色々な意味で考えさせられた
2021/10/14 19:29
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ツクヨミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラーのアンソロジーなんだけど、再読の作品もあったりして、改めて色々と思った。
「怖い」のベクトルがアイデンティティ方面な作品が多かったかなぁと…。
短編小説を組み合わせてアンソロジーを編むことの面白さがあったと思う。
既読の『或るはぐれ者の死』(平山夢明)読んでたら泣けた。自分も年を取って主人公のような社会的価値の無い存在になったからだと思う。
小林泰三も良かった。この方の新作を読めないことが哀しい。この主人公の苦悩もまた、JJの存在することの哀しみに通じるものがあると感じた。いつ死ぬか分からない病気になった女の思いも、雛人形を売る老婆にも、もう普通の社会に戻れないと分かっている、という哀しみがある。
もしかしたらホラー小説というのは、そういった人の哀しみを、何かの形にするものなのかもしれない。だから私はホラー小説が好きなんだな、と分かった。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
角川ホラーベストの第二弾。
心霊の恐怖というよりは人の怖さという感じで、ゾワゾワしました。
本当に怖いのはオバケではない…
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あまり好みの内容ではなかった。
ただ、正月女の話はばあちゃんに聞いたことある話に良く似ていた。「正月」という所が「西の女」という話だった気がするけど、昔話なんてそんなもんか。ちょっとゾッとしたけど。
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前巻にあたる『再生』が心霊系、怪談寄りの作品が中心だったのに対し、こちらはSFやノワール、ダークファンタジー的なラインナップだという。確かに逸品揃いで、個人的には第一弾よりもさらに愉しめた。収録8編の内3編が女性作家の作品であり、そのどれも憎悪や執着や妄執など「過去に囚われる」女性に纏わる怪異や恐怖が描かれているのが興味深く、そしてどれも怖い。
詳しくはこちらに。
https://rene-tennis.blog.ss-blog.jp/2022-01-16
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前回のベストセレクション「再生」よりもこっちのほうがずっと好み。
であるが故に、過去に読んだ話が半分くらい…
平山夢明氏と小林泰三氏が一冊に入ってるアンソロジーだから買って後悔はない。
背表紙の著者名が小林泰三氏になってて、新しく本棚に氏の本が並んだのも嬉しい。
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「再生」はよかったのにこっちはダメダメ。最悪。
帯にはレジェンドたちの名作短編あつめたぜ!的なことをうたっているけれど、文章が古くさすぎて本当に読みにくい。いつの時代の話なのかすらよくわからなくて、読んでいて苦痛だった。おまけにまったく怖くない。角川ホラー文庫は「ホラー」という看板を下ろしたほうがいいとおもう。そういうレベルのアンソロジーだった。怒
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人獣細工が個人的には1番ぞっとした。自己同一性や自身の出生、自分が自分ではないかもしれないということはどの時代にも共通する恐怖なのではないだろうか。
角川ホラーはお洒落なホラーというか気付いてしまうことによる嫌悪や畏れを扱うものが多いのかなと思っており、私はそういうものが大好きなのでとても楽しめた。短編集なので電車などの移動のお供にもちょうどよかった。
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角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐ろしさなんですよね……。
久しぶりに読んだ服部まゆみ「雛」も、再読でさらに恐ろしくなったかも。そしてラスト、小林泰三「人獣細工」で締めるとは!
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坂東眞砂子さんの『正月女』と恒川光太郎さんの『ニョラ穴』が印象的。
平山夢明さんと小林泰三さんのはもう何度も作品読んだことあるけど、相変わらず好き。
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同シリーズの「再生」が面白かったのでこちらも読んでみた。
『骨』と『人獣細工』はどうしても好みじゃなかったので飛ばした。
図書館でのメッセージ交換から始まる『夏休みのケイカク』、無人島で不気味な生き物の存在の有無を巡る『ニョラ穴』やユーモアと臨場感のある文章が印象的な『雛』などミステリー欲を満たしてくれる作品も多かった。
こういうアンソロジー系は好みでないと感じたら、その作品をすぐ飛ばすとテンポ良く読める。
しかし好みの問題だから仕方ないが二作品も飛ばしてしまったのは少しもったいなかった。
「再生」と「恐怖」なら「再生」を読む事をおすすめする。
両方ともKindle Unlimitedにあったので気になる方は是非。
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今回、私の「寒気がする怖ぁポイント」はなかったようで安心して読めた。
ゾッとするというより、うわぁ……と後ひく嫌な感じの話がいくつか。「正月女」は粘つく感じがすごい。ザ・田舎。現象そのものより、それが恐ろしく嫌でした。
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どれを読んでもハズレがなかったアンソロジー。さすがベストセレクション。「再生」は読んだ話が多かったから避けてたけど、こうなると読んでみたくなった。
「恐怖」竹本健治
幼少から恐怖の感情が欠けている私が友人との賭けに負けたことにより、その原因を知る皮肉な話。
「骨」小松左京
井戸を掘ろうとするとおびただしい数の骨が出てくる。掘っても掘っても出てくるーーシュールなSFっぽいオチを予想してたらば、しっかりホラーだった。
「夏休みのケイカク」宇佐美まこと
図書館司書である私と自分の子供時代を彷彿とさせる少女との秘密の交流ーー少女の恐ろしいケイカクに主人公が加担していくのか否か、緊張して読んだ。
「正月女」坂東眞砂子
心臓の病で来年も生きられるかどうかの主人公が夫とともに婚家へ戻った年末。正月に亡くなると7人の女を道連れにしていくという言い伝えが、自分の死後、夫に寄ってくる女を案じる主人公を追い込んでいくーー情念がすごくてお腹いっぱいになる。ラストに捻り有り。
「ニョラ穴」恒川光太郎
誤って殺めた男を海に捨てた和重が身を隠した無人島で頭のおかしな男シンゴに出会う。シンゴは洞窟の奥にいるニョラという怪物の話をするがーー沖縄の離島が舞台だとは思うけど、夢とも現実ともつかない話が展開する。主人公の手記という形態がまたいいのかも。
「或るはぐれ者の死」平山夢明
ホームレスの俺が、道路に張り付いたまま誰にも顧みられることのない幼女の遺体をちゃんと葬ってあげようと奮闘する話ーーああ、無情って感じ。
「雛」服部まゆみ
古いが立派な女雛の人形を買い取った画商の修造は、人形の形相がふいに恐ろしいものに変わり驚くーー人形モノの怪談と言うより、持ち主であった老女の姉妹の確執とか、人怖な話だった。
「人獣細工」小林泰三
夕霞は医師である父親によって生まれた時から度重なる臓器移植手術を受けていたが、その臓器は蓋(豚)のものだったーー以前なら「ありえない」と一笑に付していたかもしれないけど、最近TVで遺伝子操作によるがんや難病の治療の話を見聞きしていたので、これはもしかしたら倫理的にやらないだけで実際は可能なのではないかと思った。ただの小説だから「出来る」の一言で済むはずなのに、生体臓器移植と免疫の問題を一通り書いたのは説得力を持たせるためなのだろう。これもSFの表面をなぞりながら、最後にちゃんとホラーとして落としてくれる。著者のほかの作品も読んでみたくなった。
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角川ホラー文庫ベストセレクションのアンソロジー。
小松左京の「骨」は既読でしたが、久々に読んでも怖いと思った。震災の後の大洪水というくだりが東日本の震災のことを書いてるようで、それが1972年に書かれていたというところにまた戦慄。
坂東眞砂子「正月女」何かのアンソロジーで読んだか、それとも同じような別の話だったか…ホラーというよりイヤミス的な面白さだった。
小林泰三「人獣細工」のラストが一番おぞましかった。
これは角川ホラーセレクションの第二弾らしい。
第一弾「再生」の方も読みたい。
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこういう作品って初めて読んだんじゃないかな。世界が広がって面白い。アンソロジーの良さ。
「或るはぐれ者の死」、「雛」は現代のどこかで広がっている異様な光景に思いを馳せるような話。「雛」の、チラッと見たら鬼の形相になっているっていう映画的な描写良かったなあ。
そして一番怖かったのは最後の「人獣細工」!
冷たく鋭く人間の尊厳に切り込んだ作品で、一番本能的な恐怖をおぼえたかもしれない…。何度も「冒涜だ…おそろしい…」とつぶやきながら、ページを捲る手が止まらなかった。
面白かったのでシリーズ前作の「再生」も買おうっと♪
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数編からなるホラー短編集。
前作にあたる再生も読了しています。前作はいかにもホラーという作品が多かったですが、本作は不気味、奇怪といった印象が強かったです。
正直に言うと『う〜ん、ちょっといまいちかな?』
どの作品もアイデアは面白いと思うのですが、短編としてはちょっとテンポが悪いように感じるものがわりと多かった気がします。
個人的に面白かったのは↓です。
・夏休みのケイカク
文通していた相手が実は過去の自分自身であったというオチ。ループもののようなSF要素もあり。
・雛
スッキリしないオチに不気味な仕掛け雛。『人形の顔が変わる』というよくある話かと思わせて、実はただのカラクリであることが中盤で判明します。でもそこからも面白さが持続するのが良かったです。