自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう?
著者 文:アニッサ・カステル , 訳:伏見 操
ぼくたちは自由な人間のはずなのに、なんだか毎日きゅうくつ。ほんとうに自由になりたい! そもそも自由ってなに…? 「自由」についてとことん考える本。
自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう?
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「考える自由があるときこそ、人は自由でいられる。」
2010/12/29 20:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに?」に続く、10代の哲学さんぽシリーズの第2巻である。
自由ってなに?
短くも鋭く深い問いである。
章題も印象的である。
・かつて、生まれながらに自由をもたない人間が存在した。
・人として生まれた者は、だれもが自由である。たとえ奴隷であっても。
・自分らしくいられなければ、自由でいても意味がない。
・人は自分からすすんで、自由を捨てるのか?
はじめは、こんな問いから始まる。
「自由な人間」って、いったいなんだろう?
その答えをさがすとき、わたしたちは「自由とは?」「人間とは?」などと
抽象的に考えるのではなく、むしろ具体的なだれかを思いうかべる。
たとえば、あなた。あなたは自由ですか?
本書も第1巻と同様に、多くの哲学者のことばが紹介されている。
私にとって中でも印象的だったのは、エピクテトスのことばだった。
自分しだいでなんとかなるものには、しっかりと向きあうことだ。
そしてそれ以外のものは、ただあるがままをうけ入れるのだ。
同じく、エピクテトス。
ほんとうのあなたでないものは、すべて捨ててしまいなさい。
考えをとぎすまし、ほんとうのあなたでないものにとりつかれないようにすること。
そして執着したり、それを奪われても嘆いたりしないことだ。
エピクテトスは、50年ごろ~125年ごろまで生きたローマの奴隷の出身だという。
ディオゲネスとソクラテスを尊敬し、質素な生活をおくったそうだ。
彼は、奴隷として働いていた頃もきっと、心は自由だった人だろう。
ニーバーの祈り(The Serenity Prayer)に似ていると思った。
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
これは、米国のアルコール依存症患者の断酒会のメンバーの目に留まり、
その断酒会のモットーとして採用されたという。
もうひとつ印象に残ったのは、シモーヌ・ヴェイユのこのことば。
人間がたったひとつ、真に自分のものであると言えるのは、考える能力だけだ。
著者もまた「考える自由があるときこそ、人は自由でいられる。」と書いている。
短くも鋭く深い問いを読みながら一緒に考えるきっかけとなる1冊である。

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