紙の本
普通じゃない物語!
2018/05/19 22:19
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投稿者:まもり - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても幸せな読書時間だった!雰囲気も挿絵も私の感性にはピッタリ合って、読書している間は軽い興奮状態になり、夫や娘にも「なんて面白い本なんだろう!!」と折々に話掛けその魅力をなんとか伝えようと言葉を選び、私なりに一生懸命努力したが、夫の顔色を見るとどうやら失敗してしまったようで、娘(小二)に至っては、机に置いたこの本を見つける度に「こっちにを見てる!こっちを見てるよ!」と怯えながらどこかに持って行ってしまう始末。ひどい…。設定も世界観もカッ飛んでいて子供から大人まで楽しめる冒険の世界がここに!第二部も読む!
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著者の想像力が怖いぐらいに素晴らしい!
2020/01/24 12:31
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
1) もし、物にならなければならないとしたら、何になりたい?
人間が物に変わる。物になってしまった者を肌身離さず持っている者は、病気にならない。そうかー、 仮に何かの物に変えられたとしたら、ぞんざいに扱われるのはいやだな。そう考えたら、今自分が持っている物を、手入れして、愛情をかけて大切に使おうと、そう思いました。
2) アイアマンガー家のおばあさまは、エリザベス女王?
大きな暖炉のある部屋に一生閉じ込められているおばあさまは、エリザベス女王をモデルにしたのかな?と思いました。
3) クロッドとルーシーは、ヘンリー王子とメーガン妃?
外の世界を見たくなり館を出ようとするクロッドとルーシーを、王室離脱を決めたヘンリー夫妻に重ねてしまいました。
紙の本
不穏な雰囲気溢れる世界観
2017/01/01 15:09
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段は海外文学には手を出さないのに、なぜか手に取ってしまった本です。(カタカナが苦手で、登場人物の名前がごっちゃになってしまうんです)
でも、これは一気に読めた!登場人物だけでなく、物にも名前があって、物の名前が長いのでちょっと四苦八苦したけど(笑)
イングランド出身の作家さんですよね。イギリス文学らしい暗さと不穏さが溢れてます。幸せになれる気がまったくしない。
独特の世界観にしょっぱななか引き込まれました。
三部作ですよね。早く次が読みたいです。登場人物の名前を憶えていられるうちに!
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独特の魅力のある物語
2023/11/23 20:40
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
分厚い本で3巻もありますが、読み始めると止まらない物語でした。幻想的で怪奇的でブラック、ユーモアも感じられ、何とも不思議な魅力にあふれています。著者によるイラストも非常に印象深く、一度見ると忘れられません。
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待ちに待った……というか、最早、邦訳は出ないもんだと思っていたエドワード・ケアリーの最新作。前2作は文藝春秋社から刊行されたが、本書は東京創元社から。
幻想的で閉ざされた世界は本作でも健在。というか、これが無ければエドワード・ケアリーじゃないよね。前2作よりもかなりその点は突き詰められていて、異様さは増している。めっちゃ濃い。
閉ざされた世界は最終的に破綻するしか道が無いのだが、その『破綻』もスケールが増している。
著者の手による装画もインパクトがある。特に眼と視線の表現が好みだった。第二部が早く出ないかな……。
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暗雲立ち込める空の下、塵芥の山の上にそびえたつ城のような館を背に、沈鬱な表情を浮かべた半ズボン姿の少年が懐中時計状のものを手にして立つところを描いた表紙画が何ともいえない味わいを出している。著者自身の手になるものだそうだ。アイアマンガー三部作と銘打ったシリーズの第一巻。表題はディケンズの『荒涼館』を意識したのだろう。貧しい人々が生きていくために屑拾いをし、親を亡くした孤児が売り買いされるロンドンの街外れを舞台に、まさにディケンズ張りの世界を描く。
主人公のクロッド・アイアマンガーは、堆塵館という大きな館に住むアイアマンガー一族の一員。先祖のセプティマスは土地を持たない屑拾いからはじめ、屑山に捨てられた不用品の中から金目の物を探し、他人の借財を買い集めて財を成した。その資金を元手にロンドン中のゴミの山を一か所に集めたのがここ、フィルチングだ。アイアマンガー家の力が大きくなるにつれ、人々はそれをそねみ、憎んだ。一族を不浄の者と蔑み、フィルチング区の壁の中に閉じ込め、区外へ出ることを禁じた。
アイアマンガーの者は、人々が見捨てた物、壊れた物、汚れた物に愛情を注いだ。それは自分たちと同じ臭いがするからだ。そして、屑の山の上に、ごみの中から使えそうな扉や窓枠を探し出し館を建てるに至った。それが地上六階、地下五階に及ぶ広大な堆塵館だ。地下にはロンドン直通の蒸気機関車が走り、騾馬を動力とする昇降機を備えた近代建築でもある。地上には純血種のアイアマンガー一族が暮らし、地下には、どちらか一方の親がアイアマンガーの血を引くものが、純血のアイアマンガーたちの世話をする役として雇われ、居住している。
水平的平面では、その職業に対する差別意識によって、他のロンドン市民から差別され、隔離されているアイアマンガー一族は、垂直的には、地上階と地下階で、支配する者と隷属する者とに二分されている。同じ地下にあっても、執事や家事頭には名前があるが、下働きの女たちは館に来るまでは所有していた固有の名前を取り上げられ、ただアイアマンガーと呼ばれることに甘んじなければならない。事ほど左様にこの物語は差別被差別、支配被支配の関係の上に成り立っている。
アイアマンガーの支配するフィルチングには、ロンドン市内でやっていけなくなった貧しい者、病人、罪人、借金取りに追われる者、異国の者が集まってきた。彼らはごみの選別の仕事を与えられたが、そのうち奇妙な病気が流行り出した。それに感染すると人が物化するのだ。それはやがて区外にも派生し出した。壁近くに住んでいたルーシーの両親もその病で死に、ルーシーは孤児院に入れられた。ところが、親のどちらかがアイアマンガーの血を引いていたらしく、ルーシーは館に迎え入れられ暖炉係として働くことになる。
ディケンズの小説で描かれているように、当時のロンドンの下層階級に位置する人々の暮らしは貧しく悲惨なものだった。ルーシーは、その階級を代表するヒロインだ。一方、市民からは白眼視されながらも、経済的には富裕層である純血のアイアマンガーであるクロッドは、上流階級とはいわぬまでも中流程度の階層に位置している。この二人の身分ちがいの恋が、主題になっている。階層社会がそれなりに保たれるのは、互いの不干渉が前提である。そこに亀裂が走れば、あとは革命まで一直線だ。
物語は、当然のように二人の出会いに始まり、禁忌の侵犯があり、安定していた構造に揺らぎが起こる方向へ動き出す。そのための仕掛けが、「誕生の品」と呼ばれるものである。アイアマンガー一族が、人が物化してしまう病気から免れているのは、誕生すると同時に、贈られる「誕生の品」をいつも身近に置いておくことにある。まあ、言ってみればお守りのようなものだ。屑の中から選ばれるそれは、蛇口であったり、浴槽の栓であったり、というものだが、ロザマッド伯母の誕生の品であるドアノブが紛失したことが、アッシャー家ならぬ堆塵館の崩壊の契機となる。
誕生の品には、それぞれ名がついている。たとえば、クロッドの誕生の品である栓は、ジェイムズ・ヘンリー・ヘイワードという。一族の中で、誕生の品の名前やその他の物の話す声が聞こえるのは、イドウィド伯父を除けば、クロッド一人だった。いつも家族から疎んじられているクロッドには「聴く人」の力が備わっていたのだ。みじめな少年が異界からやってきた王子様ならぬみすぼらしい孤児の力を借りて、輝かしい騎士に変容する。このあたりのみそっかすがヒーローに変身するあたり、典型的な昔話のスタイルである。もともと児童向けに書かれた絵入り小説らしく、堆塵館に吹きつのる嵐の中、物たちが反乱を起こす場面など、血沸き肉躍る痛快冒険小説のノリで、手に汗握る展開はまるで映画を見ているよう。
いわゆる幻想小説を期待すると、ちょっとちがうかな、という気にさせられるが、見捨てられたものが力を結集して群体を作るという発想など、手塚治虫の『鉄腕アトム』にあったエピソードを思い出した。口髭用カップが走り出すのにつられて、いろんな物が次々と命を授かったように動き回るあたり、日本の付喪神を髣髴させる。屑となった物や、社会から振り落とされ、無用の烙印を押された者を支配する頂点に立つアイアマンガー一族の長である祖父を向こうに回して、虐げられた者や物の側に立つクロッドとルーシーがどう闘うのか、次巻の刊行が待たれる。
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この秋は海外ものが豊作…(私にとって)
「望楼館追想」もいっぷう変わった話だったがこちらは三部作とあっていきなり梯子をはずされた結末にぼう然。
モノが意思を持つのは日本古来の付喪神信仰も連想。
結局クロッドはどうなったの?
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これが児童文学なのか。名前が力を持つ。ロンドンの汚穢を引き受けた一族。富を持つと同時に、差別もされる。当時のロンドンやパリってあまり清潔ではなかったんだな。そういうところはオースティンもブロンテ姉妹も描かない。江戸の方が多分清潔。これからはゴミ屋敷ではなく、堆塵館と呼ぼう。幼い恋の行く末がどうなるか、ルーシーは戻れるの?遅くても来年には次作を出してね、東京創元社さん。
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子どもも楽しいし、もちろん大人だって楽しい1冊。
怖くはないけど不気味な世界は好奇心をかりたてるね。
あとがきを読むとなってるとなかなか言葉遊びがちりばめられていて、英語で読めればどんなにか!(もちろん古屋さんの考え抜かれた妙訳です)
とんでもないところで終わっているので、どうぞどうぞ続きも出ますように。
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初めは何のことか分からず混沌とした感じで始まるも、ある程度情況が理解できてからは面白くなってくる。
特に訳が素晴らしい。各章話者が変わり、話し言葉で語りかけてくるという形式なので、訳しやすいのかも知らないけれど、いかにも英文訳!ではなく、日本語としてこなれているので、すんなり理解できる。
後半からは、スリルが加わり、あたかもハリーポッターの映画を観ているような雰囲気になる。
アイアマンガー一族の描写には、ユダヤ人とその歴史を彷彿させる様に思ってしまう。
3部作とはいえ、それぞれある程度の区切りがついて終わっているのかと思っていたのだが、やはり連続しているのですね…次を読まざるを得ない様に出来てます。この先期待して良いのでしょうか?
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あぁ、失敗した…いや、良い意味の失敗です。三部作とは分かっていたものの、どうしても早く読みたくてつい手に取ってしまい、読み出したらどっぷりハマってしまいましたが、続きが気になる!!揃ってから読めば良かった〜。ヴィクトリア時代でダークファンタジー、作者のエドワード・ケアリーの不思議な世界。読まずに年は越せませんでした。この作家さんの『望楼館追想』も読んでみたいのだが密林では相当高値だわ…。
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不思議で、奇妙で、不気味な空想物語。おもしろかった。この迷宮感はクセになる。
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見返しにある建物の見取り図をチラチラしながら読むのが好き。絵もすべて著者が描いてるんだとか。
三部作の1。続きが気になる。
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YAとして書かれた作品のようだけど、YAでは売れそうにないので一般向けとして売っている、という印象の本。
日本の中高生に受けるかは疑問。誕生の品含め、すさまじくたくさん名前が出てくるので、翻訳小説が苦手な人にもおすすめできない。
絵と設定は魅力的。ディケンズ的でもあるし、ティム・バートンのアニメ(で見たい!)のようでもある。
ゴミで財をなした一族が世間的には地位が低いのに、実際は貴族のような暮らしをしているというのも、キリスト教徒がしたがらない金融業でのしあがったユダヤ人や、インドの不可触民の富豪を思わせ、象徴的。
ただ、この本ではまだ話が始まったばかりで、謎も多く残されたまま。これ続刊が出るほど売れなかったらどうするつもりだったのだろうか。
苦言をいうなら、キャラクター設定は陳腐。ひ弱な劣等生だが実は隠された能力のある貴族の子と、容姿には恵まれないが勇気と知恵のある召使が惹かれ合うとか、意地悪な優等生、見捨てられる変り者、不気味な支配者などは今までにもたくさんあったので、今後どうひっくり返してくれるかにかかっているが、主人公が能力に目覚めて召使とともに力を発揮し、敵を倒し、謎を解き、社会を改革するなんてことのないようにお願いしたい。
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「絶賛意見が多いけど、ジュブナイルものだから微温いんだろうなぁ」と失礼なことを思いながら読みはじめたところ、傑作。
それまで寓話的と思われたストーリーがぐっとリアルになる中盤の展開には唸ってしまう。
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まず表紙に魅了された。目が吸い寄せられた。
作者自身による絵だと、後書きで知って納得。
「アバラット」みたいだなーという直感が当たった。
物語が表紙からにじみ出ている。
期待を裏切らないファンタジーだった。
あと二冊楽しみ!