血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀―(新潮文庫)
著者 岩瀬達哉
米相場で破産、没落した家名を再興すべく、松下幸之助は九歳で大阪へ丁稚奉公に出た。事業拡大への飽くなき執念は、妻と始めた家内工業を従業員38万人の一大家電王国へと成長させた...
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商品説明
米相場で破産、没落した家名を再興すべく、松下幸之助は九歳で大阪へ丁稚奉公に出た。事業拡大への飽くなき執念は、妻と始めた家内工業を従業員38万人の一大家電王国へと成長させた。されど、好事魔多し。盟友だった義弟との訣別、GHQの圧力、後継者問題、スキャンダル……。激動の時代を背景に、数々の神話に彩られた「経営の神様」を、新資料と徹底取材で丸裸にした評伝決定版。
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私たちの世代はやっぱり「ナショナル」
2019/12/21 08:56
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や「ナショナル」というブランド名も「松下電器産業」という会社名も知らない世代が増えているに違いない。
現在の「パナソニック」のことだ。
それでも、もしかしたら「経営の神様」の名前を問われたら、松下幸之助氏の名があがるかもしれない。それほど彼の名前は揺るぎない。
多くの著名人は毀誉褒貶にまみれるものだが、松下幸之助氏はそういう地平から遠いところにあるとずっと思ってきた。
実家が破産し、わずか9歳で大阪へ丁稚奉公に出る少年。そこで才知に長けた才能を発揮し、大実業家となる。
そして、多くの言葉を残した。小学校さえ満足に出ていないのに。
しかし、そんな松下幸之助氏にも負の顔があった。
ノンフィクション作家岩瀬多達哉さんがそれを暴いたというよりも、実際には多くの関係者には周知であった事実をきちんと正伝として描いたということだろう。
特に第二夫人とその子供の存在は、表の幸之助氏しか知らない読者には驚きだろうし、自身の孫を後継者とすべく画策する姿は、晩節を汚す経営者にありがちなものである。
松下氏はそういうことから遠い存在であると思っていたから、その事実はかなり衝撃的だった。
松下幸之助氏は1989年に94歳で亡くなったが、さすがのそれだけの人生であるから、いかに大部な労作であってもすべてを描くことは難しい。
起業後事業を拡大していくあたりが表現として手薄の一方で、戦後公職追放を受けたあたりのことは盟友野村吉三郎の手帳などを参考に詳しく描かれている。
いずれにしても「パナソニック」の源流は松下幸之助氏をたどるしかないのだから、日本の経営の歴史から消えることはないだろう。