電子書籍
百花
著者 川村元気
「あなたは誰?」徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。泉は思い出す。かつて「母を...
百花
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百花 (文春文庫)
商品説明
「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。
記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。
「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」
「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」
……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、
小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で
作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。
各界からも反響が続々!
◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合
◆深い感動のうちに読了した。
ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次
涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。
解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。
※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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紙の本
その先へと続く物語
2022/10/13 17:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は68歳になったばかりの母百合子の言動がおかしくなっていくところから始まる。
病院で診察を受けると認知症を発症していた。
息子泉とは離れて暮らしていて、息子はその事実になかなか気づけなかった。
百合子はシングルマザーとして泉を育ててきて、泉には父親の記憶はなかった。
その泉は妻の出産を間近にして、父親になれるか不安でもある。
記憶をなくしつつある母とそれに向き合う息子。
父の存在を知らないまま自身が父になろうとしている息子。
物語は、二重構造のようにして、親と子の関係をみつめている。
その中心にいるのが、記憶をうしなっていく母親というのが、
あまりにも切ない。
そして、最後、
「幼児にとって出会うひとすべてが未知で、誰であるのかわからないのと同じように、
母にとってもすべてが見知らぬ人と」なってしまう。
しかし、息子は気がつくのだ。
記憶をうしなうのは認知症を患った母だけではない。
肝心な思い出を自身忘れていたことに。
泉に新たな命が誕生して物語は終わる。
けれど、おそらくそれはまた新しい物語のはじまりでもある。
電子書籍
人間は記憶で…
2022/09/19 12:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タンタン - この投稿者のレビュー一覧を見る
親が老いていくと言う様を現実に目の当たりにしている昨今、自分も老いて来てるし、社会的にやらなければならない事は多々あり、親の事が後回しになって行く、記憶もお互いで忘れている物も有るけど昔の楽しい思い出は何となく心に有る。人は皆老いていく…だからこそ今を大事にどの人にも過ごして欲しいし過ごしたいと願わずには居られない。
紙の本
【忘れて失われる記憶の中で、蘇り残り続ける物】
2023/05/25 23:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えびし - この投稿者のレビュー一覧を見る
認知症と診断された母を仕事をしながら支える泉の愛と記憶の物語。
歳を経ると人は子供返りして、注目して欲しいが為に問題行動を起こし、愛情を試す。
親という物は、子供にとっては切っても切れぬ呪縛のような物。
母が認知症になったのに、眼の前の日常の些事に後回しにしてしまう泉。
この病気によって失われていく記憶の中で留まり続ける母らしさ。
生活が壊れていく中でそれでも守り続けた物。
日記を紐解く中で泉の欠落していた物が鮮明に蘇る。
母と過ごした百花のように美しい記憶だけが残るのだ。
紙の本
考えさせられます
2023/02/03 21:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Jung - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は誰しも老いて行くわけですが、老いて認知症を患う母の過去の秘密と向き合うのは、なかなか考えさせられるものがあるなあという気がします。
紙の本
老いていく母を見つめる息子の姿
2022/10/04 19:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
記憶をなくしていく老いていく母と、それに向き合い、欠けていた記憶を取り戻し埋めていく息子の物語である。人間は、身体そのものではなく、記憶の集合体として存在するのかもしれない。そして人間の個性はかけていることにより生まれるのかもしれない。認知症という病気の発症が、家族の記憶・思い出を、少しづつ変えるのかもしれなと思う。記憶が世代間で受け継がれることはあるかもしれないが、失うこともおおいのだろう。失うことが大人になることであり、人の成長であり老化であろう。いろいろと考えさせられる物語であった。