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電子書籍
フェルメールの憂鬱~大絵画展~
著者 望月諒子
ベルギーの小さな村の教会から、壁に掛けられていた絵がなくなった。この絵が実はブリューゲルの作品だと聞いていた牧師は、取り戻さなければならないと、知り合いに助けを求める。一...
フェルメールの憂鬱~大絵画展~
商品説明
ベルギーの小さな村の教会から、壁に掛けられていた絵がなくなった。この絵が実はブリューゲルの作品だと聞いていた牧師は、取り戻さなければならないと、知り合いに助けを求める。一方、スイスにある屋敷の屋根裏から、フェルメールの作品が見つかった。メトロポリタン美術館からは、フェルメールの絵が強奪された。名画は一体どこへ? 騙し合いが始まった!
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紙の本
フェルメールの知識と絵にまつわる逸話が面白い
2019/03/03 18:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は望月諒子の『大絵画展』に属する書で、流行りの画家であるヨハネス・フェルメールの絵に関するものである。関するものというのは絵の窃盗や、マネロンに関するストーリーである。本書にも『大絵画展』というタイトルが付されており、前作のシリーズモノと考えてよさそうである。さらなる続編が出版されるか否かは分からない。
さて、泰西名画に関する小説は少なくはない。この種の書に登場するプレイヤーは画商、美術館、その学芸員、美術コンサルタント、場合によっては画商に含まれるかもしれない百貨店外商部の社員、絵画を収集する企業経営者などと相場が決まっている。本書もその意味では典型的な「この種の書」である。
ストーリーは複数のストーリーが錯綜するので、分かりにくい。たとえば、きっかけとなる絵画はブリューゲルなのだが、次にはニューヨークにあるメトロポリタン美術館のフェルメールとくる。その度に丁寧に解説が付されているので、大変勉強にはなる。本書を読めば基礎的なフェルメールの知識が頭に入るというものである。
ただし、ブリューゲルとフェルメールの関係や、複数の画商やコンサルタントが登場するので、ストーリーの筋立てが明快だとはとても言えない。もう少し作り手が読者である読み手の都合を考えてもらいたい。故意に読者を混乱に巻き込むように書いたのならば別であるが、おそらくそうではあるまい。
文章も、少し熟成が必要である。世に出回っている作品が少ない画家なので、話題にはなるし、実際につい最近も東京で特別展が開催されている。話題性は十分なので、もう少し丁寧さが欲しい。せっかくの絵画ファンが離れてしまいそうで勿体ないと思う。