そっと持っておきたい思い出の写真のような作品
2022/02/26 15:14
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投稿者:白月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本の時から好きな作品だったので、文庫も持ち歩くために買おうと決めていました。
単行本の時の雰囲気そのままの表紙で安心しました。
三秋さんの作品に通じている、さみしい愛しさを感じられる、とてもいい作品です。
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半部分 A面は血のにじむような切ない思い、絶望感、虚無感、切羽詰まった気持ち がとても良く表されている。「免罪符が欲しかっただけ」というセリフは実に効果的である。
B面は逆の立場からの謎解き という位置づけだが、謎解きだけにA面ほどの緊迫感 切迫感はないかな。不治の病 という道具立てもあちらこちらで安易に使い古されているので あまり好きではない。終盤もやや冗長。すっぱりと切ったほうが余韻があってよかったのにと思う。
それでも全般的には、同じ作家の「3日間の幸福」と同様に夏のイメージが漂う作品だと感じた。
哀しくも優しい物語
2022/03/24 22:10
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「実際に起きたことと
起きたかもしれなかったことのあいだに
大した違いはないのだ。」
もちろん極論とわかっていても、
それに共感できる私たちは
幸せの選択肢をより多く持っていると思う。
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記憶を消去したり、架空の記憶を作る技士がいてそれを買える世界の話。初めての設定の話で、こういう体験ができる事が読書の醍醐味だなと思えた。話がB面に入り灯花目線になってからが、どんでん返しのようで引き込まれた。
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君の話/三秋縋
初めて読んだ三秋縋さんの小説です。
設定が変わっていて、義憶技工士によって
作られて義憶という嘘の記憶を買い求めて
自分の本当の記憶にする時代。
人は心の拠り所として、望む記憶を捏ったり、
記憶を消したりすることも選べて、
人は自分が望む記憶を手に入れれるように
なっていた。
そんななか、主人公は記憶の中の幼馴染に
現実世界で出会って戸惑う。
義憶だと分かるので接触を拒むが、そうと
知りながらもどうしようもなく彼女に惹かれて
しまう。
義憶の中の幼馴染が現実に現れてしまった理由。
僅かな関わりから始まって、深く繋がってゆく、
あまりにも優しい優しい嘘の物語。
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優しい嘘のお話
嘘は人を傷つけるだけじゃなく幸せにもする
三秋さんの作品の主人公は素直じゃないところがとても魅力的
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なんとなく手に取ったものの。感性がみずみずしいうちじゃないとこういう作品は響かないんだよなぁ…と改めて恋愛モノとの相性の悪さを実感。別に恋愛ものが嫌いなわけでは無い(と思う)のだけれども。
まず、お話しの大前提として自分がニセモノと知っている「ニセの記憶」を人々が欲しがる理由がわからない。自分が実際にあったこととして認識する過去の記憶を欲しがるならばわかるけれども。だってどんな良い記憶を作ってもらったとしても、それはニセモノだという認識があるならば、我に返った時虚しくならないだろうか、という疑問が一つ。例えば大事な人が亡くなって、その人とのこれから起きたであろう出来事や思い出を創造するならまだわかるだけれども、それはやってはいけない事らしいし。親を早くに亡くした子供の記憶に親がその場に居たと記憶させる、とかそういう用途の方が使い勝手も使い道もよさそうな気がするんだけどな。(恋愛的要素からは外れるけど)
実際の世界よりも自分の望む仮想世界に生きたいのであれば、主人公の両親はなんで結婚したんだろうな~という疑問もあったり。まぁ不幸な生い立ちの子が二人出てこないと始まらない話、というメタな所はあるのだろうけれども。どっちの両親も子供なんか作らなきゃ良い人たちだったのに何故?という辺りも疑問。子供がいたという記憶も抹消しちゃうぐらいだし。
そしてどんなに不幸な生い立ちでもヒロインのやったことはイカンよな、というのが一つ。可愛い女の子だからって許される問題ではない気がする。自分の都合に人を巻き込むならそれ相応の誠意を見せないとねぇ。ま、そうすると話が始まらないんだろうけど。これ、反対に義憶技師が好みの子に好き勝手な記憶を植え付けて、いい感じの出会いを演出して悪い事をする、なんて犯罪がまかり通りそう。
という訳で最後の彼女一人を愛するみたいな主人公君も自分と彼女の悲劇に酔ってるみたいでちょっとどうなのッて思うし、独善的な所がコワイ。自分は結果オーライで生涯の恋を手に入れたから他の人にもこの感動を分けてあげたい、という気持ちはぶっちゃけ有難迷惑だし押しつけがましくないか?まぁ潜在的にそういう出会いを求めている人がヒロイン?だかを買うから問題なしといわれればそうなのかもしれないけど。
世界観も、登場人物も考え方というか、感性が合わなかったのでナンダカナーという感じでしたが、綺麗なお話しなんだと思います。自分がその綺麗さに馴染めないだけで。
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三秋縋の作品を色々読んだら、、もしかしたら彼はこの作品を書くために色々書いてきたのではないかと思う。
この切なさは、帯にある通り「出会う前に続いていて、始まる前に終わってしまう」ことにある。
だから、物語としては始まるはずのない出会いを、作中の「義憶」(オーダーメイド式の偽物の記憶)によって引き起こしたとしたら、というSFの設定を用いて表現している。
物語りなんて所詮作りものだ、という引いた視点から、それでも没入してしまうことの喜びや切なさを感じられた。
筆者のメッセージはとても明快で、この世には誰かが誰かにとっての運命の人で、ヒロインもしくはヒーローで、もしかしたらライバルで、パートナーかもしれないということ。
そして、それを願わくば信じられるようになること、ということだろう。
それが筆者の祈りであり、願いだと思う。
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SF的な小説の読み方を知らなかったので、冒頭から「ギオク」が存在する世界の話が進み、ついていけず、頭の整理がつかず、数ページ二度読みをして、その世界の住人になりきる作業が必要だった。整理をつけながら読んだ。前半は、何度か読むのを諦めそうになったが、後半は、いろいろな展開があって、濃密で苦しくなったりして、世界に引き込まれ一気読みした。
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天谷千尋
十五歳になったとき、両親は離婚した。グリーングリーンを服用し、架空の青春時代の記憶が刻まれた。
夏凪灯花
千尋の記憶の中にのみ存在する。架空の人物。
千尋の父
妻の名前を呼び間違える。
千尋の母
千尋の名前を呼び間違える。
江森
千尋にとって最初の友人。空虚さとは無縁の「持てる者」。
桐本希美
千尋の中学時代の同級生。
松梛灯花
義憶技工士。新型アルツハイマー病。
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青春もので現実味がある作品かな、と思い手にとったら青春SFで少しびっくりしたが、今までにない恋愛の様子がえがかれていて、綺麗でうっとりしました(*´ `)
今の現代では起こらないであろう状況なのに、登場人物たちの心情や悩みは今の私たちでも共感できるところが多いと思いました
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娘に勧められて読んだけど、面白かった。義憶(偽憶)の話。前半と後半で、「僕」と「私」の話がレコードのようにひっくり返る構成も良い。人はどんな記憶を持って生きたら、幸せなんだろう。
この作品についてヨルシカの2人とも対談してて、通底する世界を感じる。
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とても優しい嘘のお話
三秋縋さんのお話はSF感があるのに違和感なく日常的に共感できるので苦しくなる
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義憶のある世界に生きた、ひとりぼっちの二人の話。
丁寧な言葉を使うなーって印象。
レーテ、グリーングリーン、ヒロインとかの義憶のネーミングセンスが素敵。
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本を読んで泣いたのなんて、いつが最後だったか。
そんなに本物がいいのか。本物が偉いのか。本物信仰的なことに違和感を覚える。虚構だっていいじゃないか、本人がそれでいいんだったら。他人がそれに横槍を入れるのは野暮だ。
そもそも虚構、フィクションとはなにか、という話で。辻褄が合わないことばかりで、真面目な人間が馬鹿を見る。私たちの日常そのものがフィクションのようで、何が本当か分かりゃしない。
すべて灯花ちゃんの夢でした、みたいなお前に人の心はあるのか?みたいなエンディングでも個人的にはよかったです。