズなどは4回であえなく終わりかけているのだから。せっかくの布施のキャラクターを生かして本シリーズも4回以降の再登場を待ちたい。
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
「スクープ」シリーズ第3弾ですね。記者布施と刑事黒田とのコンビが充実してきましたね。毎回楽しめました。スピーディな展開はさすがですね。今野作品はどれも一気読みですね。
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テレビ局の報道番組記者の布施と捜査一課の刑事・黒田が事件の真相を暴く、異色のミステリーシリーズの第3弾。
布施が偶然、スクープした週刊誌記者の殺害直後の現場に端を発し、事件は黒田が追う暴力団組員殺害事件と意外な形で結び付いていく。
なかなか面白いシリーズであり、三作とも一定水準に達しているが、第2作の『ヘッドライン』が一番面白いと思う。
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スクープシリーズの第3弾。短編だったスクープより読み応えあり。たまたま居合わせた殺人現場のスクープ映像を報道した事から事件の真相をニュース番組の遊軍記者布施の独自の嗅覚で暴いて行く。ハラハラドキドキもあり読後感は非常に痛快
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刑事物の信頼できる作家、今野敏。
スクープシリーズの第3弾は、長編でスクープよりも読み応えあり。ナイスです。
相変わらず魅力的すぎるキャラクターたち。
今回は、布施、黒田のふたりではなく、鳩村と谷口というふたりのサブキャラが布施黒田のような特別な人間じゃない普通な人間たちがかたり、悩み、彼らを見て感じる声が作品を進めていく。
それがまた一般人な読み手としては、頑張らなきゃな、とかいう気持ちにさせてくれる。
刺激的で、爽やかで、温かで、どんでん返しな刑事物。
面白かった。
2015.08.09@puerto princesa
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「スクープ」シリーズ 3作目
テレビ局の遊軍記者 VS 刑事 (+新聞記者) …
2作目同様、長編です。
またもや布施が偶然(?)週刊誌記者の殺害直後の現場動画の
スクープから。
今野敏の小説は安定感ありますね。
またベテランと若手とのやり取りも面白いです。
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”スクープ”シリーズの第1、第2を読まないままの第3弾。
それぞれの読み手の好みだろうが、著者の他のシリーズ(隠蔽捜査シリーズは大のお気に入りです)に比べると、ちょっと、という感が・・・
評判の第2弾を読んでみれば、評価も変わるかも。
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新米刑事とニュース番組デスクの目線から書かれています。
シリーズ3作目だそうです。
今野先生! 期待通りの展開でした。
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スクープシリーズ第三弾。暴力団の組長を狙ったヒットマンが出所後すぐに殺され、紆余曲折の末、犯人がわかってみれば、主人公布施京一はとうの昔に気付いていたという展開。うーん・・・最後の最後に真犯人にあっと驚いてそこからのジェットコースターのような展開の部分はまぁまぁ楽しめたのだけど、そこまでの道のりがなんとも・・・だらだらした感じの展開があまり好きでない。これって短編にすっきりまとめるほうが良かったんでは…?
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スクープシリーズの3作目。地方のヤクザと政治家の絡んだスキャンダルの話。ネガティヴキャンペーンってのがマスコミによって作られてる面があるってことも大事な中身の一つだったかな。
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ネガティブキャンペーン⇒「偏った報道によって世の中が特定の方向に傾いていくのが気持ち悪いだけです。」マスコミは完全に中立ということは有りえないと~何かに傾きすぎたら、それを正す必要があるんです」(文中抜粋)と、記者は動く。 どこかの状況に似ているけども。誰か動く強者はいないのかな?世間の声なのか?世間もその方向に見間違う事もあるけれど。
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スクープシリーズ第三弾。
今回も布施の力の入りすぎない行動にあっけにとられ、ストーリー展開に興奮し、ドキドキしながら読み終えた。犯人はまさかの人だったけど、痛快だった。
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今野敏『クローズアップ』(集英社文庫、2016年2刷)
時々読みたくなる作家が、今野敏と薬丸岳。
色合いは違っていますが、どちらもワクワクドキドキするストーリーで好きな部類。
『亜愛一郎』を読んでいる時期に、生協の書籍コーナーに並んでいて思わず手に取り、『亜愛一郎の狼狽』読了後に読み始めました。
ちなみに初版は2015年なので約1年後に生協の罠にはまったというわけか。(苦笑)
本書は「スクープ」シリーズ第3弾とのことなので、ますます生協書籍部にやられた感。
ストーリーは、週刊誌のライターが殺害されたところから始まります。この殺人事件を追って報道番組記者・布施と特命捜査係刑事・黒田が動きます。布施は、普段はあまり仕事をしていないようにたち振る舞っていながら、スクープネタを取ることにかけては天下一品。一方の黒田は、上司に特命刑事として腕を試される役どころ。この二人が付かず離れずの関係を保ちながら事件の謎解きをし始めると、やがて暴力団と政治家の黒い関係に行き着きます。
報道番組記者と特命刑事という、おおよそ結び付きそうもない二人が利害を超えて事件の真相に立ち向かうという、今野敏らしい設定。
しかも、『白夜街道』や『曙光の街』と同じように、ロシア人が絡みます。どうも小生はロシア人が登場すると色めがねで見てしまうので、『コイツが犯人か』と思い込んでしまって困ります。
泡坂妻夫の文章はゆっくり読ませる表現ですが、今野敏は高速で読ませる表現。つまりは読みやすいわけです。
この小説もワクワクドキドキしながら、あっという間に読み終えてしまいました。
たまーにいいですなあ、今野敏。
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週刊誌の記者が何者かに殺された。偶然その場に居合わせた報道番組「ニュースイレブン」記者の布施は事件直後の現場撮影に成功、翌日のニュースで映像が流される。一方、継続捜査を受け持つ捜査一課の黒田はある暴力団の組員が殺害された事件を追う中で、記者殺害との奇妙な符合に気付く。しかし、二つの事件を繋ぐカギは踏み込んではならない聖域だったー。
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今野敏のスクープシリーズ第三弾。
新幹線での移動時に、ちょうどいい読み物。
中身よりも、解説に、今野敏が音楽ディレクターとして働いていた過去を持ち、さらに「TM NETWORK」の前身「SPEEDWAY」を手掛けていたことが記されており、そっちのほうが印象に残った。