- 販売開始日: 2021/10/08
- 出版社: 紀伊國屋書店
- ISBN:978-4-314-01140-2
身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
著者 ベッセル・ヴァン・デア・コーク(著) , 柴田裕之(訳) , 杉山登志郎(解説)
私たちは何よりもまず、患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを助けなくてはならない――世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法や従来の心...
身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
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商品説明
私たちは何よりもまず、患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを助けなくてはならない――世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法や従来の心理療法の限界と、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体志向のさまざまな治療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。トラウマの臨床と研究を牽引してきたヴァン・デア・コーク博士の集大成。
■本書を通して私は、被虐待児とその親の臨床の中で疑問を感じつつそのままになっていた問題や、断片的な理解のままになっていた問題のほぼすべてに、明確な回答を与えられ、視野が何倍にも広がったような体験をした。本書は日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人々にとって信頼できるテキストとなるだろう。――杉山登志郎(「解説の試み」より)
■科学者の果てしない好奇心と、研究者の該博な知識と、真実を語る者の情熱が見事に融合したのが、ヴァン・デア・コーク博士によるこの名著だ。――ジュディス・ハーマン(『心的外傷と回復』著者)
■ヴァン・デア・コークは、見事なまでに明快で魅力に満ちたこの力作で、私たち読者(専門家も一般大衆も)を彼自身の旅に伴い、自分の研究、同僚や学生、そして何をおいても患者から学んだ事柄の数々を示してくれる。端的に言えば、本書は傑作だ。――オノ・ヴァン・デア・ハート(国際トラウマティック・ストレス学会元会長)
■この傑出した作品は、セラピストばかりでなく、トラウマが引き起こす途方もない苦しみを理解したい、防ぎたい、あるいは治療したいと望む人なら誰もが、絶対に読むべき一冊だ。――パット・オグデン(センサリーモーター・サイコセラピー・インスティチュート創設者)
■本書は、一般読者がトラウマの複雑な作用を理解するための最先端の作品であり、苦しみを軽減するばかりでなく、生き延びるのが精一杯の状態を抜け出して人生で成功を収めるための、科学的知見に基づいた多種多様な取り組みの案内書だ。――ダニエル・J・シーゲル(UCLA医科大学臨床教授)
■本書は、明快で、人の心を捉えて離さず、途中でページを繰るのをやめるのが難しい作品であり、胸を打つ症例記録に満ちている。トラウマ治療の大家ヴァン・デア・コークは、過去三〇年間にメンタルヘルスの分野で起こったうちでも最重要と言ってよい一連の大躍進を取り上げる。トラウマが脳内のつながりばかりか、心と体のつながりをも断ち切ることが本書で明らかになり、このうえなく深刻なトラウマを抱えた人でさえ、あらゆる部分を再びまとめ上げるのを可能にする、胸躍るような新しい取り組みの数々について、私たちは学ぶことができる。――ノーマン・ドイジ(『脳はいかに治癒をもたらすか』著者)
目次
- プロローグ トラウマと向き合う
- 第1部 トラウマの再発見
- 1 ヴェトナム帰還兵に学ぶ
- 2 心と脳の理解における大変革
- 3 脳の中を覗く:神経科学革命
- 第2部 これがトラウマを負ったあなたの脳だ
- 4 命からがら逃げる:サバイバルの分析
- 5 体と脳のつながり
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トラウマ臨床・研究の最先端であり最高峰を、その歴史と共に学ぶ
2017/02/24 19:05
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハーマンの「心的外傷と回復」が心的外傷(トラウマ)に関する基本書であるとするならばヴァン・デア・コークの本書はもちろんその基本を着実に受け継ぎながら、脳の構造・役割・システムとそれと多様な神経系統によって接続され、呼応する身体感覚のシステムといった科学的な面からそのメカニズムを解き明かそうと試みており、またそういったメカニズムを念頭に置きながら、手探りの臨床の中で従来の治療の常識的な枠組みにとらわれずすべては目の前の患者の回復のために試行錯誤を繰り返していく中で現在効果的と考える手法を丁寧に様々な例を引きながら数多く紹介している、いわば現在における最先端でありそして最高峰の一冊である。この一冊はいわばトラウマ臨床そして研究の歴史と共に歩み、そして刻んできたヴァン・デア・コークの臨床家・研究家としてのこれまでの生涯の歴史の記録そのものであり、それゆえに非常に生き生きとした情熱あふれることばの集合体であると同時にまた非常にわかりやすく、冷静な分析が至るところに精緻にちりばめられている書でもある。間違いなくトラウマ研究の重要なマイルストーンとなるであろう本書を数多くのトラウマに苦しむ人、そしてそんな苦しむ人を支援しようとする人たちに読み、自分なりに理解し自分の思うように実践してみてほしいと心より願う。また、今後も本書を参考にし影響を受けながら更にトラウマ研究が進んでいき、そしてまずは一般的な診断名として発達性トラウマや複雑性PTSDが世界中に正式に認識され定着する日が来ることを、こちらも切に願っている。
トラウマ症状からの回復のために、何が必要なのか。
2018/07/12 20:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、精神科医として長年、トラウマの後遺症で苦しむ患者たちに向き合ってきた。
その間、精神医学界の主流な治療法も、時代とともに変化し、
その中で著者が様々な手法を模索し、実践してきた成果が本書である。
そんな著者の経験を元に、脳科学からの考察はもちろんのこと、
精神医学界がこの問題とどう向き合ってきたのか、様々な研究成果、
現代アメリカ人が置かれている過酷な社会状況、今後どうするべきなのか、
そして回復のための数々の技法…、など充実の内容。
中でも、著者が診てきた患者たちの、回復に至る実例が豊富。
引用して紹介したい文章ばかりで、名著と言っていいと思うけれども、
ただし、著者は子供のころに親から適切な関わり方をされなかった子供は、
将来にわたって深刻な悪影響を受け続ける、という主張をしている。
これ自体は、本書を読めば分かるように客観的なデータもあるようだし、
間違った主張とは言えないと思うけれども、
その主張をかなり繰り返しているので、すでに子供のころに虐待を受けてしまった人や、
今現在、子育てに自信を失っている人なども、本書の読者として想定されるなかで、
そんな読者の人たちは、暗い気持ちになってしまうかもしれない、とは思った。
主にトラウマによる悪影響と、そこからの回復について書かれている本だけど、
それだけではない、人間とは何か、社会政策はどうあるべきか、などより広い視野からも読める本。
以下は本書より引用
『ところがPTSDの患者の場合、ストレスホルモン系は、このバランス技ができない。
危険が去ったあとも、闘争/逃走/凍結の信号を発し続け、例の犬たちの場合と同様、正常に戻らない。
そして、ストレスホルモン分泌の継続は、動揺やパニックのかたちで表れ、
長期的には、健康を台無しにする。』
『抗うつ薬の場合について考えてほしい。
もし私たちが思いこまされているほど抗うつ薬が有効なら、
うつ病は私たちの社会では今ごろ些細な問題でしかなくなっていたはずだ。
ところが、抗うつ薬の使用は増え続けているというのに、うつ病の入院患者は減ってはいない。
抑うつ状態を改善するために治療を受ける人の数は過去二〇年間に三倍になり、
今やアメリカ人の一〇人に一人が抗うつ薬を服用している。』
『 トラウマの犠牲者は、自分の体内の感覚になじみ、その感覚と仲良くなって初めて
回復が可能になる。おびえているというのは、いつも警戒している体の中で暮らすことを意味する。
怒っている人は、怒っている体の中で暮らしている。
児童虐待犠牲者の体は、リラックスして安全に感じる方法を見つけるまで、
緊張して自己防衛が過剰であり続ける。』
『一〇万人当たりの収監率が、アメリカでは七八一人であるのに対して、ノルウェーでは七一人、
オランダでは八一人であり、これらの国々の犯罪率はアメリカよりはるかに低く、
医療費はおよそ半分でしかない。』
『 だが日常生活では、まさにそれらの領域が、私たちの自己認識、
すなわち自分は誰なのかという感覚の土台を形作るいっさいの情動と感覚の認識を司っている。
私たちがここで目の当たりにしたのは、なんとも悲しい適応で、
彼らは恐ろしい感覚を遮断しようとして、思う存分生きていると感じる能力まで弱めてしまったのだ。』
『 私たちの研究における最も重要な発見は、次の事実かもしれない。
一九八三年のブロイアーとフロイトの主張とは裏腹に、トラウマを、
それと結びついた感情のいっさいとともに思い出しても、必ずしもトラウマは解消しないのだ。』
トラウマへの対処法
2016/12/07 23:50
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nakano - この投稿者のレビュー一覧を見る
トラウマの研究の歴史、神経生理学的な成り立ちから治療法、そしてそれぞれの事例までを全般的にまとめてあり、とても興味深く読みました。特に第5部「回復へのさまざまな道」では、『トラウマを引き起こした出来事を「治療する」ことはできないが、対処できるものはある。』として、以降の章で、ヨーガやマインドフルネスの活用、ボディワーク、EMDR、ニューロフィードバック、演劇(!)などの取り組みも事例を交えて紹介されています。600ページ以上の大作ですが、自分は関心がある分野なのでトラウマの仕組みから様々な対応法に引き付けられて、付箋をつけながら読み進めました。トラウマ関連の本は多く出ていますが、全般的な内容を把握したい人にはお勧めです。
トラウマ
2024/08/13 16:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
トラウマとは何なのかとか、トラウマに苦しんでいるので少し気持ちが楽になってきたように感じました、読めてよかった。