ＫＩＮＧ　ＯＦ　ＢＡＮＤＩＴ　ＪＩＮＧ（２）

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投稿者：ワシ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

一缶（巻）からの続きである。
ジンの外見年齢が、前話では小学生くらい、本話ではいきなり青年初期くらいまで飛んでいるおり、時々ゴツく違和感を覚えるかも知れない。

聖体配受（せいたいはいじゅ）術を駆使するウーリャン博士。
生物の臓器から身体の一部まで、生きたまま摘出・交換を可能にする、まさに神の手。
非生物と有機生命体も簡単に接続してしまう。
ドアノッカーの生きたライオン（ブラスの輪を欲しがる）、文字通りの「壁に耳あり」は、誰もが一度は考えた事があるのでは？

そして街の治安と秩序維持を担う神脳と神驅。
こちらは元が人間の脳だけに、機嫌や体調に左右される不安定さが面白い。
唯一神は存在するのか？存在が確認できないのならいっそ作ってしまえという乱暴さと技術盲信っぷりを描くあたりもさすがだ。
映画『トータル・リコール』のワンカットを逆に引用、日記帳の表紙『五粮無憶』とちゃんと酒の名前があり、重箱の隅ツツきが止まらない。

ブラディ・シーザーが“34”人の合体である理由はなんだろうか？
昔、どこかに書いた気もする。
メアリ・シェリー（フランケンシュタインの創作で知られる）と、ブラディ・マリー（メアリ1世こと血まみれマリー王妃）に引っかけてブラディシーザーの名前を引っ張ったと思われる。
メアリ1世が没年齢42才、父のヘンリ8世の8を引いて34。
ヘンリ8世が国王至上法を発布し、血塗れの引き金を引いたのが1534年。
この近親で34才の歳の差婚を遂げた人物もいたように思う。

少し後のユグノー戦争が実戦闘期間34年（停戦休戦期間を除く）。
大デュマ『三銃士』の“さんじゅうし”から三十四？
むしろ無理矢理のコジツケじゃない…、とセルフつっこみ。


「ヨシュア・トゥリー」編
ペン入れ前のコンテ画だけで構成されている不思議な短編。
これが完成原稿なのか実は下絵に過ぎないのかは不明、ただコンテだけでもここまで陰影をつけられるものかと感心するばかり。
「衛星夏（スプートニクサマー）」が固有の地名なのか、なにかの象徴なのか判然としない。
シモーヌに殺された被害者は残らず樹木化している点がポイントだろうか。
殺されたのは異界や異星から来た植物人間か、シモーヌには人を植物化して殺せる技法が備わっているのかのどちらか。
「一粒の麦地に落ちて死なずば・・・・」も何通りかの解釈ができるが、ここではあえて種子と考えてみたい。
役場の職員達は異星人で、ゆるく侵略を進めるために田舎の役場や間隙の多い場所に入り込んでいるのだ、と考えてみた。
終幕の大樹は侵略が成功した証なのだろうか。
根拠もなく身も蓋もないが。