電子書籍
則天武后(上) 皇后立志篇
著者 著:塚本青史
中国史上、唯一の女帝に上り詰めた則天武后(武則天)の生涯を描く歴史小説! 稀代の悪女か、それとも叡智に富む賢帝か――。唐代初期、武将で材木商の父のもとに生まれた武照(後の...
則天武后(上) 皇后立志篇
商品説明
中国史上、唯一の女帝に上り詰めた則天武后(武則天)の生涯を描く歴史小説!
稀代の悪女か、それとも叡智に富む賢帝か――。唐代初期、武将で材木商の父のもとに生まれた武照(後の則天武后)は、いかにして後宮から、帝にまで上り詰めたのか。
複雑怪奇な宮廷の権力争いの中で、様々な謀略、知略を駆使して次第に権力を握っていく過程を、鮮やかな筆致で描き出す。
関連キーワード
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
中国史上唯一の女帝
2020/10/19 16:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国史ものは初めてだったが、西太后と並び称される武則天なら読み応えもあるかと手に取ってみた。
彼女の生涯のアウトラインは知っていたが、上巻では武則天が後宮入りしてから皇后に上り詰めるまでの、いわば「立志」篇だ。立志という言葉に当てはまるのかどうか、当時女性が名を挙げるには権力者の妻、側室になり、そこからが出発点だった。社会が女性に門戸を開いていなかった古代のこと、そこは理解できる。そして女性の立身出世には、一族の浮上、栄華ということが欠かせない。つまり女性が個人で立場を得られたり、認められることはあり得なかった時代なのだ。個人ではそのような地位を守ることもできないし、権勢から得られる果実を一族で分け合いながら、運命共同体として結束する。
このような時代、社会背景を通して彼女の生涯(上巻ではその前半)を見てみると、現代のような個人の欲求や能力がその人間の評価基準の上位にくる時代とはとても同一には語れない。そのため、表面的な彼女の事績だけが伝説となり独り歩きするということになる。
そこを考えると、本作はどうしても人物造形に限界があり、彼女の人間としての奥行が感じにくかった。天性の美貌と打てば響く頭の良さ、そしてその美質に期待を賭けたあまり身分のよくない父親と、その死後彼女と母や姉妹を虐待する一族の男たち。これが彼女の飛躍前の姿で、その激烈な人生のきっかけになったというのが、ちょっと物足りない。やはり既存の悪女列伝のなかの一人にすぎなかったのかと期待はずれ感が大きかった。