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紙の本
中国史上唯一の女帝
2020/10/19 16:20
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国史ものは初めてだったが、西太后と並び称される武則天なら読み応えもあるかと手に取ってみた。
彼女の生涯のアウトラインは知っていたが、上巻では武則天が後宮入りしてから皇后に上り詰めるまでの、いわば「立志」篇だ。立志という言葉に当てはまるのかどうか、当時女性が名を挙げるには権力者の妻、側室になり、そこからが出発点だった。社会が女性に門戸を開いていなかった古代のこと、そこは理解できる。そして女性の立身出世には、一族の浮上、栄華ということが欠かせない。つまり女性が個人で立場を得られたり、認められることはあり得なかった時代なのだ。個人ではそのような地位を守ることもできないし、権勢から得られる果実を一族で分け合いながら、運命共同体として結束する。
このような時代、社会背景を通して彼女の生涯(上巻ではその前半)を見てみると、現代のような個人の欲求や能力がその人間の評価基準の上位にくる時代とはとても同一には語れない。そのため、表面的な彼女の事績だけが伝説となり独り歩きするということになる。
そこを考えると、本作はどうしても人物造形に限界があり、彼女の人間としての奥行が感じにくかった。天性の美貌と打てば響く頭の良さ、そしてその美質に期待を賭けたあまり身分のよくない父親と、その死後彼女と母や姉妹を虐待する一族の男たち。これが彼女の飛躍前の姿で、その激烈な人生のきっかけになったというのが、ちょっと物足りない。やはり既存の悪女列伝のなかの一人にすぎなかったのかと期待はずれ感が大きかった。
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