紙の本
少年から青年、そして壮年へ。 タブーなき石田衣良の世界。
2021/12/18 07:55
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田衣良の「娼年」シリーズの第3作。
主人公 森中領が娼男の世界に足を踏み入れる第1作「娼年」。
経験を積み重ねる中で恩人との悲しい別れを乗り越える第2作「逝年」。
あれから7年。
少年から青年、そして壮年へ。
様々な出会いの中で、目の前にいる人に全力をかけて尽くしていくリョウ。
その姿勢は哲学的ですらある。
リョウを通して、著者の社会への考察、現代への提言がさりげなく伝えられる。
難しい問題でも、物語の形を取ることで読む人にじわじわと訴えかけてくる。
著者はその手法をあえてタブーを使って切り込む。
青年男子の草食化。
LGBTの先にあるアセクシャル(性的欲望を持てない人)。
子育てという難事への家庭や社会の評価の低さ。
欲望は否定し押さえ込んでも、歪な形で吹き出してくる。
むしろ、自分に正直に生きること、健全に欲望に向き合う重要性をリョウとその顧客たちのコミュニケーションを通してあぶり出していく。
タブーなき石田衣良の世界。
彼の手にかかれば、難しい問題もクールでスタイリッシュに切り込まれていく。
小説ならではの醍醐味がここにある。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「娼年」に始まり「逝年」を経て、シリーズ第3弾。そして、これが最終巻らしい。映像化もされたし、石田氏の作品では記念碑と言っていいかもしれない。女性の性と心理を書かせたら抜群の人だが、男娼を主人公にするとなれば、ネタとしても、ここいらが収めどころか。寝た、というのはヘタな駄洒落だけれど。
電子書籍
夜と青春の終わり
2020/03/21 12:17
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
リョウを始めとする夜の世界に生きる男女の、それぞれが選んだ道のりが心に残ります。いつまでも続くかに思えていた彼らの若さや美しさにも、いつかは終わりがくることを痛感しました。
電子書籍
リョウくんってこんな感じだった…?
2018/05/17 21:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えんげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前2作に比べて物足りない印象が否めない。
シリーズを通してこれまでも登場してきた女性達の性については、様々な欲求があって当然だろうし、それ自体にはさほど驚く様なこともなく、
この作品ではそれよりもむしろリョウくんがどう反応し、言葉を選び、受け止めていくかのプロセスや、彼自身の感性に期待するのだが、今回は主語が「日本は~」「この国の未来は~」などが多く、読んでいてリョウくんではなく著者自身の姿が邪魔をしてきた。
個人的にはリョウくんとクラブのメンバーたち関わりも楽しみにしていたが、今回はあまり触れられていなかったので消化不良な感じが否めない。
このシリーズの魅力はリョウくんだけでなく周りのメンバーの魅力あってこそだったのだと感じた。
うーん、もう一度1作目から読み返したらまた違う見方ができるだろうか。。
アズマ。
アズマの物語を読んでみたい。凄く。いつか書いてくれないだろうか。
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コールボーイシリーズ、3作目。
「娼年」も「逝年」も読んだけど、詳細は忘れてるww
ああ、そうそう、リョウくんね!
こんな男の子を買える甲斐性がないのが残念www
今回は、リョウくんの回顧録的な。
いろんな女の人がいるけど、リョウくん、あいかわらず出来すぎで、まいっちゃいますなw
みんな大人になって・・・アズマくんも旅立ったり。。。
リョウくん、幸せになって欲しいなー。
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(2018/6/21読了)
『娼年』『逝年』に続く第3弾であり、最終章。
前作2作とは違い、なんだかただの変な嗜好の人たちの話に感じた。爽やかの爽とはかけ離れた内容。文章だけが爽な感じかな。
最後に1人亡くなる。そして、きっと読者が皆想像したようなハッピーエンド。2作でやめとけば良かったのに。
(内容)
娼夫として過ごした7年間、ずっとみつめてきた。めまぐるしく変わる欲望の形、そして身体だけでつながる性愛の意味を―。
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「娼年」「逝年」からの「爽年」3部作。
女性向け高級クラブで娼夫として働いてから7年。ベテランとなったリョウが、未来を考え始め、 咲良とリョウ、生まれてくるアズマが幸せになるといい。
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初出 2017〜18年「小説すばる」
『娼年』、『逝年』に続くシリーズ3作目
映画化された前の作品は読んでない。
ボーイズクラブの経営を引き継いだナンバーワンの森中領(リョウ)の7年後。
リョウを買った6人の女性のやや変わったセクシャリティと、リョウの心と体での奉仕が描かれる。
もう一人の仕事ではない相手は前オーナー御堂静香の娘咲良で、やがて妊娠し籍を入れる。
この先ふたりは幸せになれるのだろうか。
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松坂桃李主演映画化「娼年」の最終章。「娼年」三部作完結編『爽年』。
「call boy」リョウが戻ってきました。7年の時を経て、大人になって……。
綺麗な描写は相変わらず。透明感のある性描写。独特の世界。リョウの視点からの描写は、セックスをとても美しく描いています。
リョウは身体を売ってはいるけど、その時々に、相手の女性を思いやる。それは女性そのものに対して持つ、リョウの優しさ。女心をよくわかっているところが素晴らしい。
お客(女性)の持つ心の寂しさ、満たされぬ思いが伝わる作品。
リョウと同じ娼夫・アズマの死と新しい命の交差。生と死は隣り合わせということだろう。
生きる意味を見いだすリョウ、愛を知るリョウ。リョウがパパになる日も近い。素敵なパパになるのだろう、と想像をしながら読み終えました。
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2018/05/05読了
文庫化まで待てなかった!
娼年シリーズは好きだし、リョウの生き方も気になっていたから。
最初から読んできて、組織としても個人としても「成長」していったより、「変化していった」んだなあ
これまでの話に出ていたお客もでてきたし、あの老婦人とか
「娼年」をふまえたストーリーと、終わり方でした。
常に感じていた「あやうさ」も形になってしまった。
リョウの哲学は続くし、その一方でおわるものも、はじまるものもある
咲良とはビジネスパートナー以上になってほしかったから、やっとか という思い。
静香さんのこともあるけど、仕事としてのセックスにまみれて
いわば仕事人間になってしまったリョウを、公私ともに支え、相手のためのではない
ともにリラックスするための優しく穏やかなセックスをしていたこと
人生において重要な局面で、咲良と肌を重ねる
それが単発ではなく、続いていくものとなった のは
私たち読者もリョウという一個人も求めていた展開なのかもしれない。
だから最初のレギュラーメンバーの総現状と
これからはじまりおわることが分かったとき
これがリョウにとっての、いよいよ始まる
人生においての「新章」なのだなと。
よかった
文庫化待たずに読んで正解だった。
いまや性のプロフェッショナルとなったけど
心を開き、ゆったりと浸れる女性とともに幸せになってくれ。
アズマは快楽を得られたのなら
悦べたのなら
いちおうこれは、みんなのハッピーエンドなのかしら。
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石田衣良の「娼年」シリーズの第3作。
主人公 森中領が娼男の世界に足を踏み入れる第1作「娼年」。
経験を積み重ねる中で恩人との悲しい別れを乗り越える第2作「逝年」。
あれから7年。
少年から青年、そして壮年へ。
様々な出会いの中で、目の前にいる人に全力をかけて尽くしていくリョウ。
その姿勢は哲学的ですらある。
リョウを通して、著者の社会への考察、現代への提言がさりげなく伝えられる。
難しい問題でも、物語の形を取ることで読む人にじわじわと訴えかけてくる。
著者はその手法をあえてタブーを使って切り込む。
青年男子の草食化。
LGBTの先にあるアセクシャル(性的欲望を持てない人)。
子育てという難事への家庭や社会の評価の低さ。
欲望は否定し押さえ込んでも、歪な形で吹き出してくる。
むしろ、自分に正直に生きること、健全に欲望に向き合う重要性をリョウとその顧客たちのコミュニケーションを通してあぶり出していく。
タブーなき石田衣良の世界。
彼の手にかかれば、難しい問題もクールでスタイリッシュに切り込まれていく。
小説ならではの醍醐味がここにある。
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娼年→逝年ときてシリーズ最終章。
石田さんの真骨頂。
性に対する多様な捉え方が出来るリョウ君の柔軟性を心から羨ましく思った。
読み終えた後の爽快感というか寂しさというか何とも言えない気持ちになった。
石田さんがよく話されている「盛りを過ぎた秋や冬」というイメージがぴったりな一冊だった。
静かに物語が閉じていく様子を穏やかな気持ちで読むことができた。
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娼年のシリーズ完結
映画も公開されるけど、3冊読んで映画はやめておこうと思った。
セックスの描写を文字で読むからエロティックなのだ。映像にしたら想像と違っているかもしれない場合、不快になるかもしれない。
性と生は切っても切れなくて、身近なことなのに生のほうだけクローズアップされている気がする。どちらも等しく周りにあるものなんだなと感じさせてくれる作品でした。
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石田衣良の官能系はあまり好きではないのだけれど、シリーズなのでつい読んでしまった。
これ、実際に取材して書いたのかな。
ホントにそういう仕事、あるのかな。
と想像するだけのワタシだが、続編が出たらきっとまた読んでしまうと思う。
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静かに静かに話が進んでいく感じでした。
リョウくんの腕が良すぎて
デートしてる女性がうらやましいです。
お金があれば是非とも指名してみたい…笑
様々なひとの様々な性のことについて触れています。
どれが正解とか常識ってないんだなぁと思いました。
それでもそれぞれの女性にベストな対応をするリョウくんはすごいです。
やっぱりうらやましいです(笑)