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死後開封のこと 上
著者 リアーン・モリアーティ , 和爾桃子
すべてはあの手紙がきっかけだった……屋根裏で偶然、夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒をセシリアが見つけさえしなければ。そのときから、優しい夫と三人の娘との幸せな家庭...
死後開封のこと 上
死後開封のこと 上 (創元推理文庫)
商品説明
すべてはあの手紙がきっかけだった……屋根裏で偶然、夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒をセシリアが見つけさえしなければ。そのときから、優しい夫と三人の娘との幸せな家庭に暗雲がたれこめる。そのころ、テスもまた夫と従妹からの衝撃の告白に動顛していた。二人は愛し合っているというのだ。テスは息子を連れ、母親の看病を口実に実家へと向かう。その故郷で出会ったのは、何者かに殺された娘をいまだ忘れられない老婦人レイチェルだった……開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまった女性たちを描くトリッキイなミステリ。
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紙の本
家族の、自分の、知られざる一面
2021/07/10 00:27
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
デビュー以来、すべての作品がベストセラー入りしているモリアーテイ。
前作『ささやかで大きな嘘』は、幼稚園を舞台にしたママたちの、自我の覚醒と再生の物語だった。
今作は、やはり家族が大きなテーマで、配偶者の知られざる一面を垣間見たヒロインたちの心の動きが、ややオーバーながら、臨場感たっぷりに描かれていて、しっかり作者の王道路線だと納得する。
ただ今作では、物語の主軸をなすセシリア夫妻の秘密(最初は夫だけの、上巻最後からは妻も加わった)と、それに振り回されるセシリアの性格が、どうにも結びつきにくい感がある。このセシリア、自他ともに認める有能な主婦であり、ビジネスのセンスもあり、子供たちも大きな問題なく育てているようだが、とにかく口数が多いのだ。ビジネスというのが主婦仲間をターゲットにした販売代理店なのだが、その面では口数が多いのも結構なことだが、かなり取り留めのない芋づる式の雑談を垂れ流し続ける。
こういうタイプは失言が多く、自分の発言の何が相手を傷つけたかも覚えていないのが一般的で、さらにビジネス以外にも、子供の送り迎えやら、PTAのパーティーやらで年中忙しくしている。まるで、何かに追われるように、または何かから目を背けるために、意図して忙しくしているような印象を受ける。
主要人物3人の中で、一番興味を惹かれたのがセシリアなのも、その落ち着きのなさ、表面的な顔の裏側に隠されているにちがいない不安感といったもののためだ。
抱えきれない秘密を共有するはめに陥り、心のバランスを崩しはじめたセシリア。下巻の彼女の動向が大いに気になる。