デス・ゾーン　栗城史多のエベレスト劇場

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開高健ノンフィクション賞受賞作ということで軽い気持ちで手に取った一冊。気付いたら夜通しで読んでいた。

お名前しか存じ上げなかった栗城さんだけれども、彼と向き合った人たちの言葉を追いながら、時に言葉を失い、時に心が震え、時に涙しながら読み進めた。帰らぬ栗城さんについて、そんなふうに書かなくても、そこまで言わなくてもと思う場面も少なくなかったけれど、著者である河野啓さんが一人称で語った栗城さんは生々しいほどに人間味に溢れていた。

大きな孤独を必死に隠しながら、この社会の生きづらさと闘い、生きる意味を問い続け、誰かに必要とされたいと強く想う。

救えたはずの命だったのかもしれないと思わずにはいられないけれど、栗城さんの意思を静かに尊重することで追悼の意を込めたいと思います。

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一気に読みました。
私も彼の生中継を観ていた頃もありNHKの番組も観ていた。ある意味共犯者なんじゃないかと思い読みました。
泣きながら登る姿はなんとなく弱さを見せているようには感じではいたけど非難も受けたりしていくことで彼自身の弱さを本当に見せられる人が周りにいなくなってしまいたくさんの人と登っているのに物凄い孤独感を感じてしまった。
自分を見て登れという山の先輩の言葉が心に残った。
今の時代、インターネットもありいろいろ体験できないことを体験できたような気になったり見れたり便利な時代になった分、見たことのない世界を垣間見たいと思ってしまうけどやはりそこを体験した人にしか見れない世界なのかもしれない。

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ノンフィクションは殆ど読んだことがなかったけど、これは一気読み。
なぜ下山家と呼ばれていたのかがわかりましたが、ある意味、ここまで他人と違う生き方をした栗城さんのことは、誰にも理解できないのかもしれません。

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2018年5月21日、エベレスト登頂の様子をインターネット配信すると言っていた登山家が、滑落死した。
何となく、ネットで話題になって、単独・無酸素での登頂にこだわった栗城氏の人物像が知りたくて、普段読まないノンフィクションを手に取った。
派手なパフォーマンスの割に、すでに孤独だったように思える栗城氏。
この本を書いた作者も、「栗城氏の悪口を書きたいだけなの？」と思うほど、好意的な発言はほぼなく、好意的な描写はインタビューに答えてくれた方の部分だけ。
エベレストまでは、順調に単独無酸素登頂を続けていた栗城氏だったが、結局8回挑戦したエベレストの頂はとてつもなく高かったのだろう。
どんどん心身共に披露していく様子を、亡くなった後の取材で明らかにしているが、そもそも何故喧嘩別れのようにして、連絡を取らなくなった作者が亡くなった途端、彼の話を書こうとしたのか？
栗城氏を本当は酸素を使って、登山していたことなどを暴露し、亡くなった人の秘密の暴露をして、印税を稼ぐことに何も感じないのか？
栗城氏もかなり突飛な人間だったかもしれないが、それを利用しているようにしか見えない作者に嫌悪感を感じる。
はっきり言って、テレビの企画で世界の山々の登頂に成功したイモトアヤコの存在や、あくまでフィクションである映画「エベレスト」の影響を簡単に受けるような栗城氏も決して「登山家」とは呼べないと思う。
彼が亡くなった後も、入山規制の冬の富士山に登り、インターネット配信の最中に滑落し、亡くなった人もいたが、そういう人もこの栗城氏の影響を受けているのかもしれない。
栗城氏が登山を始めたのも気軽な気持ちで、山に対する覚悟というものが足りない人だなぁ、とは思うが、その反面、一見地味な登山をエンターテイメントとして捉えているような印象も受けた。
「No Rimit」を掲げた栗城氏だが、「Rimit」を感じ、取りつかれたように挑戦続けたエベレストで亡くなったことは本望だったと信じたい。
今更だけど、故人の冥福を心よりお祈り申し上げます。

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予約してからしばらくして手元に届いたので、なぜこの本を読みたかったのか、どんな本なのか、全く思い出せないまま、読み始めました。
表紙を見て、登山者のストイックな固い話かな、読めるかな、と思ったけど、読み始めたらあっという間に読んでしまいました。
日常生活でも、たまに、こういう人に出会います。
嘘をついてる自覚があるのかないのか、分からないけど嘘をつく。
ホラ吹きで調子がいい。
イラっとするけど、なぜか、その人のことをすごく好きな人もいる。
個人的に知っている人に重ねながら読んでしまいました。

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2021年9月14日読了。

彼が脚光を浴びていた時から、私は斜めに彼のことを見ていた。

「この人は登山家じゃない」

この印象は、番組や報道を通りして伝えられる本人のスキルに合致しない登山プランや、登山時の立ち居振る舞いで私の確信に変わった。

本書の著者は北海道放送のディレクターとして栗城氏を取材し、そして距離を置いていく。

本書でも述べられているが、多くの人が栗城氏に近づき、そして離れていく。

本人に悪気はないが、自分の考えや主義を貫くために、商習慣的に非常識なふるまい、義理を欠く行動が原因と推察される。

栗城氏は2018年にエベレスト南西壁という、最大難易度のルートで登頂を目指し、滑落死する。
過去7度のチャレンジで8848メートルのエベレストに対し、一度も8000メートルにも達したことにがないにもかかわらずだ。

読後もモヤモヤ感は残る。
しかし、もう何年も忘れていた栗城史多のことを思い出した1冊だ。

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一気に読んだけど、感想としてはつまらなかった。栗城氏が時流にうまく乗ったお調子者だっただけで、そんなに興味深い人物ではなかったから。

それと、テレビ局のディレクターとして取材してきた内容を自分の名前で出版するって違和感があるんだけど。テレビ局の肩書きありきの業務で知り得た情報をペラペラ話してノンフィクション本にするの当たり前なの？報道倫理にも肩書きあるから取材受けてくれるって書いてあるよ？栗城氏が死んでるからいいの？それとも全部本にするって断ってたわけ？栗城氏が勝手に番組で使う紹介文をwebで使ったとか言ってるけどお前はなんなんだよ。

あとこの人さ、義家なんちゃらも自分たちテレビが取り上げてしまって人生曲げてしまったとか、おこがまし過ぎるだろ。そんならテレビ屋なんかやめろよ。人の人生で番組作ろうとすんなよ。

この本の内容はどうあれこの著者の態度が嫌いになったから、こいつの本はもう読まねえ。

この著者みたいな連中が栗城氏をトリックスターに祭り上げたわけで、それが臆面もなくこの本を出版してるとこまで含めて、人間に迫るノンフィクションとして価値があるのかもね。

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栗城「劇場」の答え合わせ、生前言われていたことは全て正解だった。しかし、酸素も吸ってたとは…
唯一の救いは、花谷さんが栗城さんをそれなりに親しく思っていたと窺える点。

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昨年度「聖なるズー」が受賞した開高健ノンフィクション賞、本年度受賞作。選考委員は姜尚中、田中優子、藤沢周、茂木健一郎、森達也。

栗城史多は本当に分からない人だった。なんでこの人が山に登ってるのかさっぱり分からなかった。山に登るのに他人からの共感も登る理由もいらないから登りたいなら登りゃいいんだけどとにかく良く分からない人だった。

読後、やっぱり生きていて欲しかったなと思う。山で死んではいけなかった。生きていれば自分の隙間を埋めれることが無謀な登山に挑戦すること以外に見つかったかもしれないのに。ただの外野が後からはどうとでも言えるのでそう思うことすら虚しい。彼の冒険は、本当に彼の冒険だったの？山に登っている間、幸福を感じる瞬間があったのかな？あって欲しいと願う。賞賛を得るためだけの行為だったのだとしたら、胸が張り裂けそうだ。

感想の難しい本だった。異質の人、栗城史多。彼のような悲しい道を歩んでしまう人がもう出ないことを祈りながら、それも酷い考えだな、とか。

生きてさえいれば。生きていればな。

彼が天国でお母さんと仲直りして幸せに暮らしているといいな。ゆっくりとして欲しい。彼の人生は幸せだったんだろうか？

35歳で逝った彼の登頂配信動画のコメントに寄せられたという「もう若くはないが老いてもいない」が胸に刺さる。