行く末遥かな「結びの章」
2009/02/12 14:04
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菊理媛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大河ドラマが完結した。終わってしまって安堵したような、寂しいような、待ちかねていたファンとしては複雑な心境になる。
「なるようになったな」という結末だった。御幣があるのを覚悟で言えば、各人が「そうあるであろう」と思われるところに落ち着いた結末だった。
何事もなかったように・・・と言えば、貶し言葉ととられそうだが、そうではない。物語が始まってからこの結末まで、天地がひっくり返るほどの変化を経て、登場人物の主要メンバーそれぞれが、死んでもおかしくない経緯をくぐりぬけて、あるものは命からがら、あるものは寸でのところで踏みとどまり、あるものは否応もなく大切なものを失いつつも、「あるべき場所」へ至り、過ぎた日々と似たような(しかしながら、確実に変わってしまった)生活に戻り、淡々と日をおくる生活に身をゆだねてゆく。ここに至るまでの支流は数限りなくあると含みを残し、ここからまた、新たな物語が始まりもしそうな奥行きをただよわせて、「守り人シリーズ」は終着点にたどりついた。
バルサとチャグムとともに旅した物語は、長かったようであり、短かったようでもありつつ、二人とともに、喜びも悲しみも併せ呑み、読者もここで旅を終えることになる。この大河ドラマが、バルサの物語であったのかチャグムの物語であったのかは、読者の目線がどちらとシンクロするかによっても違うだろう。国の存亡と、勢力図を左右する壮大な物語となったチャグムの大河。‘個’に対する愛情と思いやりを糧に、国の存亡を左右する謀略さへ揺るがすバルサの大河。究極は、どちらが主役であってもかまわないと思うのだけれど、物語の終わりが、「誰が誰の元に帰ったか」であるところを見ると、作者の意図ははっきりしているような気もする。
私は元来、戦争ものは本も映画も好きではないし、戦闘シーンも人殺しを美化しているようで好きではない。しかしながら、チャグムの初陣の場面では、涙が出そうになるほど感動してしまった。外へ出ることさへ穢れとされてきた王家の皇子が、人の命の大切さゆえに、先頭に立って戦乱に飛び込んでゆく様は、深い感動を与えてくれた。
戦場に借り出されたタンダを心配し、敗戦兵の収容されている場所までたどり着いたバルサが、タンダとの関係を聞かれて答えた「つれあい」という言葉に涙が出た。あぁ、この二人は、本当に「つれあい」と呼ぶのが相応しいなぁと心から思えた。
できれば、遠い将来でいいから、バルサとチャグムに再会のときがあればいいと思う。「精霊の守り人」の別れでさへ、二度とは会えないと思っていた二人が、不幸を媒体としてではあったが再会を果たせた。不幸は国を揺るがす大事ではあったけれど、二人が会えたことは幸いだったのだと思う。二人が会えたから、不幸の中で幸いが芽吹いた。
いつかまた、幸いな二人の出会いがあることを期待したい。それが儚い夢だとしても、「絶対に無い」という結末でなかったことを、私は幸せに思ってしまうのだ。
守り人シリーズ、本当に最高!!
2019/02/07 15:16
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長くて短い、バルサとチャグムの、そしてサグとナユグの壮大なドラマが一段落してしまった。寂しいけど、とても充実した時間を与えてもらった。
帝のあり方と、帝とチャグムの最後はあれ以外、仕様がないよなと思わされたし、バルサの生きる道も、これ以上ないのでは?と思った。
こんなに素敵な物語をありがとうございました!
没頭できる物語でした。
2016/10/08 20:16
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投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの巻も大好きなシリーズです。帝の言葉が不思議と印象に残りました。読み直す機会ができて本当に良かったです。文庫本も嬉しいのですが、このシリーズに関しては挿絵もすごく好きなのでわざわざ?児童書の方を手に取ってしまいます。
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チャグムとバルサの旅が終わった。
『精霊の守り人』で劇的な出会いと別れ、そして再会の旅も動乱に乗じたものではあれ、二人の絆や信頼はより深まったように感じた。
他の巻では、それぞれの旅、『天と地の守り人』では再会と別れの旅を描ききった守り人シリーズ。
最後に、二人はまた新たなる人生を歩み始める。やっと終わったけど、また読み返してみたい。
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軽装版発売時に買い始め、3巻までは発売時に読むも
残りは全部揃ってからと積ん読。
先月、1巻からあらためて読み始め、合間合間に浮気をしつつ
1ヶ月ちょっとで読了。
とうとう終わってしまった…
バルサの話もチャグムの話もそれぞれ面白かったけれど
2人が再会を果たした時が一番嬉しかったかな。
今巻を開く時にはこれで最後かと感無量。
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息子を見おろした帝の顔に、最初に浮かんだのは、驚きと、嫌悪の表情だった。
チャグムは、ゆっくりとひざまずいたが、頭をさげることなく、父を見あげていった。
「ただいま帰還いたしました。」
みじかく、そういった息子を見つめ、帝は、眉をひそめた。
「よくもどった。……しかし、その姿はいったい何事だ。それが、父の前にひかえる姿か。」
チャグムは立ちあがり、しずかな声でいった。
「無礼とはぞんじましたが、一刻をあらそう危急の折にて、ご容赦を。」
帝は、ひややかな声で答えた。
「きかに危急とて、血をあらいおとすくらいの時はあったであろう。清浄なるわが宮に、そのような穢れをもちこむとは……。」
それを聞いた瞬間、チャグムの目に、にぶい光が浮かんだ。
(本文p.222)
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天と地の守り人 最終巻
ちょっと悲しい場面もあるけれど、最後は・・・
バルサの行く末(?)が分かってとにかくホッとしましたよ
でも・・・バルサさんのその後がやっぱり読んでみたいです(^^;
とにかく、とっても満足!
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最終巻。バルサとチャグムはそれぞれの戦場へ旅立つ。
父と退治するチャグムの姿は、この旅の成長の集大成とも言える姿。そしてバルサは戦場のタンダのもとへ…。
バルサ、チャグム、それにタンダ。悩み、迷い、傷つきながらも、それぞれの未来を確かに手にした姿でした。
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何というか、面白かったんだけど、ちょっと詰め込み過ぎかなぁ、という気がしました
最後まで買いましたけど、残念ながら手放す予定です
まぁ、引っ越し予定しているので、荷物減らしたいと言うのも有りますが…
どうしても手放せない、という程では無かったデス
あくまでも守り人はバルサが主人公という割には、後半は出番殆どなかったですしねぇ
ずっとタンダの看病をしていたというのも有りますし、バルサは所詮用心棒という事で、国と国との厄介事に巻き込まれる要素が無いと言うのも有るわけですが、そこが少し残念です
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長い、長いチャグムとバルサの旅が終わった。これを読みはじめたのは5年前だったけど。飽きることなく読めた?本当に面白い作品だった。
児童書とは思えないほどの迫力があったなぁ????タンダの姿を見たときはどうなるかと思ったけれど、最後は本当よかった。
バルサの飾り気のないタンダへの愛情。
決して愛してるとは言わないけれど、その言葉よりも深い愛で二人は結ばれている。それがタンダをようやく捜し当てたバルサのたった一言が物語っていると思う。「この草兵のつれあいです」たった一言だけどタンダに対する愛情が伝わった??
そしてチャグムも精霊の守り人の時には考えられない程立派な青年になっていたいくたびの苦難を乗り越えた彼だから国を統治することが出来たのだろうと感じた。
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面白いファンタジー小説は何?と聞かれたら、私は迷わずこの守り人シリーズと答えるでしょう。
世に数ある「傑作と呼ばれながらも未完結な作品」と比べ、守り人シリーズは最高の形で完結したという点においても、読者に忠実だったと思えます。
ここからネタバレ含みます…。
タンダは、タンダはどうなるんだーーー!!??
っていうのが一番気になってしょうがなかったのですが、彼が腕をバルサに切り落とされるシーンで納得しました。
負け戦で大勢の草兵が死ぬとさんざん作中で語られているのに、タンダだけ無傷で生き残ったとしたら戦争の悲惨さが全く伝わってこないし、逆に死んでしまったら、一体バルサは誰に癒やされればいいの…という救いが無い話になっていたと思います。
10年間描いてきたキャラの腕を切り落とすのは、作者の上橋さんにとっても辛いことだったのではないでしょうか。
しかし、戦争の悲惨さを表すと同時に、バルサとタンダの強い絆を示すには、一番良い方法だったと思います。
コチャは、とっても残念でしたが…本当に残念でしたが、戦争は奇麗事ではないですもんね。でも、生きていてほしかった。
そしてチャグムと帝の愛憎の行方です。
二巻を読み終わった時点では、チャグムが「親殺し」に手を染めるしか民を救う道は無いように見えました。しかし、なんと、あのような結末を用意するなんて。
私はずっと帝には腹立たしい思いしか抱かなかったのに、読み進めるうちに、彼の清らかさと神々しさが感じられるようになりました。
互いに天と地の別々の道を行くことになった二人。 帝は神であり続け、チャグムは子であり続けた…という気がします。
これ以上に良い結末は、私には思い浮かびません。
守り人シリーズ完結と言えど、上橋さんはまたお話の種が降りてきたら、書き続けて下さるようですね。
またこの魅力的な世界を覗いてみたいです。
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読み終わってしまいました。バルサとチャグムとその他たくさんのこの世界の住人から、パワーをもらいました。ありがとうございます。
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良かった! とにかく良かった!! 全巻読み通してみて、あまりにも陳腐な感想だけど、今は良かった!という以上の言葉が見つかりません・・・・ ^^; この作品を読んでいる間の没頭の仕方と言い、世界観に対する共感と言い、KiKi のこれまでの読書の No.1 だった「指環物語」とあっさり肩を並べてくれちゃいました。
3巻という膨大な物語の感想をこんなチャチなブログの1日の記録に書けるものではありません。 でもチャグムの成長も、バルサとタンダの結末も(ちょっぴり胸が痛いこともあるけれど)、トロガイの活躍も、シュガの立ち回りも全てが彼ららしい生き方で「うんうん、そうだよね。 ○○は絶対こうでなくちゃ!」と頷ける、ものすごい大河ドラマでした。
(全文はブログにて)
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図書館。
第2部第3部と続けて読みました。
面白かった!それぞれ国を考えている人が王座につくことができて
良かったのではないかと。ヒュウゴかっこいいな。
いつのまにふたりくっついていたんだろう?とか思いつつ、
なんていうか自分も何か成し遂げた気がする、そんな読了感。
番外編も読むぜ!
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シリーズ最終巻、とうとう読了。
まさに感無量。
全巻通して大好きでした。
それだけに読み終えてしまって寂しい。
素敵な物語と出合えることって、この上なく幸せです。