オタクなハードSF
2022/11/07 10:08
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
オタクで味付けをしたハードSFである。オタク風味が優勢な前半部分はまあまあ読み進めることができたが、未消化なハードSF用語 単語が飛び交う後半部分は全く受け付けることができなかった。表題がまあ作品の内容をよく表していて、まさに「最後にして最初」であった。
本当はすごい本なのだけれど
2018/10/03 21:20
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、この表題作は、日本の誇るワイドスクリーンバロックの最高峰である。
宇宙を小馬鹿にしつつ、ひょいひょいと突き進むヒロインは、まさに女性版リチャード・シートンである。ひょっとしたら、女性版ペリー・ローダンかも知れない。
内容は「下らない」の一言。田中啓文ばりの下らなさ。
でもそれが心地いい。
アイドルは宇宙を超える。一途に願えば、時間も、空間も、死さえも超越出来るという信念が潔い。
さて、私はこの小説を褒めているのか、腐しているのか?
それは貴方が決めて欲しい。
いや、実は、本当はすごい本なのだ、この本は。
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実にSFらしい作品ですが、個人的にはあまりノリきれませんでした。これを楽しめるのは割と一握りに人かもしれません。
読んだらきっとほとんどの人が思うはず。「アイドル」とは?
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現代のヲタク文化を構成する要素にSFを絡めた3作品。アイドルとは意識をもたらすものであり、ソシャゲは自由意志からエネルギーを収奪しようとする進化の形態のなれの果てで、声優は音を司る量子生命体からエネルギーを収奪するもの、だそう。やたらにグロテスクなのがこの著者の作風らしく雰囲気としては小林泰三感があった。著者は物理が専門のようだが、出てくる内容としては物理の幅広い分野は元より、生物学なども絡んでいる。キーになる要素を巡る展開もさることながら、アイドルの話ではスーパーフレアの来襲とその後の生態系の進化、声優の話では地球重力の消失や、木星とその衛星での生態系など、脇にあるトピックについての記述が興味深いと思った。
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ぶっとんでいる。というのが率直な感想。
物語の導入部分では、現在のオタク文化であるアイドル活動やソーシャルゲームを基に展開していくのだけど、ある地点から現実を踏み外していく。そのテンポが急激すぎて、気がついたら飲み込まれてしまってますね。
ま、ぶっとんでますよ。そのぶっ飛んだ発想を確固たるものにするために、論理で固めていくという。いや、おもしろいです。
だいたい「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」ってジャンルなんなのさ。
この作家さんやべぇ。
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表題作『最後にして最初のアイドル』、『エヴォリューションがーるず』、『暗黒声優』の三篇が収録された、SF界の新星(僕自身あまり“通”ではないのだけど)草野原々氏による短編集。デビュー作にして、問題作。
ともすれと児童書と見まがうような、かわいらしい表紙に騙されるなかれ。本書は三篇が三篇とも、「ガチ」のSFである。
以下、ネタバレあり。
一篇目、表題作は元々「ラブライブ」の二次創作として書かれた短編を改稿したものらしい。僕はあまり明るくないのだけれど、その面影はあまり残っていないように思われる。精々、主人公がスクールアイドルをやっている、くらいのもので、最初に読んだときは「パロディなんだな」程度に感じたくらいだ。
草野氏はこの作品を「アイドル百合SF」だ、なんて言っていたけれど、とんでもない。百合を期待して読むと一篇目から大やけどする。僕はした。
あたまの方は、まあ百合と言えなくもない。美しき少女たちの友情だか偏愛だかが繰り広げられる。素晴らしい。死んだ主人公の脳髄が、親友に引き抜かれて冷凍保存されるところまでは、まあ良しとしよう。百合の範疇だ。けれど、一体どこに「肉屋の廃棄物」と比喩されるアイドル主人公がいようか。あまつさえ、体中からパイプの飛び出まくった老婆とのカップリングなど。ビジュアル化した時点で、ユリスキウス一門のみならず、平常な感性を持つ者ならば、まず目をそむけたくなるような光景に違いない。これを百合などと、とてもとても…。
とはいえ、ただのグロテスク偏愛小説には収まらない。彼女らがこのような姿に変貌してしまっているのは、地球に起きた環境の変化が大きく関わっているのだけれど、主人公・みかは、放射能にさえ適応しながら、どんどん形質を変化させてゆく。一見突拍子もない設定なのだけれど、理路整然と並べられる理論や、科学的考証に基づいた説明などが、それに説得力を与えている。気が付けば、草野氏の独特と呼ぶにもあまりある世界に浸りきって、最後のページに辿り着いてしまう、そんな短編が『最初にして最後のアイドル』なのだ。
その他二篇についても書きたいのだけれど、ひとまずは軽くですませておきたく思う。
三篇とも、サブカルチャーのパロディに氏のエッセンスを注入して、既存の言葉に新しい定義を与えることから始まるSF小説で、骨子はよく似ている。序盤でばらまいた設定が終盤に大きく広がり、そして物語を通じて描かれたテーマに結論がもたらされる、といった風である。
『エヴォリューションがーるず』は、あるソーシャルゲームの虜となったOLが主人公。このゲームは、昨年一世を風靡した「あるアニメ」のパロディだろうと思われる。ガチャ廃人となった主人公が、ゲーム世界の中に入り込み、ガチャによって「タンパク質」などの形質を獲得して進化してゆく…というのが大筋だが、こちらもまた全く色気のない話である。
一篇目と比べるとやや百合っぽさは上がったかな、という感じはある。(可愛くない)ガールズたちの、お互いへの思いや感情のぶつけあい、そして終盤のスケールの大きな理論展開は見どころである。
『暗黒声優』は、声優という言葉に独自解釈で全く新たな意味を吹き込んだ小説であると言えよう。この世界における声優は、のどからぶらさげた袋によってエーテルを操り、熱や光、果ては重力まで操ることができる、宇宙船の操縦士のことを指す。前二篇と比べると、俺たちの戦いはこれからだ、感のある終わり方ではあったが、能力バトル、宇宙旅行、百合、なんでもござれのスペクタクルだ。個人的には、お気に入りの一篇である。
どれほど魅力を伝えられたかは不安だが、とりあえず満足したので、筆をおきたい。
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「最後にして最初のアイドル」
アイドルSF。形質変化定義追加のアクロバティック。死体を喰らい、宇宙を制覇するアイドル…ってアイドルじゃねぇ!!でも作者が伝えたいアイドルの強いメッセージには心打たれた。文字の注ぎ足しって面白い。
「エヴォリューションがーるず」
ガチャ生物進化SF。現代の社会問題から生物バトル。宇宙に飛び出し、謎の感動。みてないけど、草野版『君の名は』?(みてないけど)
「暗黒声優」
声優百合バトルアクションSF。マクロスかと思ったら、そんなことはなかった。また人を喰らうし、作者は好きやねー。「いっけぇーー!!」の勢いで、宇宙まで勝ち残った人間破綻声優コンビ。彼女らの戦いは始まったばかりだ!!
アニメ化したら、大流行りしそうな、ぶっ飛んだ作品であった。たまにはSFも刺激的。
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図書館
3作品収録のうち、最後の「闇黒声優」を読みきる前に返却期日が来てしまいました......そのうちまた読めたら。
面白いのは面白いのですが、残念ながらちょっと著者と私の性癖が合わなかった。異形化、とか、肉体改造、とかのタグがつくタイプの作品ですね
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読了後の感想第一声「なんだこりゃ」。アイドル×ハードSF、ソシャゲ×ハードSF、声優×ハードSFの中編三話。第一話、第二話、最初は本当に普通のラノベなのに、なのになのに、どうして途中からそうなっちゃうのか(笑)。解説にもある通り「なぜそれを混ぜた!」だよ。表紙のイラストにまんまと騙されるけれど、よく見てみると衣装にヒントがあるじゃないか。チャレンジ精神はすごいと思うけれど、楽しめたかどうかとは別の話かな。
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俺の考えた最高の地球滅亡巨大感情百合SF短編集。
「最後にして最初のアイドル」
原因不明の太陽フレアによって地球が滅亡しかけている中で、その環境に適応したよくわかんない生命体の技術を使って人間を殺したりなんやかんやして大好きな女の子をアイドルとして蘇らせるにこまき。
生まれ変わったアイドルは宇宙一のアイドルになるために生命をアップデートしてゆく。
アイドルとは何か?ファンとは何か?そして人間の意識とは?という話。めちゃくちゃな話だけれど一応なるほどーと納得する。私こそがアイドルである。
「エヴォリューションがーるず」
古代生命擬人化ソシャゲにズブズブの中毒者が死んでゲーム世界に転生、転生した先では単細胞生物。命を対価にガチャを回して生命を進化させ、この世界とは何か?意識とは何か?を学ぶハートフル壮大女と女の巨大感情百合。
ソシャゲ廃人の描写はソシャゲをやったことがある人間には心に深く響くはず。そして王道のトラックに轢かれた先で転生というよくある二次創作小説のストーリーを結びつけるのがすごい。こういうジョークが好きでしょう、とわかって書いているんだろうなあと思うけど、そこがいい。
「暗黒声優」
エーテルが充満している世界でエーテルを震わせることによって無限のエネルギーを生成できる存在=声優という話。主人公のアカネは声優をいつか救いたい、最強の声優になりたいと考えていて、そんな中地球の重力が消滅してめちゃくちゃに世界消滅して宇宙に行く。
よくわからないけどなるほど!人間がたくさん死んで強くなっていって世界は救われます。ちゃんとこの世界でのエーテルが何か?とかの説明をきちんとして終わるのですごい。
俺が考えた最強の人生終末がメインであり、その中で女(女の意識だったもの)が女(女の意識だったもの)と壮大な感情のぶつかり合いを魅せ、そして宇宙と意識と世界について語るという流れはどれも一緒である。
そしてその「俺の考えた最強の人生終末」の描写の細かさ、理屈(いやほんとはよくわかんないけど)、筋が通っていてなるほどー!となる人を納得させるめちゃくちゃな世界の描き方が強烈。
「百合SF」とこの作品について語っている人をたくさん見たけれど、百合とは何か…と考えてしまった。
確かにめちゃくちゃに百合だけど、出てくる人物は女ではない。アイドルとしてアップデートを続けた最強かわいい異形の化け物と、最強の生物になるために何らかの生き物を殺しまくって合成しまくった何らかの生き物と、最強の声帯を持っていてたくさん人間を殺しまくる声優。どうしてそれらを「百合」だとするのか?一人称が女性だから?
私は、女と女の感情、愛だったり可愛いと思ったり美しいと思ったり憧れたり、そういう気持ちを抱いた末に相手にぶつけたり自分のうちに抱いたりする、感情のやりとりを百合だと感じるのかもしれない。感情こそ百合である。感情描写は百合である。よくわからないけど。
あとこの人の作品はテンポが早く、時の流れが速い。一行ではい数万年、はいガチャを回して数百年、はいたくさん人を殺して数��年。
それがとても好きだと感じた。
人間なんて古い、身体なんて不要!これからは精神の時代!
そういうめちゃくちゃな理論に振り回されてえげつないけどたぶん作者おちゃらけてかいてるよね?というグロ描写が好きな人にとてもオススメ。
でもしょせんバカSFでしょ?百合とかSFとか言って、アニメのよくわかんない考察とかする人間が読むようなふざけた小説でしょ?って思っていたのだが、すごく良かった。めちゃくちゃなのが、良かった。
最後に前島賢があとがき解説を書いていて、その一文をこの本を読む前の私が見たらすぐに読んだろうな、と思ったので以下に載せておきます。
『「ただの冗談」と現実のあいだに、精緻な理論と考証でもって橋を架けたとき、その作品はSFとなる。その論理と考証を支点に、「ただの冗談」を、宇宙の彼方まで飛躍させた時、その作品は傑作となる。』
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草野元々『最後にして最初のアイドル』読了。表題作は元は某アイドルアニメの二次創作だったそうだけどよくもまあここまでやるなという盛りだくさんのハードSF。他二編もソシャゲや声優、けもフレ、まどマギといった要素を元ネタにしながらもちゃんとSFやってる。いろんな意味で人を選ぶだろうけど。
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第48回星雲賞受賞作品。特に表題作は面白かった。とことん情緒を排して理性と理論を突き詰めつつ、現代社会の≪オタク文化≫がミックスされた新しいSFというふうにかんじました。表題作は≪アイドル文化×生物(種)の進化≫、残り二篇は≪ソシャゲ文化×生物(個体)の進化≫、≪声優文化×宇宙物理学≫というかんじ。個人的には難解過ぎて半分も理解出来ませんでした。逆に言えば全然理解していなくても勢いで読み切れる(笑) 一番分かり易かったのが表題作だったので、他のも物理・生物学の造詣が深いひとにはかなり面白い作品なんじゃないでしょうか。
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アイドルすげえな…アイドルたいへんだな…(『最後にして最初のアイドル』を読み終えてほげぇっとした顔で
『最後にして最初のアイドル』、おもしろい。オタク文化でSFをやる、という発想だいぶぶっとんでて、しかも細部もある程度詰めてある。長期的にどうやっていくのか、という点はチェックしていきたい。
『エボリューションがーるず』。いい話や…。ソシャゲフレンズ宇宙創生バロック百合SFだ…。胸が熱い百合…。
草野原原『最後にして最初のアイドル』。何も言うまい…いや、やっぱり言わせて。萌え絵の表紙にだまされるな!!!
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初原々。どれもそこそこ面白かった。個人的に「エヴォがる」が一番好き。キャラ欲しさに課金してまでガチャを回す様は、自分にもよーくわかるw そのせいで命を落とし、転生後もガチャに沼るとは——もう現代病のひとつに数えてもいいんじゃないかな(^^; 星三つ半。
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最後にして最初のアイドル
エヴォリューションがーるず
暗黒声優
第48回星雲賞日本短編部門、第16回センス・オブ・ジェンダー賞
著者:草野原々(1990-、東広島市、小説家)
解説:前島賢(1982-、茨城県、小説家)