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デジタルエコノミーの罠
著者 マシュー・ハインドマン , 山形浩生
「関心の経済」が生み出す寡占、民主主義の破壊。オンライン経済の幻想と現実を、徹底的に検証する。デジタルエコノミーの本質は自由で平等な競争ではない。運が大きく左右し、勝者総...
デジタルエコノミーの罠
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デジタルエコノミーの罠 なぜ不平等が生まれ、メディアは衰亡するのか
商品説明
「関心の経済」が生み出す寡占、民主主義の破壊。
オンライン経済の幻想と現実を、徹底的に検証する。
デジタルエコノミーの本質は自由で平等な競争ではない。運が大きく左右し、勝者総取りが起こる非対称な世界であることを本書は実証する。経済理論とデータに裏付けられた、常識を覆すインターネット「不平等化」論。
―安田洋祐(大阪大学准教授・経済学)
目次
- 目次
- 第1章│関心経済を見直す
- 第2章│傾いた土俵
- 第3章│パーソナル化の政治経済学
- 第4章│サイバー空間の経済地理学
- 第5章│ウェブトラフィックの動学
- 第6章│同じモノがさらに少なく──オンライン地方ニュース
- 第7章│ニュースの粘着性を高めるには
- 第8章│インターネットの「自然」 訳者解説 データ、手法、モデルに関する補遺
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紙の本
『完全にノーマークの著者/研究者で、まさかこんな衝撃的な本だとは予想もしていなかった。ありがとうございます。』
2021/04/29 14:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオハシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いや、すごい本だった。 この本は、日本のインターネットに早期から関わられてきた先輩に紹介いただいた本なのだが、ほんとにすごい本だった。 (巻末の)訳者解説(の一番初め)に以下の記載から始まる。『これはかなり壮絶な本だ。 インターネットをめぐる通俗的な常識とされるものの多くが、実証的に次々とくつがえされてしまうのだから』 さらに解説の後半にはこうある。『完全にノーマークの著者/研究者で、まさかこんな衝撃的な本だとは予想もしていなかった。ありがとうございます。』
なまじっかな素人の感想をダラダラと述べるよりも、本書のエッセンスとなるような引用を多数開示したほうが読者の興味も沸くかもしれない。 しかしながら剛毅な、ハードな本だった。 通説がデータによってくつがえされていく、生半可な気持ちでは取り組めない本だった、という印象が強い。
大学のコンピューター室でのブラウザはNCSA Mosaicブラウザだったし、研究室で使っていたメーラーはDebianのmuleのMewだったし、機械工学科から2001年に企業へ就職しICT環境において20年が経過してきた自分であるからこそ、こうした書籍がもっと多くの方に読まれるよう、微力ながらもこうしたレビューをあげていきたいと思っている。 諸先輩方が絶賛していたことがよくわかる気がした。
以下、まずは帯から抜粋するとともに、いつものように本書から抜粋引用したい。
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○帯より
インターネットは一つではなく、二つある。私たちが日々使っている現実のインターネットと、理想化され、フィクション化され、通信と経済生活を民主化していると信じられているインターネットだ。現実のインターネットへの私たちの理解は、理想化されたインターネットへの根拠なき信仰により阻害されてきた。
デジタルメディアは、多くの人の思い込みと異なり、小規模生産者に有利にはたらかない。お金、職員、データ、計算力、知的財産、固定した観衆をもつサイトが有利なのだ。
ある企業が独占と見なされるのは「著しく持続的な市場支配力をもつ」場合だ。グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、アマゾン、アップルはすべて、認められた市場支配力の基準をはるかに上回る市場シェアをもっている。この集中は、経済、政治、ニュース、果ては国家安全保障について、どんな意味をもつだろうか? オンライン寡占は避けられないのか、それともインターネットの罠を逃れる方法はあるのだろうか? 本書が応えようとするのはこうした問題だ。
○P203
FCC議長・アジット・パイはこうした懸念を一蹴し、古いルールは「ニュースや分析を1日中、数えきれないほどの全国・地方ウェブサイトやポッドキャスト、ソーシャルメディアサイトから得ている世界を反映していない」と主張した。
でもパイはまちがっている。デジタルニュースサイトが「数えきれないほど」あるというのは、はっきりまちがっているのだ。なぜわかるかといえば、『私たちがそれを数え切ったからだ。』 インターネットは地方メディア風景にはほとんどまったく新しい声を付け加えていないし、ほとんどの既存新聞やテレビ局を弱体化させた。いまやFCC指令はそれをさらに弱体化させようとしていて、その過程で全国の小市場に地方メディア独占を作り出そうとしている。
○P284
本書を他とは一線を画するものにしているのは、その有無を言わさぬ裏付けだ。本書は理論モデルと実証データの両方を使って、なぜ各種のインターネット平等化議論がすべて幻想にすぎないのかを示してくれる。
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