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電子書籍
世界史を変えたパンデミック
著者 小長谷正明
二〇二〇年、世界は新型コロナウィルスの感染爆発に直面した。人類の歴史は感染症との闘いの記録でもある。十四世紀ヨーロッパでのペスト流行時には、デマによりユダヤ人大虐殺が起こ...
世界史を変えたパンデミック
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世界史を変えたパンデミック (幻冬舎新書)
商品説明
二〇二〇年、世界は新型コロナウィルスの感染爆発に直面した。人類の歴史は感染症との闘いの記録でもある。十四世紀ヨーロッパでのペスト流行時には、デマによりユダヤ人大虐殺が起こった。幕末日本では黒船来航後にコレラが流行、国民の心情は攘夷に傾いた。一方で一八〇三年、スペイン国王は世界中の人に種痘を無償で施し、日清戦争直前には日本人医師が自らも感染して死線をさまよいつつペスト菌発見に尽力した。医学的・歴史的資料をもとに、人類がウィルスといかに闘い、打ち勝ったかを明らかにする。
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紙の本
読みやすかったです
2020/06/05 15:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
件の新型コロナウイルス感染症に伴い、かつて世界で感染症がはやったことをまとめた新書が多く販売していますが、当書はその中でも比較的分かりやすく、読みやすく仕上がっていました。感染症の世界史関連の新書で1冊選ぶなら?と言われれば私は当書をお勧めします。
基本的に、幻冬舎新書は文字が大きいので読みやすいです。
また、当書は228ページと比較的薄いので、一気に読み切れるでしょう。
紙の本
感染症と歴史
2021/03/13 22:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史の学習において、ペストや天然痘などが登場することはあるが、感染症だけを深く掘り下げることはそれほど多くないだろう。本書は感染症というキーワードによって歴史を考察していくテーマ史を扱ったものである。
歴史における感染症で最もインパクトがあるのはペストだろう。新型コロナについて歴史で学ぶにしても、カミュの『ペスト』が話題になったほどだ。都市封鎖をしたり、誤った情報が飛び交ってしまうインフォデミックに陥ったりと、歴史は繰り返すものだと思い知らされる。
マラリアによって守られていたローマ。感染症は、当然敵味方関係なく襲い掛かる。しかし、現地の人には抵抗力がある場合がある。特にマラリアにおいては、一般的には不利であっても、対マラリアでは有利な性質というものもあり、ローマの人よりも他所の人のほうがマラリアに弱いということがある。
ナポレオンのロシア遠征が失敗した要因としては冬将軍が挙げられる。しかし、実際はそれだけではなったようだ。チフスの蔓延もナポレオン軍を苦しめたものの一つであった。軍隊では衛生面で行き届かないところが生じてしまう。特に兵卒はそれが顕著だろう。それが敗北の原因となってしまうのだから、環境というものは重要である。
日本の歴史で重要な感染症はコレラだ。鎖国し続けることができなくなった幕末において、コレラまで日本に流入してしまった。それも外国憎しの感情を引き起こすものであった。
第一次世界大戦ではインフルエンザが猛威を振るった。感染症の蔓延という情報は自軍にとって不利なものであり、軍部は隠すこととなる。そして隠さなかったスペインがスペイン風邪という名称に使われてしまうというのは、なんとも皮肉なことである。このときは、敵味方関係なく、両者に大打撃を与えた。
エイズも感染症である。ルーマニアではチャウシェスクの悪政により、捨て子が多くなり、エイズ罹患者が多くなってしまった。現代では治療法が確立しているとはいえ、完治するわけではなく、厄介なものである。
人類が克服した感染症としては天然痘が挙げられる。種痘を開発したジェンナーは偉大であるが、それを世に広めるキャンペーンを行ったカルロス4世もすごい人物である。
感染症を疑われたが、実際には違う病であったものもある。壊血病や脚気である。それぞれビタミンCやビタミンBの不足によるものだが、それは真実を知っている現代人だから簡単に指摘できることであって、原因がわからなかった当時の人たちにとっては、感染症と考えるのも無理はない。しかし、状況証拠や実験データがあっても原理がわからないからと、それまでの感染症説をいつまでも維持し続けた日本陸軍や東大医学部の罪は大きいだろう。
紙の本
人類は多くの感染症を克服してきた
2020/06/02 21:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は脳神経内科専門医であり、医学の観点から世界史に関する考察を加えた著書を多数出版している。本書は、黒死病(ペスト)、マラリア、チフス、コレラ、インフルエンザ(スペイン風邪)、壊血病等について、その病気が蔓延した当時の世界各国の感染状況や社会状況についての紹介が主な内容であり、過去に人類は多くの感染症に遭遇し、多くの犠牲を伴いながらも、それを乗り越えてきたことを再確認できる。感染症に立ち向かった話題には心打たれるものがある。例えば、19世紀、スペイン国王は世界中の人々に種痘を無償で施した。日清戦争直前には日本人医師(北里柴三郎、青山胤通)が香港でペスト菌発見に尽力、特に青山は自らも感染して死線をさまよった。
しかしながら、感染症の蔓延で疲弊した社会の復活をいかに成し遂げたかの内容が乏しいのが残念であった。例えば、第一次世界大戦のさなかに流行したインフルエンザ(スペイン風邪)では、「日本の人口5600万人中、2380万人が罹患し、38万人が死亡、鉄道員が倒れ列車は止まり、経済も回らず、火葬場だけがにぎわった。」とある。それに対してどのような対策がとられたのか、あるいは無策であったのか、一般読者が今一番知りたいのは、そのことだと思うのだが・・・。また、「日清日露戦争の脚気惨害」の章で田山花袋の小説『一兵卒』が紹介されているが、ここは是非とも吉村昭の小説『白い航跡』も加えてほしかった。