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人事の古代史 ──律令官人制からみた古代日本
著者 十川陽一
古代日本において、国家を運営するうえで律令官人制という仕組みがつくられ、緻密な評価システムに基いて天皇を中心とする官人統治がなされた。そして政治が動き出し、官人の差配も変...
人事の古代史 ──律令官人制からみた古代日本
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人事の古代史 律令官人制からみた古代日本 (ちくま新書)
商品説明
古代日本において、国家を運営するうえで律令官人制という仕組みがつくられ、緻密な評価システムに基いて天皇を中心とする官人統治がなされた。そして政治が動き出し、官人の差配も変化し、報復左遷や飼い殺しのようにみえる人事もまかりとおるようになったのだ。では、その実態はどのようなものだったのか? 人が人を管理する上で起きる様々な問題を取り上げ、古代日本の新たな一面に光をあてる。
目次
- プロローグ/律令制の記憶/古代日本の国家/律令制と官人/本書の概要/第一章 国家と人事のしくみ/1 支配機構と支配者層/太政官──律令国家の中枢/都城と朝政/議政官人事/古代の人名/ウジ名とカバネ/皇位継承と皇嗣の決定/新たな身分標章──クライの導入/揃わない足並み/藤原氏と奈良時代前半の政治動向/2 人事と行政/官人たちの身分秩序/位階と官職/勤務評定のシステム/昇進のしくみと実際/考選木簡と削屑/任官の制限/官司内の運営と責任/3 家柄主義とのせめぎあい/官人になる──出身/官人養成/出身後のキャリア/大伴家持の不遇と奈良時代半ばの政治動向/官人制と氏族秩序/第二章 官職に就けない官人──散位の世界/1 散位とは何か/官人ではない有位者/増える有位者/散位とはなにか/官人の定義と給与/写経所勤め/人事の綱引き/2 皇族・貴族の家政機関と散位/皇族・貴族の家に勤める散位/トネリたち/仕えるべき主人/家政機関における散位の位置づけ/国家にとっての皇族・貴族の家政機関/散位を把握する意味/第三章 政争のあとさき/1 国家にとっての官人/散位となる事情/律令制における刑罰と官人/官人身分の?奪/日本における律への対応/散位に落とす/落とされた人々のその後/散位への処分/刑罰免除からみた官人/2 官人にとっての官人制/官人の特権/譲りあう人々/都と地方/威信財としての官人身分/ネットワーク形成と交易/仲麻呂の乱──奈良時代後半の政治動向(1)/称徳朝と道鏡──奈良時代後半の政治動向(2)/官人身分のメリットとリスク/第四章 平安京と官人制の転換/1 平安遷都と官人社会/山背から山城へ/土師氏の一族/貴族層の再編──平安初期の政治動向/家と官人養成/摂関政治の確立──九世紀末以降の政治動向/2 都城と官人制の変化/内裏の変化/平安時代の政務/大内裏の荒廃と官司の縮小/官位相当と位階制の変容/叙位・任官制度の変化/年給/受領とその統制/昇進コースと求められる資質/3 持続する官人制/給与と平安時代の官人制/散位寮の“廃止”とその後の散位/権中納言──余剰人員と官制の変容/昇進と名乗り/崩壊か変容か/地方に根差す官人身分/平安中後期の地方社会と散位/太政官という存在/エピローグ/巻末資料/参考文献/あとがき
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紙の本
人事の古代史
2021/10/30 21:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代日本の朝廷における官人たちの官位や官職の制度について書かれている。面白かったのは、成果や態度によって職務態度が評価され、昇進の可能性はあるが、五位以上は貴族になるため、家柄がよくないといけなかったということ。
紙の本
古代日本においても緻密な評価システムがあり、それに基づいて官人を統治し、天皇を中心とする国家運営がなされていた。
2020/07/31 09:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一章から第三章では官人制の構造を奈良時代までの歴史を、第四章では平安時代における展開を、それぞれ検討する。中でも特に散位に注目して官人という存在を見た第二章・第三章が興味深かった。律令制下の官人たちの人事について大いに学ぶ。世襲とか論功行賞とか、古代から変わらぬ人事の文化を再確認。日本の政治社会(権力者層)を変革することの難しさを再認識。改革は叫ぶだけでなく、いかに徐々に変えていくかが鍵。結局何も成果が生まれない根源はどこにあるか。文化との整合と浸透させる配慮が大切であると感じた。
紙の本
官僚機構
2020/07/16 05:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代からの官組織がどのような過程で成ったのかがよくわかる。中国の制度からの発展や具体的な人事異動、棒給など生きた世界が見えてくる。特に木簡からの発見が興味深い。