紙の本
小さな地域社会の人間関係
2022/08/17 14:31
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
真冬のアイスランド、さらにその最北端にある人口1200人ほどの港町という閉ざされた感たっぷりの地域社会に、首都レイキャビクから赴任してきた24歳の新人警官アリ・ソウル。
この舞台設定そのものが、本作の最大の読みどころかもしれない。実際、作者の祖父母が長らく住んでいたところらしいから、その描写も真に迫っている。長い冬の猛烈な吹雪、入り組んだフィヨルドの港町のため、しょっちゅう起こる雪崩で山道が閉ざされ陸の孤島となる閉鎖性、ニシン漁の最盛期が過ぎ去ったあとの、過疎化の進む活気のない社会、さらには誰もが誰もを知っているため、個人の秘密も筒抜けという狭い地域にありがちな息苦しさ・・・と、圧迫感と憂鬱に押し包まれる要素あふれる語りに読者もすぐに引き込まれ、この猛暑を一時にせよ忘れさせてくれた。
窓も積雪でふさがれてしまうので、皆固くカーテンを閉めているのだが、その影から密やかに進行する隣人の秘密を覗き見している好奇心が、人間の心の襞を容赦なく暴き出す。
だが、登場人物のモノローグから浮かび上がる各人の事情はかなり深刻なものもあるのに、そういうことからは誰しも目をそらし、深く踏み込まない消極性もしっかり描かれており、この表層的な親密さの下に潜む無関心や変に腰の引けた対応が現代性を感じさせる。凄まじい夫婦げんかをしていることは叫び声などで知ってはいても、女性が暴行を受けていたことや精神的に追い詰められていたことは確認できない。こんな田舎町でなくても昨今どこでも見られるような現象だ。
さらにかなりの登場人物が、一度は進学や就職、あるいは歴史的に深い関係にあるデンマークへの移住を経験しながら、老年になって、または人生の次のステップに進むまえに、この町に戻ってくるのが印象的だった。そこには経済的な問題よりも心情的なものが大きな比重を占めているようで、人にとって故郷とは何かという根源的な問題も投げかけているようだ。
静かに自分自身を見つめなおすための地なのか、人生の最後を過ごす安息の地なのか、過去の秘密を振り切るために隠れ住む一時的な場所なのか。登場人物たちはそれぞれの思いで、吸い寄せられるようにこの小さな町に集まってくる。土地とそこに住む人間の関係という文化人類学のフィールド調査の報告書を読んでいるような気分にさせてくれた不思議な味わいのある作品だった。
アリ・ソウルとクリスティンの関係と、レイヴルの兄の交通事故死のその後がとても気になる。シリーズの次作を手に取ることはたぶん間違いないだろう。
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日本に住み、都会や世界各国の名所というのは、あやふやだとしても情報がある。けれども、アイスランドのシグルフィヨルズルという小さな町を舞台としたこのミステリを読むと。夜のない世界。長い冬の時代、誰もかれもが知り合いである小さな世界。その普段目にしない環境を知るきっかけになる。
主人公がほんとうにその辺にいそうなお兄ちゃんなのも面白い。これシリーズになるって本当なのか。どうなるんだ、とかね。
続編に期待。
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北欧の寒く閉ざされた雰囲気がよい。
ミステリなのかはよくわからないけど
もっとなんかどろどろした展開があるかと思ったけど割とあっさりだった
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最近多く見かけるようになってきた北欧ミステリー。
他と同じく雪のためか、全体的に重苦しい雰囲気が漂う。
人物描写があっさりで、またミステリーとしてはちょっとあっけないが、シリーズとのことで次作に期待。
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アイスランドのミステリと言えば、エーレンデュル捜査官シリーズで有名なアーナルデュル・インドリダソンだろう。『湿地』『緑衣の女』でガラスの鍵賞連続獲得という快挙を成し遂げた彼の作品は世界各国で翻訳されたため、犯罪が極度に少ないと言われるアイスランドの首都レイキャビックを舞台にした珍しい国籍のミステリーとして名を馳せた。
何故に犯罪が少ないかと言うと、アイスランドは人口は34万人と、そもそも少人間が少ない。しかも6割が首都圏に集まっている。国土面積は、北海道と九州を足したほどで、人口は旭川市とどっこい。札幌の人口の1/4にも満たない。
ここで紹介する新しいアイスランド・ミステリの騎手は、ラグナル・ヨナソン。1976年生まれ。法律家やアガサ・クリスティ作品のアイスランド語への翻訳家としても活躍する新進作家である。本書もアイスランド語で書かれたものだが、人口を考えればミリオンセラーにはなり得ない。作家は、独り立ちするために翻訳されて世界に出てゆく必要がある。本書もまた、原書出版の5年後に英国とオーストラリアで英語化されたらしい。そこで素晴らしいことにキンドルのベストセラーリストの一位に輝いたという。まさに逆境から、立ち上がってきたシリーズ第一作なのである。
このシリーズの主人公は、24歳にして新人警察官。レイキャヴィーク出身だが、雇用先は極北にある人口1200万人のシグルフィヨルズルという、舌を噛みそうな名の街。警察官はたった3人という小さな警察署である。しかも過酷なまでに雪と寒さに閉ざされた真冬の季節。日照時間は一日3時間。新米若手警察官であるアリ=ソウルの青春、恋愛、捜査活動を通して、まるで街こそが主人公であるような、冬の閉塞感に打ちひしがれる日々が描かれる。
何人もの登場人物の目線で描き分けられる章立てでもある。猫の目のように入り乱れるそれぞれの人物の嘘や思惑、性格や秘密などが思わせぶりで、真実の核に辿り着くための何層もの皮むき作業を強いられているような気分になる。地方都市独特のそれぞれがそれぞれと何らかの関係にあるという複雑な人間模様の中で、若手警察官だけが今は余所者。この孤立感も作品全体に緊張を与えている。
一方、かつてはニシン漁で賑わったが近年不作で人口が減少する一方のシグルフィヨルズルの海街。地方都市ならではの人々の生活が活写され、首都のレイキャヴィークではリーマンショックによる経済危機に対して大規模な対政府抗議活動が繰り広げられている時代背景なども描かれており、広義におけるうアイスランドという国の直面する課題も窺い知れる。北海道と共通す極寒の生活や、晴れた日の雪景色の美しさも含め、親しみを感じさせる描写も点在して、好感が持てる。
この後、第五作・第二作の順番で英訳そして和訳(英語版からの邦訳)されているのだが、第五作がオーストラリアで再びキンドル版首位に返り咲いたことの影響であると思う。今年3月に、第二作『白夜の警官』も日本では出版されているので、ぼくとしては次は邦訳の成った第五作ではなく、先に第二作に取り組む所存。主人公の状況に一作だけでも多分な変化が見られ���ので、これから読もうという諸氏は、先に五作目に取りかからぬ方が賢明であるように思う。
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あらすじ
アイスランド。24歳のアリ=ソウルは、北の田舎シグルフィヨルズルに警官の仕事を見つける。レイキャビクに恋人といたが、理解されないままやってきた。上司には事件なんか起こらないと言われ、地元の人々からは興味津々だ。隣人のことなら何でも知っているほどの狭い町。
地元には、大御所の作家が住んでいて、理由ありの若い女性が移り住み、デンマークへ一度引っ越した男が妻と共に戻ってきた。別の男のもとには、亡くなった父の知り合いだというデンマークの女性が宿泊している。それぞれ事情を抱えなが、娯楽は地元劇団だ。
ところがリハーサルの夜に老作家が階段から転落死しているのが発見される。一度は事故で片付けられるが、続いて女性が刺されたのが見つかり、警察は捜査に乗り出す。
アイスランドからまた良いシリーズが出た。大半の北欧ミステリーとは違う点は、主人公がめちゃ若いところと、比較的短めで取っつきやすい、悲惨な場面はあまりないってところ。登場人物たちの事情や過去が断片的に書かれるけど、深みもない代わりに複雑でもないから整理しやすい。淡々とした文章が、アイスランドの田舎の厳しい冬の様子に合っていて、物語に入り込めた。
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新人警察官アリ=ソウルの赴任先は、アイスランド北端の小さな町・シグルフィヨルズル。恋人を置いてたどり着いた町は、閉鎖的だが「ここらじゃどうせ何も起きない」と上司は言った。
だが着任から二か月後のある日、町の劇場で老作家の死体が発見される。上司は事故で処理しようとするが、アリ=ソウルは遺体の状況から他殺を疑う。さらに雪の中で半裸の女性が瀕死の状態で発見されて――。
捜査を進めるアリ=ソウルの耳に、住民の不穏な過去ばかりが届き始める。町の外へ通じる唯一の道は雪崩で塞がっている。
犯人は町の中にいる!
こじんまりとした物語。
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新人警官のアリ=ソウルは赴任先は、アイスランドの小さな町シグルフィヨルズル。一月の日照時間は三時間、暴力的に雪が降り積り雪崩も起き道が塞がり孤立する事も冬場は珍しいことではないような町。祖父母の代から全員顔見知りで、あそこの家はどうしたこうしたと噂話があっと言う間に広がるような町。新参者はいつまで経ってもよそ者扱いで溶け込む事は難しい。主人公はそんな町の、山と闇と雪に押し潰されそうな閉塞感に悩まされ続ける。赴任から二ヶ月、有名な老作家が劇場の階段から転落して死亡た。事故か殺人事件か…新人警官が捜査を進めパズルのピースを一つ一つ埋めていく。
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シリーズもの
海外物はちょっと苦手なんだけど、これは読みやすかった。
面白かったかと言えば、うーん普通って感じだけど、次作も読んでみようかな。
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アイスランドの作家「ラグナル・ヨナソン」の長篇ミステリ作品『雪盲(原題:Snjoblinda、英題:Snow Blind)』を読みました。
アイスランドの作品は昨年7月に読んだ「ヴィクトル・アルナル・インゴウルフソン」の『フラテイの暗号』以来ですね… 北欧ミステリが続いています。
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北欧ミステリの超大型新人、日本初登場!
亡き北欧ミステリの帝王「ヘニング・マンケル」のエージェントが仕掛けた超大型新人、「ラグナル・ヨナソン」の〈ダーク・アイスランド・クライムシリーズ〉第1弾!
新人警察官「アリ=ソウル」の赴任先は、アイスランド北端の小さな町・シグルフィヨルズル。
恋人を置いてたどり着いた町は、閉鎖的だが「ここらじゃどうせ何も起きない」と上司は言った。
だが着任から二か月後のある日、町の劇場で老作家の死体が発見される。
上司は事故で処理しようとするが、「アリ=ソウル」は遺体の状況から他殺を疑う。
さらに雪の中で半裸の女性が瀕死の状態で発見されて――。
捜査を進める「アリ=ソウル」の耳に、住民の不穏な過去ばかりが届き始める。
町の外へ通じる唯一の道は雪崩で塞がっている。
犯人は町の中にいる!
翻訳は「特捜部Q」シリーズで知られる「吉田薫」。
世界14か国で翻訳された人気シリーズが、遂に日本に初上陸です。
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首都レイキャヴィークより北極圏に近く、環状に連なる山とフィヨルドに囲まれて、空はいつも雲に覆われ灰色にくすんでいて、かつては漁業の中心地として栄え、特にニシン漁は最大の漁獲量を誇ったこともあるという、アイスランド北端の人口1,200人ほどの小さな港町・シグルフィヨルズルを舞台にした"ダーク・アイスランド"シリーズの第1作目となる作品です… 2010年(平成22年)に発表された作品、、、
2017年(平成29年)3月時点で、本シリーズは5作品発表されているらしいです… 現時点、翻訳されているのは本作品のみのようですけどね。
2008年(平成20年)の夏… 13歳で両親を失って以来、神を信じていいないにも関わらず大学で神学を志していた24歳の「アリ=ソウル・アラソン」は、その前に学んでいた哲学と神学のいずれにも挫折して、自分探しの途上で警官になろうと思い立つ、、、
アイスランドの首都レイキャヴィークのフラットで医学生の恋人「クリスティン」と一緒に暮らし始めたばかりだが、警察学校卒業を間近に控え、就活に苦戦中… そこへ「きみを採用したいと思っている」と一本の電話がかかってくる。
赴任地はシグルフィヨルズル… そこはレイキャヴィークよりも北極圏に近い町、、、
2008年(平成20年)の秋… リーマン・ショックを大きく受け、首相が国民に非常事態を宣言するほどの経済危機に陥っていた状況の中、仕事にありつけただけでもありがたいと思い、恋人の理解を得ないまま「アリ=ソウル」は400km離れた北の最果ての地シグルフィヨルズルへ向かう。
かつてはニシン漁で栄えた漁師町は人口も景気も衰退の一途をたどっており、上司の「トーマス」から、ドアに鍵をかける必要���ないほど何も起きない町だと聞かされた「アリ=ソウル」は、山と闇と雪に押しつぶされそうな閉塞感に悩まされながら、こんなところに来るんじゃなかったと後悔する日々を送っていた… そんなある日、町で最も高名な人物であり、市民劇団の主宰者である元作家の「フロルフル・クリスチャウンソン」が劇場の階段で転落死する、、、
当初、単純な事故と思われたが、平和なはずの町に不穏な空気が漂い始める… 「アリ=ソウル」の自宅に強盗が押し入り、強盗を捕らえようとした「アリ=ソウル」が軽傷を負う事件が発生、次に劇団員「カルトゥル・ステインドウル・エイナルソン」の内縁の妻で看護師の「リンダ・クリステンセン」が刃物で切られ、雪上で瀕死の重傷を負う事件が発生し、「フロルフル」は死の直前に劇団の演出家「ウールヴル・ステインソン」と口論していたこと等から事件性が疑われ、小さな町は混迷を深める。
関係者の聞き取り等から、劇団関係者の暗く不穏な過去、劇団内の脚本や演出、キャスティングに関する確執や劇団内での不倫等が判明、それらの情報もとに「アリ=ソウル」は推理を進め、三つの事件の真相について仮説をたてる… そして、証拠は不充分だったが、仮説を証明するために犯人と思われる人物の自宅に単身乗り込む、、、
「フロルフル」の事件と、「リンダ」の事件は、動機も犯人も全く異なりましたが、それぞれ納得の結末が用意されており、パズルのピースがきっちり嵌る心地良さが味わえる作品でした… 「カルトゥル」は、証拠はないとはいえ、過去の犯罪歴を考えると、もっと懲らしめてくれた方が納得感があったけどなぁ。
北欧ミステリって、猟奇的な殺人事件や暴力性や残虐性の高いシーンが多いのですが、本作品では、そんなシーンは全くなく、ホントに身近で起きても不思議ではない事件が扱われており好感が持てましたね、、、
自分探しの延長で警察官になっただけあり、まだまだ考え方に甘いところがあり、推理は冴えているものの、詰めが甘いまま行動に移ってしまう「アリ=ソウル」の等身大のキャラも良かったですね… 本シリーズ、他の4作品も翻訳してほしいなぁ。
以下、主な登場人物です。
「アリ=ソウル・アラソン」
シグルフィヨルズル署の新米警官、24歳
「クリスティン」
アリ=ソウルの恋人、医大生
「トーマス」
シグルフィヨルズル署の署長、アリ=ソウルの上司
「フリーヌル」
シグルフィヨルズル署の警官、アリ=ソウルの同僚
「ウグラ」
劇団員、ピアノ教師
「フロルフル・クリスチャウンソン」
劇団の代表、元作家
「ウールヴル・ステインソン」
劇団の演出家、元外交官
「カルトゥル・ステインドウル・エイナルソン」
劇団員
「リンダ・クリステンセン」
カルトゥルの内縁の妻、看護師
「パウルミ・パウルソン」
劇団の脚本家、元教師
「ローサ(ローサリンダ)」
パウルミの父親の知人
「レイヴル」
劇団員、大道具担当
「アンナ・エイナルスドッティル」
劇団員
「ニーナ・アルナルドッティル」
劇団の雑用係
「サンドラ」
フロルフルと親交があった老女
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なんとなく読んだわりには、面白かった。
町民の年齢が高いことと、町や人名が馴染みなさすぎて読みにくかった。
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アイスランド舞台のはインドリダソンのエーレンデュル警部もの、アイイスドッティルの「軋み」に次いで3人目。今回の舞台はアイスランド北部、シグルフィヨルズル、北海道に例えれば網走か、と地図を見ながら勝手に思い込んで読み始める。
主人公はアリ=ソウル24歳。医学生の恋人をレイキャビクに残しての赴任。採用者は、11月中旬には来てくれ、それを過ぎるとお日さんが拝めなくなる、と警察学校の最終試験もこちらで受けろ、と言うのです。シグルフィヨルズル、緯度は66度です。上司のトーマスは、昔はニシン漁でにぎわっていたんだが、今は人口千二、三百ってとこだ、シャベルは必需品だ、すぐに雪かきをしないと閉じ込められるぞ、と脅かします。
用意してくれたアパートの鍵は?と問うと、ここらじゃ鍵はかけないんだ、どうせ何も起きないんだから、というが町の劇団の責任者が階段から落ちて死に、さらにメンバーの妻が雪に庭に上半身裸で血に染まって横たわる事件が・・
事件そのものは北だろうが南だろうが、という感じですが、事件は赴任早々の11月から12月のクリスマス、年明けて1月なのです。雪は横殴りでふり、ついにとなり街との街道は雪崩で交通不能になり道はアイスバーン、と描写が続きます。上司の言葉通り、薄暗い日中なのだろうと想像します。事件そのものより、この北の描写に興味をひかれます。アリはフィヨルドの壁に閉塞感を感じますが、ここで生まれ育ったトーマスはよそに住むなんて考えもしないと言います。
著者のヨナソンはレイキャビク生まれですが、このシグルフィヨルズルの気候の描写は人に聞いたのでしょうか?
また登場人物の一人ウグラは北西部のパトレクスフィヨルズルで育った設定。扉に地図がついてますが、アイスランドの北西の果て。
別な人物は途中からデンマークに両親と移住、またアイスランド人とデンマーク人のハーフという人も登場します。解説によるとこれは1944年の完全独立前はデンマークの支配下にあったことが背景にあるとあり、ああそうだったとにわか仕込みの歴史を思い出しました。。
誘われるなあ、アイスランド。
英語版を翻訳。
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何年にも渡り何事もなく平穏な暮らしが続いてきた小さな町に降って湧いたように殺人事件が起こることによって、平凡な人生を送ってきたはずの住民達の過去が掘り返されて物語が展開していくスモールタウン・ミステリの典型。
学生の自由研究がきっかけというのももう一つの典型だが、ポッドキャスト、ネット検索等々のSNSを駆使した捜査手法が目新しい。
ボーイ・ミーツ・ガールの関係も絡んできて青春ミステリの王道を歩んで行くかと思いきや、地元警察に無視される、周囲の敵意、無理解に苦しめられる、文字通り孤立無援の状態で捜査を進めていると、やがて自分の身と家族に危険が迫ってくる絶体絶命の状況に追い込まれる。
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だいぶ前に駅の本屋で一目惚れして購入した作品でした。小さな町だからこそお互い知っていて事件なんて起こらないが主軸にある作品で、お互いの知ってることをもとに主人公が組み立てていく様がとても面白かったです。
シリーズ物ということを読み終わりあとがきで知ったので、もったいないことをしていたなと思うばかりです。