パラレルワールド
2019/03/24 11:28
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一歩間違えれば、まったくこんな世の中になっていたかもしれない日本。
私たちは、もっと真剣に未来のことを考えなければいけないんじゃないんだろうか?
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災でメルトダウンした原発。情報統制され、住まいもなくし、東日本にいるだけで棄民扱いされる。架空の設定だが、そうとも言い切れない怖さがあった。
国家の、民主主義とかけ離れた、見えない巨大な力が怖かった。非常時には、あり得ることなのだろうか。
悪魔のような川島と神父、沙羅と優子の歪な友情など、気の重くなるようなストーリーの中、自分の過去を知っても真っ直ぐなバラカが、救いだった。何でこの子だけ、こんなに苦労しなきゃならないの、と思ってしまう。
架空の設定なのに、一歩間違えていたら、という思いがあり、生々しくずん、と重い読後感だった。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
大きな地震から原発のメルトダウン。しかも、この小説では、4基全てが……。実際の東日本大震災では、メルトダウンしたけど、電源回復によって、このような事態は免れましたけど……。この小説、もしかしたら、フクシマ原発のあり得る姿なんですよね……。
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生き抜いているバラカ。彼女を本当に愛しく思っていたのは助けてくれたお爺さん達だけだったのかもしれない。
原発に反対の勢力と賛成の勢力の影でのぶつかり合いが哀しい。そこまでやるか?と思う時と、そこまでやるかもしれない…と思う時があって苦しくなる。
命を脅かされることなく穏やかに暮らしたいのは誰にも共通することだろうに。
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ちょうど8年目、このタイミングで読むのはなかなか感慨深いが、読み進むにつれて「で、何と闘ってる訳?」ってなツッコミが止まらず、ネット上で目にする脳内仮想敵にキーキー言ってるひとびとを思い出したりするのであまり快い読書体験には至らなかった。そもそも著者の芸風は胸糞表現であるのは承知だとしても。
日系ブラジル氏の隣家描写あたりは「うわーーーーッ!繋来たあああ!」と期待が高まったものの、実はピークはそこで以降急激に失速する点も惜しまれる。結局、下巻は雰囲気だけで押し切った塩梅。カタルシスなし。エピローグもなんだか。好きな作家だけに残念。
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下巻。震災後の世界。原子力発電所への津波により東日本が避難区域になる。バラカは、それから8年経って10歳になる。
狡猾な大人たち。でも、それは等身大の自分自身だったりする。誰が味方で誰が敵か。子どもであることの無力さと純粋さ。川島のバラカに対する異常さと執念。
震災は生きている限りは過去でもあり、現在でもあり、未来でもある。分断されていく社会。あまりにも狂った世界(主に川島の行動)なんで、ハッピーエンドや幸せの尺度がきちんと計れない印象でした。
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もう、訳わからないけどスピード感はあった気がする。
次から次へと起こる試練。
あっちもこっちも何処もかしこも試練、試練、試練。
何でこんなに不幸が続くのさ、、、と嫌になる。
決してオールクリアなハッピーエンドではないけれど、何とか消化出来た。
上巻より下巻の評価が低いのは、この苦しさからくるものなのかな、、、
川島の最後がどうも腑に落ちない。
ギッタンギッタンのメッタメッタに打ちのめしてやりたい(*`へ´*)
バラカがここまで追い詰められないといけない理由もイマイチわからなかった。。。(^◇^;)
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うーん読むのがつらい話だった。上巻はバラカがちっちゃいのに境遇が大変で辛かったけど、下巻は成長してて自分の立場が分かってる上で巻き込まれてるからこれも辛かった。
エピローグは、こーやって大人になったんやなあと救いがあるラストだからこっちは安心するけど、読んでしまえば、なくてもよかったかもしれんと思ってしまった。何も見えない先に向かって歩みだそうとするバラカ、みたいなラストなら不安なまま終わってそれはそれでよかったかも、と思ったけど辛いもんなー。
震災後のディストピアものはボラード病を読んでるけど、表現している世界観は同じ感じだと思う。
面白かったからこの人の他の作品も読みたいわい。
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背景は東日本大震災の直前と震災、震災後6年経って(まさに今、2019年)、そしてもっと未来、先取りの物語です。
作者が執筆したのは東日本大震災の直後です。あの頃は世の中も文学もどうなるのかという衝撃でした。
過ぎてみればそこで世界が止まるわけでもでもなかったのですけど。
この「バラカ」というヒロインが日系ブラジル人の少女の成長物語のストーリーは、現実よりも福島の放射能被害が広範囲に深刻になっていて、というデストピアの世界。「えっ!そんなぁ~」と思いますが「もしかしてほんとうはそうなのでは」と思わせられてしまう怖さもあります。
日系人の両親が日本に働きに来て貧困に陥り、他の国に脱出するもうまくいかず、ついに娘を人身売買に出してしまうのです。日本人の女性の養子になるも、日本に連れてこられて、東日本大震災に巻き込まれて苦労連続の放の旅をするのです。
救いは「バラカ」が巫女的に直観力があって、しかも賢くて・・・というスーパーヒーローだからいいんです。この節はそういう運びになる物語も多いです。
少し前の世の中は「夢よ羽ばたけ、先に希望がある」でした。今は「なんとなくわかっている、これ以上変わりようがないのでは?」です。そんな世界を描くのには何を糧にすればよいのか!文学の普遍性は未来予想の面もありますから。
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フィクションなのだけれども、一歩間違えればこうなっていたかも知れないと思わせられるディストピア作品。
上巻では赤ん坊だったバラカは小学生へ。
小学生になったバラカも苦難の連続。
義父の川島の目的が最後までよく分からず、ひたすら気持ち悪い存在のままラストへ。
最後はなー、ちょっと急ぎ足すぎて、そこだけが残念。
しかし久し振りの桐野作品、面白かったです。
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東日本大震災、赤ちゃん売買、それらに関わる人達の繋がりと邪悪な心。
一人の幼い少女が立ち向かうにはあまりに強大で恐ろしいものがある。
読んでいるこちら側が恐怖で叫びそうになる。
2022.4.9
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前の巻から、登場人物は大きく変わり、現在の日本とはやや異なる状況の設定となっており、社会問題がクローズアップされている。現状の日本にも当てはまることもあり、考えさせられる部分もある。物語はこれまでの登場人物が繋がってきてクライマックスを迎えつつある場面はワクワクした。一方で、壮大な物語の終焉では違和感を覚える部分もあるが、それも著者の狙いなのかもしれないと考えるようにしている。
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自分の信念をまげずに信じることだけを胸に前に向かって突っ走るバラカ。
彼女の精神力とあきらめない信念がいくつもの試練を潜り抜けるを許したのだろう。
自分だけが頼りだ。自分自身と真の情報が自分を生かす最後の頼りである。
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コロナ禍真っ只中の現在、今読む本じゃなかったかなぁ…と。
直接的な背景は東日本大震災をモデルにしているのだけれど、この殺伐とした雰囲気はちょっとしんどかったなぁ。
今じゃなければ、もっと薔薇香に寄り添えたのかも。
どんな世の中でも
「憎まれっ子世にはばかる」
がんばろっと。
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面白かったのは間違いない。読み始めたら止まらなくなり、「バラカ」という1人の少女の数奇な人生を、並走するように猛スピードで読みきった。
だが。ちょっと風呂敷広げ過ぎと言うか情報量多過ぎと言うか……。
上巻では、キャリアと財力を手にした四十路過ぎの独身キャリアウーマン2人が、それに飽き足らずドバイの人身売買組織から幼女を購入。その前に現れた元カレの悪魔のような策略により二人の運命が狂いだす。こういう女のルサンチマンを書かせるとホント筆者は上手くて、こっちはその醜悪さに閉口しつつも目が離せなくなる。
並行して綴られるのは出稼ぎで来日した日系ブラジル人の一家の日常だ。やがて失踪した妻と子を探して彷徨する夫。妻が傾倒していた怪しげな宗教団体は敵か味方か。
この失踪した妻に連れられた子供が主人公「バラカ」で、その後キャリアウーマンの養子となり、二つの物語は複雑に絡み合うのだが、下巻に入ると一転して東北で起こった大地震の「その後」の話となる。原発廃炉派がバラカをシンボルとして祭り上げ、敵対する推進派とバラカを巡って綱引き状態となる。
筆者が意図したかどうかはわからないが、この下巻には筆者の政治的スタンスが垣間見えたように感じ、(その是非はさておき)上巻とのカラーの違いに面食らった。
人の業が色濃く描かれていた上巻のほうが面白かったなあ。小説3本分くらいのプロットを一気に詰め込んだような満腹感がありつつも、結末は慌てて風呂敷を畳んだようにあっさりしていて、やや物足りなく感じた。