- 販売開始日: 2021/03/17
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-336993-6
あしたの官僚
著者 周木律
厚生労働省キャリア技官の松瀬は、個性的過ぎる部下や同僚の尻拭いに奔走しながら、国会議員、関係省庁との板挟みに苦悶する日々を送っていた。そこに突如、新潟県で謎の公害病が発生...
あしたの官僚
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商品説明
厚生労働省キャリア技官の松瀬は、個性的過ぎる部下や同僚の尻拭いに奔走しながら、国会議員、関係省庁との板挟みに苦悶する日々を送っていた。そこに突如、新潟県で謎の公害病が発生。孤立無援のまま原因究明に追われるが、ある謀略により「忖度官僚」として国民の非難の的となり……。切実すぎる新時代の官僚小説。
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官僚って大変
2022/03/01 18:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで官僚という人々がどんな仕事をしているのか深く考えたことがなかったのですが、この本を読んで少し理解できました。苦情の電話をしたりするのはやめた方がいいです。
『官僚たちの夏』の現代版か?
2021/09/18 09:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国家公務員として霞が関の本省に勤務する官僚の物語である。これまで様々な作家が官僚を取り上げて小説化している。城山三郎の日本銀行や官僚たちの夏がとくに名を知られている。この物語の舞台は厚生労働省である。時代によって注目される官庁も変わっていくということか。
本編では、厚生労働省公共政策局に勤務する係長クラスの官僚が主人公である。この官僚、松瀬がよく口にするのは、城山三郎が著した官僚小説、『官僚たちの夏』であり、その主人公である風越通産事務次官である。この小説は随分前に週刊誌に連載されたものである。しかし、これは所謂モデル小説である。実在した誰それが描かれている官僚であることが分かるものであった。本編は作家の作り上げたフィクションである。そこが大きな違いである。
したがって、ここで登場する社会的な問題は実際にはなかったものである。そしてもう一つの大きな違いは、本編は国会と官僚の関わり合いがかなり濃密に描かれている点であろうか。議員からの質問を受けて、官僚がその答弁書を作成する。この過程がかなり細密に描かれている。おそらく城山が描く当時の通産省では国会での議論よりは国家全体の通商政策や産業政策のあり方に議論が集中していたのであろう。
国会での議題や質問内容も現在とは異なる点が多いようだ。城山は国の産業政策の行方に注目していたようだが、周木は厚生労働省をはじめとする中央官庁での官僚の働きぶりを、より具体的に描いていきたいと考えたのであろう。どちらがよいとも言えないが、この描写を見ると、官僚志願者が減ってしまうのも分かるような気がする。
ストーリーはハッピーエンドに近いが、主人公の働きによって職場の雰囲気が改善されて、新たに働く意欲が出てきたというものだ。この辺りは企業ものでも全く同じで、官庁という舞台を借りたものだと思えばよい。しかし、舞台である厚労省の実態の一端がよく理解できる小説であった。