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だれかが ぼくを
憎しみをかかえたひとりの少年がいた。少年はその憎しみをかかえきれず、人を傷つけようとしていた。そのとき、少年の心に聞こえてきた言葉、「――ころさないで」。誰だかわからない...
だれかが ぼくを
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商品説明
憎しみをかかえたひとりの少年がいた。少年はその憎しみをかかえきれず、人を傷つけようとしていた。そのとき、少年の心に聞こえてきた言葉、「――ころさないで」。誰だかわからない、でもどこかなつかしい声。遠くから波のように聞こえてくるその声に、少年は温かく明るい光を見出していく。つらく苦しい憎しみから彼を救ったのは、記憶の中の母であり、母の愛だった……。母親をテーマにした絵本も手がける内田麟太郎氏。本書も、「母の愛」によって憎しみから解き放たれた少年を描いています。そんな内田氏の想いを、子どもから大人まで幅広い世代に人気の画家・黒井健氏の繊細な絵によって描き出します。内田麟太郎氏と黒井健氏の初コラボレーションでうまれた本作品は、子どもの心を包み込む母の大きな愛が心に響く、著者渾身の一冊です。
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紙の本
言葉を失いました
2017/06/30 22:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uhyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
穏やかで和やかで可愛らしい世界観を黒井先生の中に見てきましたが、この作品は衝撃的でした。
見慣れた色鉛筆の淡い色合いが、ここまで恐ろしく胸に迫ってくるとは。
読後感がなんとも言えないのですが、多分、言葉だけでも、そして絵だけでも、これほど訴えることはできないのだと思います。
紙の本
抽象的だけど深い
2010/08/08 14:59
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プラチナ若葉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の表紙には目にしたら開かないではいられないような切なさがある。
-----ころさないで という副題と表紙の後ろ姿で立つ少年らしさが残る男性の手からナイフが滑りおちているイラストのせいかもしれない。とにかくこの本の表紙を見たら、落ち着かないざわざわした気持ちになることは間違いない。
この本の言葉はとてもシンプルだ。
ナイフを持って相手を襲おうとしている男の子の緊迫した様子と最小限の言葉でページが進んでいく。そこには詳しい説明はない。読者がこの男の子の差し迫った心をそれぞれの印象でしか受け取ることができない。
ただ、この男の子のすさんだ心を何か温かい輝くものが癒したのだ、ということはわかる。そして男の子の心のあらしが遠ざかり、夜が明けていく場面で終わっている。
最後のページを終えて、なにか重たいものを受け止めたような気分で本の袖を見ると作者の内田麟太郎氏の壮絶な秘密が書かれていることに気付く。そして内田氏がこの本を書くことの覚悟のようなものに姿勢を正したくなるのだ。
内田氏は
「本を書くこということは、人を信じ言葉の橋を架けることである。」
と言う。内田氏のすさんでいた心を救い出していたのは実母の言葉の力だとも述べている。
本は読者が本を開くまで言葉を閉じ込めておく場所である。
そして、この本を読むと、さまざまな言葉は人の心のあらしを遠ざけるために使われるべきである、という気持ちになる。
紙の本
言葉にできない
2016/06/30 09:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:atoz - この投稿者のレビュー一覧を見る
原画展でこの絵を目にした時
動けなくなりました。
いつもの黒井健さんの筆致でありながら
なんという迫力、そして恐怖。
内容としては、自分の身に取り込んで反芻するのが
難しいと感じたのですが
この絵があってこそ成立する世界なのだと
納得させられた思いです。
購入までに時間を要した作品です。