手塚治虫の冒険(小学館文庫)
著者 著:夏目房之介
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。マンガの巨匠・手塚治虫の死に触発さ...
手塚治虫の冒険(小学館文庫)
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商品説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
マンガの巨匠・手塚治虫の死に触発されて始められた、漫画評論第一人者の著者による戦後マンガ史の徹底的な考察。日本のマンガはなぜ隆盛したか。マンガの「表現」はどのように成立したか。手塚作品を軸にたどる、初の本格的な「戦後マンガ史」。手塚治虫作品の「線」と「コマ」の表現を題材に、意欲的に同時代作品との比較研究をすすめ、戦後マンガの表現がどのように展開してきたかを徹底的に解き明かす。図版も多数収録!
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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一読すれば明日からマンガを読む目が変わりますよ
2009/05/09 06:00
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな本が1998年に出版されてたんだ,ちいとも知らなかった。
作品の根底にながれる歴史観がどうだとか,近代的自我がすべったころんだ痛かっただとか,文芸評論と何が違うんだか分らないマンガ評論が多いなか(つうかそんなのばっかりだけどさ),自身作家でもあるこのヒトのキチンと「マンガ表現」に,もっとはっきり言えば「マンガにしかない表現」に支点を置いた評論はとっても貴重なものだ。
1960年代始めに生まれたワタシにとっての「先史時代」,手塚マンガのどこが革命的だったのか。……よく映画的構図の導入だとか半可通的に言われるが,そんなものよりも人物の感情表現,喜怒哀楽を示す記号的表現の創造こそが重要だと夏目センセイは喝破する。
怒りを表現するこめかみの血管や,不安を表す汗,焦ったときにはその汗がアタマのうえに放射状に散らばり,叫ぶとフキダシも破裂する。これら実際にはありえない(あんたは頭の上に汗散らして焦ったことがありますか?)漫画的記号を数多く生み出し,生み出しただけではなく読むものに意味がわかる「記号」として定着させてしまったことこそが手塚マンガの革命なのだ,と。
そんなたいしたことかって? 決まってるでしょ? 登場人物の細かな感情の機微が読者に伝わるからこそ複雑な物語を表現できるのである。納得が行かないヒトは例えば源氏物語絵巻にでてくるあの下膨れ顔の人たちがあの顔のままで「ベルサイユのバラ」の台詞をフキダシ使って言いあってるマンガを想像してみなさい。いみじうおどろおどろしとこそおもひけれ(別に意味はないので古語辞典とかで調べないように)。
しかしその革命を成し遂げた手塚自身が徐々にその自らの「成果」に追われる立場になる……。この本の真のヨミどころはこっちで,白土三平,水木しげる,つげ義春,大友克洋などのマンガ表現を手塚を源泉とするある種の表現技法史のように読み解いていく過程は圧巻。一読すれば明日からマンガを読む目が変わりますよ。
手塚治虫研究の傑作(「手塚治虫はどこにいる」と併読されたし!!)
2001/12/07 18:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コウヘイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏目房之介をご存じですか。「マンガの神様・手塚治虫」という神話を初めて解体した人です。その労作「手塚治虫はどこにいる」は、日本マンガ史に残る野太い仕事です。
で、本書は「手塚どこ」の改良版、あるいは講義録にあたるものです。前作では、余りにも抽象的すぎてしまったものを一つ一つ丁寧にほぐしていったものであり、そのデータ量は具体的な手塚像を自身の頭に想定するに十分です。
はっきり言います。この本を読まずして、手塚を知ったかぶりして語るバカ者は社会の敵です。特にメディア界隈で仕事をするヤツは、死刑にしてもいいとさえ思ってるぞ、私は。
それほどまでに徹底された手塚研究書。是非とも「手塚どこ」と併せて、心して(強意)、ご賞味頂きたい。