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楽しい終末
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楽しい終末 (中公文庫)
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紙の本
池澤夏樹氏による人類を脅威に陥れる「失策」について語られた興味深い一冊です!
2020/08/18 11:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『スティル・ライフ』(中央公論新人賞・芥川賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『すばらしい新世界』(芸術選奨文部科学大臣賞)など数々の傑作を発表してこられた池澤夏樹氏のエッセイ集です。同書で、著者は「何十年もかけてこの迷路の出口を探さなければならない」と主張されているように、世界を危機の陥れる脅威とも言うべき、核兵器と原子力発電、オゾン層破壊、エイズ、沙漠化、人口爆発、南北問題といった、多岐にわたる人類の「失策」について、著者独自の視点から語られたエッセイです。同書では、「序―あるいは」、「この時代の色調」、「核と暮らす日々」、「ゴースト・ダンス」、「恐龍たちの黄昏」、「レトロウイルスとの交際」、「人のいない世界」、「洪水の後の風景」といったテーマで、興味深い話が語られます。
紙の本
終末論の展覧会
2023/04/10 07:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常と化した終末論がテーマ。ノストラダムスの予言とからではなく、「楽しい」とまで銘打っていても書くのは苦しかったとあとがきで作者自らが言うように楽しいとは感じない。核開発、原子力発電の話題から始まって南北アメリカ先住民にヨーロッパがもたらした苛烈な終末、一時話題になっていたフロンガス、アマゾンの乱開発による森林破壊、サルから人へ進化の袋小路と次々に終末、人類滅びのテーマと対峙しているので感心する。内容や文章が難しいわけではないが、テーマ自体が重いためやはりシリアスな読後感。90年代前半に書かれているのだが今読んでも古びていないと言える好著。