大体予想通りではあるけど
2020/01/26 15:00
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ザ・プロフェッサー』続編。あの事件から一年後、前作で“教授”の素晴らしき救いの手として大活躍した元教え子のボーセフィス・ヘインズがとんでもない窮地に陥ることに。ボーを助けるために、トムとリックが集結。前の事件で調査したこととの関連性もあって・・・という話。
これ、順番通り読まないとヤバいヤツ。『ザ・プロフェッサー』のネタバレ(?)が本書の中にいっぱい出てくるから。
たった一年で、あのボーがここまで落ちぶれるとか、ある?
一作目では、ボーは弱り切ったトムにカツを入れ、窮地を救い重要な情報をもたらすまるで便利な天使のような存在だったのに・・・本作では過去のトラウマにさいなまれ、酒に溺れて妻子も去ってしまうという。一年で変わりすぎじゃない? トムは自分のことで精いっぱいでボーのことには気づけなかったわけ(父親の死について抱えているものがある、とは語られていたけど)。
「あれ、これ読んだことあったか?」と思うほど、いろんな作品のいろんな場面の寄せ集めのような印象がするのはなぜか? ホワイダニットとして最後まで引っ張ってはいるものの、だいたい予想通り。
とはいえテネシー州プラスキは<クー・クラックス・クラン誕生の地>という汚名を今も抱えているというのは・・・いろんなことを考えてしまう(『警察署長』、『評決のとき』、『ブラック・クランズマン』などなど)。
が、最も印象深いのは、検事長(女性)が、教授たちが「人生を変えた運命的な体験」だと考えているアラバマ大学フットボール部時代のことを「そんなこと」とさらっと流すシーン。別にトムを貶めるとか、女対男みたいなことではなくて、自分にとってはものすごく重要なことであってもその価値はわからない人がいる(それが悪いわけでもない)と教授が感じるところでちょっと溜飲が下がるというか。
やたらフットボールの絆を言い過ぎ!、という読者の気持ちが伝わっているのか、作者としても引き合いに出しすぎだと思っているのか、そんな客観性が光っていた。
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途中だれ気味で少々辛かったけど、最後は盛り上がった!
1作目は勢いがあったけど、作風に違いがあった…かな。
3作目は傑作!らしいので出版されることを祈りつつ、今後に期待を込めて⭐︎4つ。
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アメリカ南部ミステリーは何故か一様に骨太である。
最近、アマゾン・プレミアムでドラマ化され本国で人気復活中との噂のあるジョー・R・ランズデールのハップとレナード・シリーズ。ジョン・グリシャムの『評決のとき』に代表される大型リーガル・サスペンス。
『ザ・プロフェッサー』で一躍名を馳せたロバート・ベイリーは、グリシャムよろしく、南部作家で法廷ミステリーである。グリシャムは一方でノン・ミステリーのアメフト・スポ根小説『奇跡のタッチダウン』で暑い男たちを描いているように、ベイリーの『ザ・プロフェッサー』もまた熱きアメ・フトの青春を共有した男たちを主役としたリーガル・スリラーであった。
そして本書は待ちに待ったその続編。前作より遥かに南部小説としての存在感を前面に出したタイトルの通り、のっけからヘイト・クライムを主題とした骨太<胸アツ>ミステリの開幕とあり、こちらも尋常でない構え方。
前作で、教壇から現場に下りてくる羽目になった主役のトム・ジャクソン・マクマートリー70歳を手助けして印象的な活躍を見せたポーセフィス・ヘインズ(通称ポー)が、KKK(クー・クルックス・クラン)誕生の町テネシー州プラスキでクランの粛清殺人を模したような派手な殺人事件の容疑者として逮捕される。ポーには、父がクランの粛清を浴び、木に吊るされ殺されるのを見たという幼児体験があり、その復讐を所かまわず公言する黒人としては唯一の街の法律家として知らぬ者のない存在だった。どう見てもポーによる復讐のように擬せられた殺人現場をどう覆すのか?
トムとリックの新進の教授+教え子コンビは、本作では前作で世話になったポーを救うため、アラバマを発ち、地元弁護士であるレイモンド・ピッカルー(通称レイレイ)に協力を求める。レイレイもまたトムとのフットボール仲間なのだ。彼は現在、アル中の気配でどうも積極性がないのだが、なぜか一目でぼくは彼のことが好きになる。何故なのかはわからない。
プラスキの現在の住人はKKK誕生の町であることを恥じているらしいが、今もなお残る差別感情は現在もアメリカ全体に影を落としてやまない。さらに白黒はっきりしない多くの人物たち。有り余る状況証拠に取り囲まれ不利としか思えないポー。前作を引き継いで登場する殺し屋ジムボーン・ウィラー(通称ボーン)の影。意外な展開が連続しつつ、法廷は開幕する。
大団円に繋がるスリル&サスペンスが法廷シーンであるのだが、ラスト・ランがまた疾走感たっぷり。暴力の権化ともいえるボーンの動き、そして見え隠れする真犯人の殺意。思いもかけぬ展開、畳みかけるアクションの果てに残される苦い真実。
ラスト・シーンが秀逸である。男なら泣ける。そんな胸アツ小説。続編でありながら、前作を凌駕する出来である。さらに続編があるらしく、これまた秀逸の展開だと言う。絶対に目の離せない作家がまた一人!
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解説の正蔵師匠には申し訳ないですが、絶対に一作目ザ・プロフェッサーの方が好み。トムとリックの師弟コンビが今回は不完全燃焼でした。
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2作目も文句なく面白かった〜。
まさか元KKK最高指導者の老妻、気品があって美しいマギー・ウォルトンが犯人だったとはね。
今回は途中、ジムボーンに撃たれて(癌も患っているのに踏んだり蹴ったりな)トムの出番は少なめ。
代わりに若い相棒リックとパウエルといつも飲んだくれのトムの旧友(離婚弁護士)が大活躍。
でも、レイレイも元KKKでボー・ヘインズの父親(と信じてた男)を木に吊るした現場にいたとは…。
この小説の面白さは思ってもいない真実が後半に次々と明らかになることと、窮地に追い込まれて絶体絶命の危機に必ず、救いがやってくること。
今回もしかり、でもレイレイはボー・ヘインズをかばってしんじゃったけど…。
ボー・ヘインズも危機一髪のとこでヘレンが、そのあとでトムが来てくれてよかった。
そのあとの葬儀のシーンはまじボー・ヘインズのかと思ったよ。(レイレイの葬儀だった)
3作目はシリーズの中で転換点となるそう。
トムの余命が心配。
待ち遠しい〜。
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クー・クラックス・クラン誕生の地、テネシー州プラスキ。幼い日、目の前で彼らに父親を殺された黒人弁護士ボーは、四十五年後の命日に復讐殺人を犯したとして逮捕された。親友の冤罪を晴らすべく、七十歳のロースクールの元教授トムと熱血漢の教え子リックの老若弁護士が、地元で負け知らずの女性検事を相手に矜持を賭けて法廷に立つ。胸アツ法廷エンタテインメント『ザ・プロフェッサー』の続編がついに登場!
シリーズ第2作は、前作でいい味を出していたボーの危機を救うべく、トムとリックが奔走する。いやあ、リーガル好きにはたまりません。小学館文庫さん、応援してますよ!
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46年前テネシーで黒人の父がKKKのメンバー10人に殺された。息子ボー・ヘインズは復讐を誓い、弁護士になった。KKKの指導者だったアンディ・ウォルトンが殺された。ボーはしょっちゅうアンディを殺すと言いふらしていた。ボーは逮捕され、ロースクールの教授だったトム・マクマートリーに弁護を依頼する。証拠はボーの有罪を示している。担当検事のヘレンは負けなし。絶体絶命の裁判は・・・
うおー!2020年ナンバーワンだ。
前作「ザ・プロフェッサー」もすごく面白かったが、それ以上かも知れない。解説を読んでいて、確かに前作は誰がやったかは分かっているのでミステリー的要素は少なかったけれど、本作にはミステリー要素は多い。ボーが殺したのでないなら誰がやったかなフーダニットと、ボーの父親は45年になぜ殺されたかのホワイダニット。それだけではなくさらにもう一層下にまだネタが沈んでいる。
勧善懲悪、スカッとする小説でもあるし、アメリカの暗い歴史を学ぶ小説でもある。次作のThe Last Trialはめちゃくちゃ面白いらしい。小学館さま、絶対翻訳出して下さい。お願い致します。
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前作「プロフェッサー」に続いて読んだ。登場人物の多くが前作から引き続き出ていて、とても嬉しかった。気持ちの良い仲間達にまた会えたような気がして、こういう読書体験は滅多にない。藤沢周平の用心棒シリーズ以来かも。本書の内容もまた優れている。話の展開もよく、終わり方も最高。主人公のトムが1人で大活躍するような単純な話ではないのがまた良い。気持ちの良い読書をしたいなら、前作から本書を読むべし。
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面白かった!胸あつなポイント盛り沢山。レイレイもよかったし、ヘレンにもしっかり花を持たせてニクいねぇ。
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胸アツ法廷小説「ザ・プロフェッサー」に続く第二弾。今回は彼の教え子であるボーヘインズが主役。前回同様、熱いセリフのオンパレードだけど、ストーリーは前作が凝っていたかな。
モーテル経営者が乗るTVドラマ『爆発デューク』ち登場するオレンジ色のダッチチャージャー(リー将軍)に保安官はじめみんなが反応するのが面白い。
しかしKKK発祥の地テネシー州プラスキで起こる人種間抗争の裁判に集まる覆面姿のKKK達の恐ろしいこと。ブラックライブスマターの時代にもきっと変わらないんだろうな。3.8
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5歳の時、父をKKK(白人至上主義団体)に殺害されたボーは、そのリーダー・アンディに正義の裁きを受けさせる為、故郷のテネシー州ブラスキで唯一の黒人弁護士となった。そして父が殺された45年後のその日、アンディが同じように殺された。ボーは逮捕され、あらゆる証拠がボーを犯人と告げている。弁護を頼んだ恩師とその相棒は真相を探るが、KKKの過去を消したい街の思惑や、何者かに雇われた殺し屋に阻まれる。絶体絶命まま迎えた裁判の最終日、意外な人物による証言で法廷は大混乱に…。閉廷後も、ラストまで衝撃の連続だった。全ての謎がスッキリ解決されたが、45年の執念はボーに苦しい結果となった。
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「プロフェーサー」の続編となる本書は、前作で活躍した“ボー”に降りかかる災難を、トムとリックそしてトムの大学時代の友人レイレイで解決していく…。ボーを陥れた人は誰なのか、ボーが抱える過去けらの憎しみと苦しみはどうなるのか…。
前作ほどの勢いは無いが読みやすく、そしていろんな意味で深みのある作品だった。
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法廷サスペンスの、シリーズもの?(とりあえず本作で2作目)です!
2作目は、プロフェッサー「トム」の教え子「ボー」(1作目にも登場)が冤罪で捕まってしまい、トムたちが助け出す、というお話。
黒人差別が話の柱になっていて、一作目もそうでしたが、社会問題も絡めたストーリー展開になっています。
話自体はスピード感があって、サクサク読み進められると思いますが、一作目からの連作のようになっているので、まずは一作目を読まれることをおすすめします!
全体的には面白かったんですが、個人的にちょっとおしいなぁと思った点がいくつかあり。。
①偶然が重なりすぎ?
都合よく偶然が起こりすぎている気がして、なんだか不自然でした。。
②殺し屋タフすぎ?
一作目から登場する殺し屋なんですが、二作目で準主役級の扱いになってきます。
何度も蘇っては主役たちを狙うんですが、一作目からの続きという観点で考えると、あまりに狙いすぎでは?、と思ってしまって、途中から飽きてきてしまいました。。あんまり気持ちのいいキャラクターでもないし。。
全体的はおもしろかったですが、星は三つです。
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第一作と同様に大学スポーツの強い絆を底流としながら、アメリカ南部地方に根強く残る白人至上主義の恥部を暴かんとする黒人弁護士が見舞われる痛切な悲劇が語られる。
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幼少期に刻まれた決して消えない記憶。
5歳だった少年ボーセフィスはKKKのリンチにより目の前で父親が殺害される場面を目撃してしまう。
あの日の行いに正義を与えるため、KKK誕生の地プラスキに弁護士として戻ってきたボーセフィス。
5歳ではあるが、はっきりと耳に残る声により、犯人の目星は付いている。
当時の父親の雇い主、アンディ・ウォルトンだ。
そのことを口にすることを憚らず、ことあるごとに復讐することを触れ回るボーセフィス。
父親の命日にバーで一人悪酔いしているところでばったりウォルトン一行と鉢合せし諍いに。
そんなこんなで結局前後不覚に陥るほど酔いつぶれ、目覚めたところに飛び込んできたウォルトン殺害の報と容疑者としての逮捕宣告。
胸熱リーガルミステリと銘打たれているが、う~んどうでしょう、個人的にはそこは何かよくある芝居がかった友情物語のように感じてしまった。
もう一筆足りないというか、ありがちな関係性の枠を越えられていないというか。
ただ登場人物が少ない中でうまくどんでん返しを残しながらフーダニット、ホワイダニットを追っていく展開はやや直線的なきらいはあるが読み応えあり。